700万人以上の難民の子どもたちが学校に通っていないことが、UNHCRの新たな報告書で明らかに
公開日 : 2023-09-14
ジュネーブ(スイス)2023年9月8日 ― UNHCRが発表した新しい報告書によると、世界の学齢期にある難民の子どもたち1480万人の半数以上が今、公式な教育を受けておらず、彼らの未来の繁栄と世界的な開発目標の達成が危機にさらされています。
UNHCRの2023年難民教育報告書*は、70か国を超える難民受け入れ国のデータをもとに、世界の難民の教育状況をこれまでで最も明確に示しています。この報告書によると、2022年末までに、学齢期の難民の数は、1年前の1000万人から50%近く急増。推定51% - 700万人以上の子どもたち - が学校に通っていません。
* 報告書の全文(英語)はこちら
難民の教育就学率は、報告されている国の教育レベルによって大きく異なり、就学前段階が38%、初等教育が65%、中等教育が41%、高等教育はわずか6%です。所得の低い国々を除けば、難民と難民ではないい人々の就学率の差は歴然としており、学校に通う難民の数は著しく少なく、教育へのアクセスの欠如がいかに機会を奪っているかを示しています。
彼「中等・高等教育レベルで学ぶ機会は限られているため、教育水準が高くなればなるほど、その数は急減します」と、報告書の序文でフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は書き記しています。
「教育へのアクセスが大きく向上しない限り、彼らは取り残されてしまうでしょう。これでは、就労、保健、平等、貧困の撲滅など、他の目標を達成することはできません。」
難民の20%は世界の後発開発途上国46か国に住んでおり、4分の3以上は低・中所得国に住んでいるため、避難を強いられる子どもたちの教育へのコストは、最貧困層への不均衡な負担となっています。
「難民にも受け入れ国で学ぶ人々と同じアクセスと権利を与える、完全に包括的な教育システムが必要です」とグランディ弁務官は追記しました。「難民受け入れ国がそのような政策を実施している場合、世界や地域の金融機関、高所得国、民間部門からの計画的な複数年にわたる支援が必要です。リソースが乏しく、過大な負担を強いられている国々に、自分たちだけでこの任務を引き受けることを期待することはできません。」
「潜在能力を引き出す: 教育への権利と機会」と題された本年度の報告書は、難民教育の課題の規模を明らかにするのみならず、教育へのアクセスが確保された場合の学齢期の難民の可能性の大きさも明らかにしています。
この報告書では、アフガニスタン、イラク、南スーダンからの難民の学習者が障壁を乗り越え、チャンスをつかみ、優秀な成績を収めた例を紹介しています。また、アメリカ大陸やウクライナからの学齢期の難民の教育状況についても深く掘り下げています。そして、難民教育を支援するために、支援者、市民社会、その他のパートナー、そして難民受け入れ国が共に取ることのできる重要なステップを提案しています。
世界的に前向きな動きとしては、報告されている国々における教育へのアクセスに関して、難民の学習者の平均的な男女比がほぼ同等であることなどが挙げられます(初等教育レベルでは男子63%、女子61%、中等教育レベルでは男子36%、女子35%)。しかし、個々の国のデータを見ると、男女間の格差が依然として大きい国もあることが分かります。また、質の高い教育を受けることができれば、難民の学習者が優秀であるという国家試験の結果もあります。
難民が取り残されれば、すべての人々に包括的で公平な質の高い教育を、という国連の持続可能な開発目標(SDGs)は達成されません。しかし、学齢期の難民が教育を受けられるようになれば、難民は成長し、個人、受け入れ国、故郷の国々に利益をもたらすことができます。
ケニアのナイロビ大学で法律を学ぶ南スーダン難民のモニカ・マリスさんは、報告書の中で次のように述べています。「教育を通じて私たちに力を与えることで、苦難の連鎖を断ち切り、明るい未来への道筋を示すことができるのです。」
原文はこちら(英文)
New UNHCR report reveals over 7 million refugee children out of school
難民に教育を!
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