スーダン危機の泥沼で、性暴力の急増に苦しむ女性と少女たち

スーダン紛争勃発から1年、紛争地域や庇護を求めるルートでは性暴力をはじめとする暴力が横行する一方、資金不足がUNHCRの対応を妨げています

公開日 : 2024-04-18

1年前、スーダンの首都ハルツームで戦闘が勃発した時、ファティマさん*(39歳)は、彼女と4人の子どもたちにとって最も安全な選択肢は屋内にとどまることだと考えました。彼女の夫と長男は行方不明になり、未だ所在は分かりません。しかし、少なくとも彼女たちには食料、水、そして外の混乱から身を守る場所がありました。

エチオピア、チャド、2024年4月12日 ― しかし、ある日の夜遅く、3人の武装した男たちが食料と水を要求してきた時、彼女たちの安全は無残にも打ち砕かれました。彼女が水を与えた後、彼らは去っていきましたが、その夜遅く、男たちのうちの一人が顔を隠して戻ってきて、言うとおりにしなければファティマさんを撃つと脅したのです。

「子どもたちは皆、中にいました…何か悪いことが子どもたちに起るのではないかと私は怯えました。彼らはとても幼いのです」とファティマさんは言いました。「私は最年長の息子と一緒に子どもたちを家の中に閉じ込め、静かにしていなさい、もし私に何かあったら、妹と弟を連れて逃げなさいと告げました」と言いました。

ファティマさんは1週間で3回レイプされました。子どもたちを連れてハルツームから脱出する安全なルートを必死に探していた彼女は、エチオピアとの国境に近い都市から家族を連れ出すバスが組織されていることを知りました。そして、その旅の登録をしました。

それから2か月間そこで比較的安全に過ごした後、ファティマさんは妊娠していることが分かりました。スーダンと紛争から立ち去ろうと決意し、一家が国境を越えてエチオピアに向かう旅費を稼ぐため、彼女は最後の金(きん)を売りました。

彼女と子どもたちは今、国境のエチオピア側にあるサイトの家族用シェルターで暮らしています。そこでは、UNHCRとパートナー団体が当局を手助けし、難民に援助とサービスを提供しています。彼女は心理社会的サポートを受け、医療ケアのために地域の病院を紹介されました。加えて、夫と長男の行方を捜すため、赤十字にも登録しました。

「ここでは銃声はありません…飲み水や、そしてレイプ(の脅威)がなく眠れる場所を手に入れています」とファディマさんは言います。「(しかし)私は妊娠しています…安全と感じられる家や戸締りのドアもなく、ここにいつまで滞在できるのか分かりません。助けが必要です。」

スーダン軍(SAF: Sudanese Armed Forces)と即応支援部隊(RSF: Rapid Support Forces)の間で紛争が勃発してから1年、860万人以上が故郷を追われています。その中には国内で避難する680万人、近隣諸国に逃れた180万人以上の難民、帰還民が含まれています。

衝撃的なレベルの暴力行為

スーダンの難民登録者の半数以上を女性と女児が占めていますが、受け入れ国によってはその割合がさらに高いところもあります。紛争や避難がもたらす固有の危険に加え、女性や女児はスーダン国内の紛争地域であれ、移動中であれ、庇護を提供した国々であれ、衝撃的なレベルの性暴力にさらされてきました。

UNHCRは、2023年末に発表した危機下のジェンダーに基づく暴力(Gender-based Violence: GBV)に関する報告書の中で、スーダン国内の女性と女児が“警告すべき”レベルの性暴力を含む、紛争の影響をもろに受けていることを報告しています。庇護を求める人々の多くは、避難の旅の中で、ハラスメント、誘拐、レイプ、性暴行、性的搾取、その他の暴力を経験または目撃しています。

サルマさん*(26歳)は、スーダンの西ダルフール州首都ジュナイナで夫と子どもたちと共に暮らしていました。紛争が街を席巻した時に一家は家を焼かれ、チャドとの国境を目指す前に、近隣の使われていない建物で1週間以上避難生活を送りました。

国境に到着する前、サルマさんの夫は武装した男たちの集団に捕まり、彼女と子どもたちは夫なしで旅を続行せざるを得ませんでした。しばらくすると、さらに4人の武装した男たちが一行を呼び止め、抱っこしていた子どもを置くよう、サルマさんに言いました。

「彼らは私を殴り、私は倒れました」とサルマさんは語りました。「私は気絶し、何をされたのか分からないのですが、目を開けたら隣に子たちたちがいて、着ていたドレス以外にはもう何も着ていませんでした。」

母親と子どもの一人は、国境のスーダン側でこん棒を振り回す別の男に殴られ、サルマさんの所持金、携帯電話2台等の持ち物を奪われました。ようやくチャドとの国境を示す川にたどり着き、彼女は子どもたちを安全な場所に運ぶため、腰の高さまである泥水の中を何度も往復しました。

一家は今、チャド東部に住んでいます。サルマさんはそこでUNHCRに登録し、食料援助と医療措置を受けました。しかし、援助を受けましたが、彼女の状況は厳しいままです。子どもたちを養うため、彼女は隣人の雑用でわずかな収入を得ていますが、攻撃を受けた後の背中と腹部の痛みに苦しんでいます。

「痛くても働かなくてはなりません。誰が子どもたちを養うのでしょうか?」と彼女は尋ねました。「子どもたちは将来のために学校へ行くべきです。私はただ、子どもたちが安全に学校へ通ってほしいのです。」

「以前、私は良い環境で暮らしていました。しかし、夫が捕らわれて以来、私を助けてくれる人はいません」とサルマさんは付け加えました。「人々は夫は殺されたと言いましたが、私は自分の目で見ていなかったのです。」

UNHCRの記録によると、2023年、スーダンからの難民の多くが到着したチャド東部で、ジェンダーに基づく暴力の事例が急増、前年の2倍以上に達しました。この問題の本当の規模はもっと大きい可能性があります。汚名や報復を恐れるあまり、事件の報告が極端に少ないのです。スーダンからの難民を受け入れている他の国々でも、この傾向は繰り返されています。

資金不足での対応

チャドで記録されたジェンダーに基づく暴力の生存者はすべて、UNHCRとパートナー団体から心理社会的支援を受けています。また、多くの人々が医療、法的支援、現金給付支援も受けました。しかし、緊急事態の規模や利用可能な資金の不足がUNHCRの対応を妨げている、とナディーン・セカガンダ・ムトゥンジUNHCRチャド東部GBV(Gender-based Violence)担当官は説明しました。

「様々なサービスを実施するための十分な資金がありません…ジェンダーに基づく暴力の犠牲者、生存者全員を手助けするための」とムトゥンジ職員は語りました。「例えば、ここ(チャド東部)では、私たちの活動は最低限にとどめられています。私たちは全方位的な対応はできていないのです。」それは例えば、雇用や訓練の機会を提供することで、生存者を力づける対策も含まれます。

エチオピアでは自身と子どもたちの難民としての不確かな未来に直面する中、 ファティマさんにはスーダンの戦争派閥の指導者たちに明確なメッセージがあります。

「彼らへの私のメッセージは、戦いをやめることです…平和を返してほしいのです。スーダンへ戻れるよう、私たちには平和が必要です。皆が自分たちの故郷へ戻れるように。」

* 名前は保護のため変えられています。

Moulid Hujale in Ethiopia, and Lalla Sy in Chad

原文はこちら(英文)
Women and girls mired in Sudan crisis suffer surge in sexual violence


スーダン緊急事態

2023年4月にスーダンで勃発した紛争により、数百万人が難民・国内避難民となり、スーダン全土で多くの人々が緊急性の高い食料不安に陥る事態となっています。戦闘から逃れてきた人々、そして彼らを受け入れる地域に援助を提供するため、皆様のお力が必要です。どうぞ、今すぐご支援ください。

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