気候と紛争 -エチオピアの集約された人道危機

難民約100万人を受け入れ、数百万人が避難を強いられた激しい紛争から立ち直りつつあるエチオピアは今、致命的な天候という形で新たな人道的緊急事態に直面しています

公開日 : 2024-01-25

2023年12月8日 ― エチオピアはアフリカ、そして世界で最大の難民受け入れ国の一つであり、主に南スーダン、ソマリア、エリトリア、スーダンからの難民と庇護希望者95万4000人以上を保護しています。2020年11月に始まったエチオピア北部ティグレ地域での致命的な紛争は瞬く間に他の地域にも広がり、数百万人が国内避難民となりました。不安定な情勢が続き、被害に遭った国内避難民や帰還民、難民が切実に必要とする人道援助の提供に支障をきたしています。

激しい紛争に加え、アフリカ東部の“アフリカの角”、大湖地域(ヴィクトリア湖、キヴ湖等、アフリカ中部の湖水地域)は世界で最も気候の影響を受けやすい“ホットスポット”の一つであり、近年は異常気象による干ばつや洪水に苦しんでいます。過酷な環境条件はさらなる避難を引き起こし、すでに避難を余儀なくされている人々のみならず、受け入れコミュニティにとっても耐え難い状況を引き起こしています。2023年春、ソマリアのラースカヌードで起きた激しい衝突によって、史上最長の干ばつにより受け入れコミュニティの生活状況がすでに悪化しているエチオピアのソマリ地域に、約10万人が避難しました。

今、まさに同じ地域で深刻な洪水が発生しており、ソマリアからの難民を含む50万人以上が被災していると推定されています。洪水によって約24万人が避難を強いられ、1000ヘクタールの農作物が洪水に流されました。衛生インフラが損壊しているため、人々はコレラ等の感染症の危険にさらされており、破壊された道路や燃料不足によって保健サービスへのアクセスは遮断されています。とはいえ、被災した難民と受け入れコミュニティは、緊急事態の中でも寛大に支え合ってきました。

エチオピアの人道危機は長期化・累積化し、甚大な人的被害をもたらしているにもかかわらず、社会的な関心はますます低くなってきています。2023年12月15日現在、エチオピアにおけるUNHCRの活動資金は、2023年に必要な資金の36%しか充足されていません。新たな緊急事態への対応を確実に実施する上で、指定先のない支援は重要な役割を果たしてきました。そのため、柔軟な資金提供を約束してくれた支援者の方々のおかげで、たとえ忘れ去られた危機であっても、UNHCRは命を守る活動を続けることができるのです。

物資を運ぶ人々

救援物資の提供

UNHCRはパートナー団体と共に、エチオピアのソマリ地域で最近発生した洪水により避難している家族に、寝具、調理器具、水汲み容器、衛生キット等の主要な救援物資を配布しています。現金支援があれば、シェルターを修理、建設するために現地の資材を購入し、その他の緊急のニーズに対応することができます。また、洪水から人々を守るための土嚢も提供されました。

保護された人々

避難してきた人々の保護

ハルツームで暴力行為が勃発し、家族は避難を強いられましたが、その多くはすでにスーダンで国際的な保護を受けていました。避難してきた家族には国境でシェルターや医療を提供したことに加え、UNHCRは国境付近に保護デスクを設置し、避難してきた人々から寄せられる保護に関するさまざまな問題に対応しました。例えば、ジェンダーに基づく暴力(GBV: gender-based violence)の犠牲者、親とはぐれた、または保護者のいない子どもたち、特定のニーズを持つ人々等を特定し、適切なサービスを紹介しています。

食料を受け取る人々

食料支援

UNHCRが援助するメルカディダ難民キャンプの食料配給センターでは、難民、国内避難民、受け入れコミュニティの人々に食料援助が提供されています。栄養失調に苦しむ子どもたちも、このセンターで治療を受けることができます。5月までに長期的な食料安全保障を築き、コミュニティの自立を促すため、UNHCRとパートナー団体は、メルカディダの土地86ヘクタールの耕作を援助するための肥料と燃料を配布しました。

医療援助の様子

医療支援

急速に進行する緊急事態に対応するためには、指定先のない資金が不可欠です。ラースカヌードからエチオピアのドーロ地帯に逃れてきた難民の到着に伴い、地元の医療診療所のリソースは急速に枯渇しました。UNHCRは、水、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と麻疹(はしか)のワクチン、難民と受け入れコミュニティの両方を援助するその他の医薬品と共に、ミルガーンの地元の診療所には発電機と救急車を寄贈することができました。過密したシェルターでは、疾患の蔓延を防ぐためにワクチン接種が不可欠です。

障がい者支援の様子

障がい者、特定のニーズを持つ人々への援助

障がい者や深刻な病状を抱える人々は、特に臨時的なキャンプの環境において、援助へのアクセスで差別や物理的な障壁に直面します。エチオピアのソマリ地域の難民のうち、推定16%の難民が障がい者です。UNHCRは救援物資や栄養補助食の配給場所や、子どもたちが利用しやすい教育等、特定のニーズを持つ人々のために、それぞれに合った援助が確実に提供されるようにすることを目指しています。

教育支援の様子

教育支援

エチオピアにいる難民の推定56%は17歳以下の学齢期の子どもたちですが、資源の不足によって、UNHCRが教育を提供する能力が脅かされています。写真のメルカディダ小学校でタブレットを使って英語の授業を受けるソマリアからの難民の少女たちのように、支援者の方々の貢献によって、UNHCRは難民の子どもたちに学校教育を提供できます。また、進学のための奨学金申請のサポートも可能となります。

UNHCRの緊急援助対応

2023年、世界各国で緊急事態は増加傾向にあり、UNHCRは上記に記載したソマリアのラースカヌードの激しい衝突の他、トルコ・シリア大地震、スーダンでの紛争、コンゴ民主共和国での暴力行為等、29か国で43の緊急事態に対応。救援物資740万点を1670万人に提供しました。
2024年も緊急事態の増加傾向は続く見通しで、強制避難も増加することが予想されているため、避難を余儀なくされる人々に対する連帯と支援の重要性がさらに高まっています。毎月のご支援等、指定のないご寄付によって、UNHCRは援助物資を備蓄し、いつでも迅速な援助活動が可能になります。どうぞ、これからもUNHCRをご支援いただきますよう、お願いいたします。

原文はこちら(英文)
Climate and conflict - aggregating humanitarian crises in Ethiopia
※一部、数値等、更新しております。


緊急事態「アフリカの角」食料危機

深刻な食料危機に加え、戦闘や武装勢力による激しい暴力により、多くの人々が命を守るために避難を余儀なくされています。どうぞ、今すぐご支援ください。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

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