未亡人となった8児の母オレナさん。新しい街でゼロからの生活を始め、他の避難生活を送る女性たちに勇気を与える

公開日 : 2023-10-23

2022年2月に始まったロシアの侵攻により、ウクライナ国内では現在も600万人近くが避難を強いられています。ウクライナの西部、スロバキアやハンガリーとの国境に位置するウジホロドは、安全を求める人々を温かく迎え入れ、多くの人々が新しい生活を始め、新しい技術を学び、その経験を他の人々と分かち合っています。8児の母である51歳のオレナさんは、2022年4月に東部のドネツク州での砲撃で夫を亡くし、この街に避難してきました。 

2022年2月以前のオレナさんの生活は今とは全く違うものでした。彼女は6人の子どもたちと、夫と建てた近代的で広い家に住んでおり、成人した2人の娘は別々に暮らしていました。大家族は海外で休暇をとり、子供たちは放課後の活動に参加していました。生活は順調で、素晴らしいものでした。しかし、彼らの町が激しい砲撃を受け、占領されたとき、一家はすべてを失うことになりました。オレナさんの夫も、家も、将来への共通の夢も。

ウジホロドに到着してからの2週間、オレナさんは毎日泣いて過ごしました。一時滞在施設で彼女をサポートした心理学者の助けを借りて、彼女は少しずつ傷ついた心を癒し始め、再び喜びの瞬間を見つけることができました。
「ウズホロドで一番好きなこと、絵を描くことを始めました。私は女性たちのために、感情を表現するのに役立つアート手法の一種であるデッサンやニューログラフィーのワークショップを開催しています。これを通して、私たちは夢を思い出すのです。私はワークショップに参加する避難民の女性たちに、夢は、それを実現するために人に与えられるものなのだと伝えています」。 

オレナさんはまた、地元の女性リウボフが教える料理教室にも通っています。
「以前は本格的な料理の経験がなかったのですが、ワークショップでは、ヘルシーな料理がたくさんあること、そしてそれがどの台所にもあるシンプルな材料で作られていることに驚きました。私は料理をするのが好きだし、他の女性と出会い、友達を作るのも好きです」。
 
戦時下でも人々の生活は続いています。オレナさんの子どもたちはオンラインスクーリングに通いはじめました。女の子たちは音楽教室でヴァイオリンを再開し、男の子たちは空手に通い、一緒に絵を描いたり英語を学んだりしています。

オレナさんにとって、ウジホロドは思いがけない新しい故郷となりました。いま彼女が家族のために最も望むのは、子どもたちが教育を受け続け、戦争の最前線の苦難から離れて成長することです。ウジホロドでの最初の日々を振り返り、オレナさんは言います。
「地元の人たちの優しさと気さくさに感動しました。私たちを温かく包んでくれて、住居や仕事探しなど、あらゆる相談にのってくれました。私たちがドネツクに残したひどい苦しみやトラウマから立ち直り、再出発する手助けをしてくれました」。

UNHCRは、最前線の近くで暮らす人々への緊急支援を継続する一方で、コミュニティを基盤とした保護を出発点として、持続性のある解決策を提示することを優先しています。UNHCRは、受け入れ地域の努力を土台に、現地のパートナーやコミュニティと引き続き協力し、彼らの能力、関与、対応を支援していきます。
 

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