障がいと共に生きる家族を笑顔に~ロヒンギャ難民のジュバイバさんとスマヤちゃん姉妹のストーリー~

公開日 : 2023-01-23

バングラデシュのクトゥパロン難民キャンプに住むファリダさん(31歳)は、ロヒンギャ難民として様々な困難に直面しながらも、家族を支えるため日々、明るく振る舞っています。8人家族を支えながら、ジュバイダさん(16歳)とスマイアちゃん(5歳)という脳性まひの2人の娘の世話をしています。
一家が2017年にミャンマーから逃れたときファリダさんは妊娠していたため、他人にお金を払ってジュバイダさんを8日間抱きかかえて運んでもらう必要がありました。彼女は今もそのための約100米ドルの借金を返済しています。

昨年の調査では、バングラデシュのコックスバザール地区のキャンプにいる約100万人のロヒンギャ難民のうち、12%が障がいを抱えていると推定されました。しかしここで働く人々はこの推定が控えめな数字だと考えており、感染症や頭部外傷をきっかけに発症する後天性疾患が増加しているといいます。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とそのパートナー、特にハンディキャップ・インターナショナル・ヒューマニティ&インクルージョン(HI)は、障がいのある難民が移動し、自立して生活できるよう、リハビリや補助器具などのサービスを提供して支援しています。また他のボランティアに対して、包括的かつ偏見や差別のない教育、またコミュニケーション技術などのトレーニングも行っています。

HIは、ファリダさん一家に適切なシェルターを提供し、通路を整えました。スタッフは月に2回、少女たちを訪問して理学療法セッションを行い、家族はそのセッションを再現しています。また、予算が許せば装具も提供し、ジュバイダさんには車いすを寄贈しました。スマイアちゃんは、支えがあれば少しは歩けますが、適切な支援があればより歩きやすくなるでしょう。
 

「みんなミャンマーに帰りたいんです」

ファリダさんは多くを求めませんが、水へのアクセスの改善、ジュバイダさんのための新しい車いす、そしてスマイアちゃんのための新しい靴が欲しいといいます。ファリダさんは娘たちとの時間をもっと作ろうとしています。「体操の後、歩く練習が必要です。でも、家事で十分な時間がとれないのです」。
さらにファリダさんは付け加えました。「私たちは皆、ミャンマーに帰りたいのです。でも、帰れないのです。安全ではないし、娘たちの世話しなければなりません」。

難民キャンプ内は丘陵地帯で地形が険しく、ぬかるんでいることが多いため、障がい者や高齢者は移動やサービスへのアクセスに困難を抱えています。ジュバイダさんも家からほとんど出られず、学習センターやコミュニティセンターにも通えません。時々、家族は彼女を道路まで連れて行き、そこでしばらく座っています。

しかし、HIの理学療法は効果を上げています。HIのシニアプロジェクトマネージャーであるマリア・カロリーナ・ルビオさんは次のように語っています。「私たちが初めてジュバイダさんに会ったとき、彼女は床に横たわっていました。今は椅子に座り、物を投げることができます。歩けるようになると確信しています」。

しかし、他の地域と同様、ここでも人道的予算が削減されているため、ジュバイダさんのような障がいを持った人々へのサポートが制限されています。

「私たちがUNHCRと行っている活動は素晴らしいものです」とHIのルビオさんは言います。「私たちが力を合わせれば、人々の生活を変えることができます。しかし、そのためには助けが必要なのです」。

バングラデシュでも他の国と同様、障がいを持つ難民への支援は人道的対応において優先順位が低く、現地のリソースは枯渇している状況です。そのためUNHCRには、バングラデシュで障がい者支援に専従するスタッフが1人しかいないのです。

UNHCRが掲げる“誰一人取り残さない”世界の実現のために、皆様の力を切に必要としています。ご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

国連UNHCR協会の女性支援プロジェクト

WOMEN+BEYONDプロジェクトシーズン2で目指すのは、バングラデシュでのキャンプ生活が5年目を迎えたロヒンギャ女性たちの自立支援です。

未来への展望が不透明な環境でも、自らの力で助け合い、未来を切り開こうとする女性たち。いっしょに彼女たちのストーリーを知り、次の一歩を私たちの力で支えませんか。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

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