ちばてつやさんが『Think About a Refugee』キャンぺーンカードにデザイン協力
公開日 : 2023-11-02
難民のことを思うとき
数ではなく ひとりの「ひと」を思えたら どんなに素敵でしょう
―― 難民支援キャンペーン ――
Think About a Refugee
約80年前、 当時6歳だった私はそれまで暮らしていた旧満州から家族とともに日本へと引き揚げました。その行程は本当に過酷で、 およそ1年がかり。 道中、父の友人で徐さんという中国人にかくまってもらわなければどうなっていたかわかりません。
世界中のどこであっても寝る場所や食べるものに不自由する避難生活というのはとてもつらく過酷だと思います。
私と家族は中国大陸での避難生活だったのですが引き揚げた年のひと冬だけで20数万人も命を落としたマイナス30度にもなる厳しい寒さは、本当にこたえました。
今、厳しい環境の中で冬を迎える難民の子どもたち。世界中の人々が力を合わせて差し伸べられる「手」はないものでしょうか。 本来であれば生命力に満ちあふれ、楽しく明るく健やかに成長しているべき子どもたちが、 空腹と絶望感にさいなまれている現実には、 本当に胸が痛みます。
平穏といわれる今の日本でも、 給食がなくなる時期に子どもに食べさせるものに困る家庭が増えていると聞きます。格差社会が広がっている現在ですが、少しでも余力のある人たちが困っている人々に手を差し伸べることは、 人間という生き物が営む社会の大切な基礎だと思うのです。
多くの仲間とともにお互いが支えあって繁栄してきたのが「人間」 です。今現実に困窮している難民を助けるという行為はとても人間らしい行為ではないでしょうか。
2023年11月 ちばてつや
ちばてつや

1939年(昭和14年)1月11日、東京築地の聖路加国際病院で生まれる。同年11月に朝鮮半島を経て、1941年1月旧満州・奉天( 現中国・遼寧省瀋陽)に渡る。1945年終戦。翌年中国より引揚げる。1950年、友人の作る漫画同人誌「漫画クラブ」に参加。 1956年、単行本作品でプロデビュー。 1958年「ママのバイオリン」で雑誌連載を始め、1961年「ちかいの魔球」で週刊少年誌にデビュー。 主な作品に「1・2・3と4・5・ロク」、「ユキの太陽」、「紫電改のタカ」、「ハリスの旋風」、「みそっかす」、「あしたのジョー」、 「おれは鉄兵」、「あした天気になあれ」、「のたり松太郎」など。2002年紫綬褒章を受章。 2009年第33回講談社漫画賞講談社創業100周年記念特別賞を受賞。 2012年旭日小綬章を受章。 2014年文化功労者。 2022年日本芸術院会員。公益社団法人日本漫画家協会会長。 2023年現在小学館ビッグコミック誌にて「ひねもすのたり日記」を連載中。 https://chibapro.co.jp/
この冬も多くの難民の命が危機にさらされようとしています。長引く避難生活で困窮している難民の多くが劣悪な住環境にあり、冬は命の危機が迫ります。
UNHCR(ユーエヌエイチシーアール:国連難民高等弁務官事務所)は、シリア難民・国内避難民が避難生活を送るレバノン、ヨルダン、シリアをはじめ、アフガン難民・国内避難民が避難生活を送るパキスタン、アフガニスタン、そしてウクライナやその周辺国などの各国で、今年も難民が冬を無事乗り越えられるように防寒支援を行います。
難民が直面している現状と、UNHCRの難民援助活動を広く知っていただき、支援の輪を広げることを目的に、この度、国連UNHCR協会(東京都港区)は難民援助活動の資料を請求した方に、漫画家のちばてつやさんの作品を使用した「キャンペーンカード」をプレゼントする『Think About a Refugee』キャンぺーンを展開します。
『Think About a Refugee』には「難民のことを思うとき、数ではなくひとりの『ひと』を思ってほしい」という願いがこめられています。
今回は、2019年の美術家・奈良美智さん、2020年の現代美術家・JUNICHI さん、2021年のいわさきちひろ美術館、2022年のヤマザキマリさんのデザイン協力による同キャンペーンに続く、『Think About a Refugee』キャンペーン第五弾となります。
ちばてつやさんは第二次世界大戦の際、満州からの引き上げを体験していたこともあり、以前から難民問題に関心を持っておられました。今回、ちばてつやさんは難民支援の輪が少しでも広がるようにと『Think About a Refugee』キャンペーンカードに作品をご提供すると共にメッセージをお寄せくださいました。
今回『Think About a Refugee』キャンペーンカードに提供していただいた作品は、ちばさんが2003年に発表した漫画『家路 1945-2003』からの絵。この作品は、ちばさんの満州引き上げ体験を描いた自叙伝的作品で、今回カードに使われる絵は、大きな荷物を背負った少年が日本に帰るため満州の雪の中を歩く姿を描いた作品です。
国連UNHCR協会 『Think About a Refugee』 キャンペーン
難民援助活動の資料を請求した方に「キャンペーンカード」をプレゼントいたします
※お申込み先着500名様 (お1人様1部のみ/無くなり次第終了)

※実際のカードのサイズは2つ折りの状態で<縦200×横105mm>です
※中面に、ちばてつやさんが難民に寄せたメッセージが印刷されています
©ちばてつや 『家路 1945-2003』 2003年