ウクライナ南部の厳しい現実 - 砲撃、避難、洪水を生き延び、厳しい冬に怯える今現在

公開日 : 2023-11-22

ウクライナ、2023年10月27日 ― 2023年6月、カホフカ・ダムが破壊された時、2022年2月のロシアによる本格的なウクライナ侵攻以来、すでに計り知れない苦しみに耐えてきたコミュニティやその地域の家族にとって、状況はさらに悲惨なものとなりました。

戦争とダム決壊に引き裂かれた故郷

「この20か月間、私たちはロシア兵が村に侵入するのを目撃し、激しい砲撃を生き延び、避難を余儀なくされました。村に戻った後、私たちは元の正常な生活に戻り、生活を再建することを望んでいました。でもその時、洪水が起きたのです」と、アナさん(21歳)は語ります。

地元の学校教師であるアンナさんは、母親と妹と共にミコライウスカ州アファナシウカ村に住んでいます。ダムが破壊されたと聞いた時、彼女たちはダムから120キロメートル離れた自分たちの村まで水が来るとは思ってもみませんでした。しかし、翌日にはすでに家屋は浸水し、道路は洪水によって通行不能になりました。

アンナさんと家族は、水が押し寄せる直前に何とか自宅から脱出しました。彼女たちはより安全な地域にいる親戚に受け入れられ、ここからインターネットやソーシャルメディアの映像を通して故郷の村の状況を監視しました。

「私たちの村がこんなにも急速に浸水したのは衝撃的でした。私たちが最も懸念していたのは、水で地雷が村まで流されてくるのではないかということでした。それが一番怖かったです」

洪水で彼女たちの家は損傷を受け、壁の高いところには黒い粘土の層が残りました。庭も地下室も破壊され、家具はすべて駄目になり、処分する必要がありました。フェンスも完全に崩壊しました。

「洪水後、家に入った時、私たちは目にしたものを信じることができませんでした。まるで竜巻が通過したかのようでした。水の勢いはすさまじく、あらゆるものを押し流しました」とアンナさんは言い、すべての壁と床を修理しなければならなかった、と付け加えました。

UNHCRとパートナー団体が提供した緊急用の建設資材等の物資を使って、アンナさんの家族はカホフカ・ダム破壊による洪水の被害を受けた他の多くの人々と同じように、家を修理することができました。

今、アンナさんはこれからやって来る冬を心配しています。

極寒となるウクライナの冬

「私たちの村では冬は凍えるので、去年の冬と同じような停電や断水を恐れています。これだけ苦労したのですから、家族と一緒にこの家に留まりたいのです」とアンナさんは語ります。

アファナシウカ村は、カホフカ・ダム破壊による洪水の著しい影響を受けた29集落のうちの1つです。壊滅的な洪水は、人々の命、家屋、安定への希望を一掃し、そこに住む多くの人々は、緊急の避難のみならず人道支援が必要となりました。

ダム破壊の壊滅的な影響は、隣接するユリウカ村にも及びました。その村では、60代のヴァシルさんとナタリアさんのベレスト夫婦が地元の灌漑システムで働いています。また、夫妻は庭を手入れし、小さな家でさまざまな動物を飼っています。

ダムが破壊された後、彼らの村で洪水が始まるまでほんの数時間しかかからず、水位は急激に上昇しました。ヴァシルさんは仕事から急いで帰宅し、できる限り動物を救い出そうと決意しました。

「ある瞬間、ふと周りを見渡すと、胸まで水につかり、溺れそうになっているアヒル数匹を両手に抱え必死で助けようとしている自分がいました」とヴァシルさんは回想します。

迅速に行動することが重要でした。翌日までに水位は家の屋根の高さまで上昇、夫妻の40年にわたる結婚とこの地での生活で築き、手に入れたものすべてが水没の危機に瀕していました。

ダム決壊後に実施されたUNHCRのシェルター活動

4日後、水は引き始め、ヴァシルさんとナタリアさんは残った家の構造を確認することができました。幸い、壁と屋根は洪水に耐えたので、家が十分に乾き次第、修理を始めることにしました。UNHCRからの建設資材と自分たちが持つリソース、そして家族からの援助により、ヴァシルさんとナタリアさんは家の改築に成功し、冬が来る前に元の家に戻れることになりました。

「冬の間にどんな困難が待ち受けているか分かりませんが、私たちはここに、家に留まる決心をしています。ここが私たちの居場所なのですから」とナタリアさんは語りました。

2023年6月カホフカ・ダム破壊の直後、UNHCRとパートナー団体は、ベッド、マット、枕、寝具、毛布、タオル、調理器具セット、衛生キット等、必需品8万点以上を提供しました。被災者は心理社会的支援、カウンセリング、移送サービスといった援助を受け、洪水の被害を受けた1万2000人以上が多目的に利用できる現金給付を受けられるように登録されました。

 

「水の勢いはすさまじく、あらゆるものを押し流しました」

ミコライウスカ州当局の要請を受け、UNHCRとパートナー団体の現地NGO“4月10日”は、洪水被害を受けた家屋210棟を支えるために必要な建設資材を配布しました。資材には、セメント、木材、ブロック、屋根材、天井の崩落や配管の破損といった内装を修復するための材料が含まれていました。

「私たちがこれまで提供してきた援助が、戦争や洪水で被害を受けた家屋を冬の到来前に修復する実質的な手助けになっていることを嬉しく思います」と、被害を受けた地域を訪問した後、カロリーナ・リンドホルム・ビリングUNHCRウクライナ代表は述べました。

「非常に寒くなる可能性が高く、重要なインフラへの攻撃によって、人々が寒さと雨天にさらされることがさらに増えると懸念されています。そのためUNHCRは、今後数か月間の防寒対応を優先し、人々が迅速に家の断熱を実施し、暖房や固形燃料のコスト増を補い、保湿性の高い毛布といった防寒用品を受け取れるよう援助します。欧州連合(EU)をはじめとする支援者の皆様からの時宜を得た寛大な資金提供のおかげで、UNHCRとパートナー団体は、ウクライナの人々がこの冬を安全で暖かく過ごせるよう、共同の防寒対策に貢献するために全力を尽くします。」

Vira Kovalenko, Denys Kovalskyi, Victoria Andrievska, UNHCR Ukrain

原文はこちら(英文)
Surviving shelling, displacement, flooding, and now fearing the harsh winter - the stark realities of life in southern Ukraine

ウクライナの近況

2023年11月下旬以降、ウクライナ中部や近隣国モルドバ等を大雪が襲い、すでに攻撃で厳しい状況に置かれている人々の生活は停電等によりさらに窮地に陥り、特に最前線のコミュニティにおいて、弱い立場に置かれた人々に大きな困難をもたらしています。UNHCRとパートナー団体はウクライナ及び近隣諸国の政府を支え、多くの難民・国内避難民等への緊急人道支援と、早期の復興活動に尽力しています。
この冬、UNHCRは約90万人に対し、光熱費増加に対応するための現金給付、防寒着、暖房器具、家の断熱等を含むシェルター支援といった、冬の支援を行う計画です。

動画:ウクライナ・キーウからの現地レポート

2023年12月4日撮影


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