文化祭における難民支援活動の発展(東京)

淑徳中学校2年生の継続的な取り組み

公開日 : 2023-01-06

はじめに

淑徳中学高等学校(東京都)では、2013年度文化祭(光輪祭)よりUNHCRの難民支援に協力する活動を行っており、2014年度から中学2年生が食販等様々な活動を行い、UNHCRの難民支援のためにご寄付いただいております。
2022年もコロナ禍を乗り越えて新たな活動に挑戦され、331,163円ものご寄付を届けていただきました。
担当の池崎先生と生徒の皆様方に、活動の様子をまとめていただきましたので、ご覧ください。

活動について

毎年、淑徳中学校2年生は、国連UNHCR協会の講師の方の講演を聞き、文化祭で難民支援の企画を実施して、集めた募金を国連UNHCR協会の方にお届けしています。
例年の企画は食販が主でしたが、今年は事前に「演劇動画」を作成して放映をし、プレゼンテーションを行いました。また、売り上げの一部が寄付となるポーチなどの物品販売も行いました。

淑徳 演劇動画 難民

「演劇動画」については、「もしある日突然、私達自身が難民になったらどうなるのだろう」という想定で脚本を書きました。
遠い世界の出来事ではなく、身近な出来事として難民問題をとらえることができるようにストーリーを考えました。
実際に撮影を始めてみると、撮影に使える場所、道具、時間が限られているだけではなく、演技を通して難民になった場合のつらい状況を表現することは、そう簡単ではありませんでした。
同じシーンを何度も何度も修正し、取り直しながらリアル感を追求しました。
7月末から脚本作りを始め、キャストを探し、文化祭前日の9月30日まで撮影をして、最終編集をその夜に夜通し行い、文化祭当日の10月1日の朝に何とか間に合わせました。
そこまで私達は難民の「演劇動画」に力強いメッセージを込めることにこだわりました。
大勢の人が爆撃現場から逃げるシーン、食料を奪うために暴徒が襲い掛かるシーン、メインキャスト3人が難民となってさまよい歩くシーン、国境を越えようとするが目の前に高く立ちはだかる塀に打ちひしがれるシーンなどを撮影しました。
こういったシーンから、私達の当たり前の日常が突然奪われてしまったらどうなるのだろうと考えてもらえたのではないかと思います。

淑徳 プレゼン 難民
プレゼンテーションで苦労した点は、こちらも短い期間で仕上げることと、偏り過ぎないということです。「偏り過ぎない」というのは、比較的「表面的」とも言われるテレビやインターネットなどから得た情報を、私たちがそのまま安易に使うことで、被害を受けている難民の方々だけに焦点があたり、それ以外は「100%悪い」というような浅い表現になってしまうということです。
しかし、国連UNHCR協会の方からの「生の声」を伺うことで、難民の方々についての理解を深めるとともに、プレゼンテーションを客観的に深い内容にすることができました。
私たちは今回の国連UNHCR協会の企画で、「表面的」ではなく、難民の方々について「本質的」に理解をすることができるという、とても貴重な経験になりました。

淑徳 物品販売 難民
物品販売については、リーダー達が1から考えて、調べることから始まりました。
物品を製作して販売し、その売り上げを寄付すると決めましたが、製作費をおさえること、たくさんの人に買ってもらえるようなものを作ることなどの点をふまえた上で、どのような商品にするかを決めるだけでもとても苦労しました。
色々な活動をしていく上で不安や不満を多々抱えることもありました。
物品の作成を手伝ってくれる有志の人数不足などがあるなかで、協力してがんばってきました。
製作過程をなるべく簡単にしたり、材料となる布などを家から持ってきてもらうなど、時間と経費との闘いでした。結果、沢山のポーチやティッシュケースが完成しました。
文化祭当日、数人が沢山のストラップを作って持ってきてくれました。
朝早く、それをラッピングしている間、幸せを感じていました。
文化祭2日目も私達は校内を歩き回り、物品の出張販売や募金活動を行いました。

淑徳 難民アスリート写真展

また、それらに加え、UNHCR難民アスリート写真展やスタンプラリーなども行い、多くの方にこれまでと違う形で難民問題に触れていただきました。

淑徳 難民支援

その結果、コロナ禍にも関わらず淑徳史上最高額を届けることができました
それは私達にとって思い出す度に誇りに思える一生忘れない出来事となりました。
今まで、難民支援には手が届かないと思っていました。
興味がなかったとは言いません。
あったからこそここまで来られました。
それでも私達個人の力ではどうにもならない、そんな気持ちもありました。
でも皆さんの力もあり、ひとりでは到底不可能な金額の募金が集まりました。

募金だけでなく、私達が難民の知識を深め、演劇やプレゼンを通して多くの方に情報を発信でき、とてもいい経験になりました。
「難民支援をする立場」にいるのは、幸せなことなのでしょう。
だからこそその立場を無駄にせず、これからも私たちなりにできる事をしていきたいです。

最後に

中学生が自分たちにできることを考えて、より深く伝わるように追求し、難民支援の輪を大きくしていく過程が伝わってまいりました。
ウクライナをはじめとして世界各地で人道危機が拡大している中で、未来を担う若者がこのように主体的に活躍することは、とても大きな希望になります。

国連UNHCR協会は、日本各地の皆さんが、このような取り組みを通じて世界にアクションを起こしていくことを応援してまいります。

皆さんの行動力とアイディアにより、活動の可能性はさらに広がります。
ご関心を寄せていただいた方は、いつでも当協会までお問い合わせください。

最後になりましたが、この活動を企画・実施していただいた淑徳中学校の皆様、そしてお忙しいなか、記事作成にご協力いただいた池崎先生と生徒の皆様方に深く御礼申し上げますとともに、さらなるご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。

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