忘れられつつあるミャンマーの紛争の中で故郷を想う避難家族

ミャンマーの情勢不安は現在も続いており、多くの人々が今も厳しい避難生活を強いられてます

公開日 : 2023-11-24

ラカイン州ムラウウー郡(ミャンマー)2023年10月24日 ― 大雨で金属の屋根を揺らされる音が、ラカイン州にある国内避難民のためのミャタサウン・サイトに響き渡ります。

遠くでは、建立500年の石造パゴタ(仏塔)が緑豊かな風景を彩っています。ミャタサウン・サイトがあるムラウウー郡は、豊かな文化遺産と、かつて栄華を誇ったアラカン王国の首都として有名です。

ミャタサウンの仏教僧院では、女性たちがUNHCRからの救援物資を受け取る順番を辛抱強く待っています。宗教施設や受け入れコミュニティは、避難を強いられている家族の援助において重要な役割を果たしており、紛争時には避難場所として機能することが多くあります。

モンスーンの雨が降り続く中、ぬかるんだ道を通り膝の高さまである水につかりながら、大きな緑色の袋を頭に載せ、慎重にバランスを取りながら、シェルターへと戻ります。大雨が降ると敷地は定期的に浸水し、住民はその場しのぎの竹でできた歩道を使って移動せざるを得ません。

情勢不安に翻弄され、避難を続ける人々

あるシェルターでは、ウー・テイン・フレさん(57歳)が夫や子どもたち、孫たちと身を寄せ合って袋の中身を調べています。その中には毛布、就寝用マット、調理器具セット、蚊帳といった基本的な生活用品が入っています。

「外部からの援助がなければ、私たちの生活はもっと困難なものになっていたでしょう」とウー・テイン・フレさんは言いました。農家だった彼女の家族は、迫撃砲が村に着弾して家を破壊されたため、土地を捨てざるを得なかったのです。

現在、ミャタサウンは近隣の4つの村から来た1100人以上の人々に安全を提供しています。その大多数は、民族武装組織アラカン軍とミャンマー軍との戦闘がこの地域を揺るがした2019年に到着しました。

2018年に紛争が始まって以来、ラカイン州中部から北部にかけて、主にラカイン族の人々が10万人以上避難し、そのうち約5万1000人が現在も避難生活を続けています。ラカイン州の他民族であるロヒンギャに国際的な注目が当てられているため、その紛争の影響はあまり知られていません。ロヒンギャは暴力行為の影響を受け、市民権、移動の自由、基本的サービスへのアクセスなど、基本的権利を厳しく制限されています。

避難から4年、ウー・テイン・フレさんの家族は、ミャタサウンの他の多くの人々と同様、就労機会は限られており、生計を立てるのに苦心しています。ラカイン州はミャンマーで最も貧しく、最も開発が遅れている州のひとつで、コミュニティは生き延びるために、複数の組織から提供される人道援助に大きく依存しています。

基本的な生活用品に加え、UNHCRは避難を強いられている人々のコミュニティにシェルター支援も実施しています。2023年1月以来、紛争の影響を受けたラカインの9つの郡で4万4000人以上がUNHCRの援助を受けました。

持続的な帰還の見込みは薄く

ミャタサウンでは多くの家族が村に戻ることを切望していますが、緊張と情勢不安は続いており、2022年11月に合意された脆い停戦を脅かしています。「ここ(避難サイト)では、あまり自由はありません。私たちの村では、好きなことをして、好きなところに行くことができました…でも、恐ろしくて帰還はできません」とウー・テイン・フレさんは言いました。

避難サイトからわずか4マイルしか離れていないにもかかわらず、ウー・テイン・フレさんの村はいまだに帰還するには安全ではない、とみなされています。この地域には地雷があるため、家族は農作物の栽培や家畜の世話、竹の採集ができないのです。村のそばには丘があり、その丘は今も武装した戦闘員に占拠されています。

避難する人々のコミュニティが直面しているプレッシャーに加え、事実上の当局によってサイトが閉鎖される可能性があることも、彼らをさらに弱い立場に追いやっています。ミャタサウンは閉鎖される予定はありませんが、他のいくつかの避難サイトでは、家族が村に戻るか、または別の場所に移転することを余儀なくされています。

避難する人々の多くは村に戻りたいという願望を表明していますが、多くは衝突の再開や地雷の存在を恐れて、安心して村に帰還することができません。持続的な帰還は、安全性と大きく関係しています」とフェデリコ・セルサーレUNHCRシットウェ事務所代表は説明します。

「私たちは一生ここ(ミャタサウン)に住み、ここで死ぬことになるかもしれなません」

「避難する家族は、安全かつ尊厳をもって村に帰還する権利がありますが、その決断は、十分な情報を得たうえで、彼ら自身の意思で行う必要があります。誰も強制的に帰還させられたり、避難先から立ち退かされたりしてはなりません。UNHCRは引き続き、持続可能な解決策を模索する家族を人道的に援助します」とセルサーレ代表は付け加えました。

長引く情勢不安と武力紛争再開の脅威の中でいつ故郷に帰れるのか、ウー・テイン・フレさんには分かりません。「私たちは一生ここ(ミャタサウン)に住み、ここで死ぬことになるかもしれなません」と、彼女は涙を流しながら言います。「私たちに未来はないように感じるのです。」

Reuben Lim Wende

原文はこちら(英文)
Displaced families yearn for home in Myanmar's forgotten conflict

ミャンマーの近況

2023年10月下旬以降、ミャンマー北西部、ラカイン州を含む南東部の各地で武力衝突が急速に激化。2021年2月以来、最大規模かつ最も広範囲に及ぶ地域で情勢が悪化しています。この暴力の再燃により、推定約20万人が避難を強いられている他、民間人の死傷者、任意の逮捕や拘束も報告されています。


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