日本から届いた「あたたかさ」と「安心」に、ありがとう

公開日 : 2022-04-28

中東シリア、イラク、ヨルダン、レバノンの地図

今年もコロナ禍の影響で未だ多くの難民が貧困ライン以下の生活を強いられる中、40年に1度ともいわれる厳しい寒さが、この冬中東地域の難民を襲いました。
過酷な寒さから難民を守るために、UNHCRの防寒支援にご協力をいただき、誠にありがとうございました。

皆様の温かいご支援のおかげで、シリア、ヨルダン、イラク、レバノンを含む中東地域で昨年12月までに約260万人の難民・避難民に、毛布や防寒具、給付金などの防寒支援を届けることができました。
支援を受けた人々の多くは、今年で避難生活11年目を迎えるシリア難民です。
この度は、心からの感謝の気持ちをこめて、皆様からのご寄付で形となったUNHCRの防寒支援活動の一部をご紹介します。

シリア

シリアでは、昨年12月までに紛争で家を追われた49万3150人(11万1000世帯)の人々が、厳しい冬を乗り越えるために必要な防寒支援物資を受け取りました。物資は、マットレス、毛布、冬用の衣類、寝袋、シェルターを雨雪から守る防水シートなどが含まれています。また1万1152人の難民(4251世帯)に、合計で170万米ドルの現金給付が行われました

2022年1月にシリア北西部のアレッポとイドレブで発生した大雪では、仮設住居(テント)が破壊されてしまった避難民に2400張のテントがトルコ側から輸送されたほか、マットレスや防水シートが入った1万5000個以上の救援キットが届けられました。そして被災した難民の生活を支える緊急支援金として、1家族に100米ドルが給付されました。

イラク

「暖房用の燃料を買うため、現金給付を受けられてよかったです。支援がなければ、子どもたちは寒さで病気になっていました。」

支援を受けた子どもたち

現金給付支援を受けたシリア難民のハディヤさんは、そう語ります。UNHCRは2021年10月よりイラクで防寒支援を開始し、2021年12月までに脆弱性に基づき支援が必要と判断された21万4648人のシリア難民が現金給付を受け取りました。
「少なくとも吹雪に見舞われる前に支援金を給付したため、難民の家族たちは子どもたちの暖かい衣服や暖房用の燃料を事前に買うことができました」と、UNHCRイラク・スライマーニーヤ事務所のボラ事務所長は、早期の支援が人々の命をつないだことを語りました。

レバノン

「あたたかい毛布が届きました!」

支援物資を受け取った難民2022年2月、ベッカー高原でUNHCRから毛布やマットレスなどの防寒支援物資を受け取ったシリア難民
UNHCR職員と子どもたち

レバノンでは約5か月に及ぶ厳しい冬をしのぐため、2021年10月から毛布やマットレス、シェルターキットなどの防寒用品や救援物資が配布され、現金給付も行われました。2021年12月末までに120万人以上の難民(25万8909世帯)が給付金を受け取りました
大雪に見舞われたベッカー高原では、400人以上の難民が毛布やマットレス、給水容器などの支援物資を受け取ったほか、雪の影響でシェルターが破壊された人々に、3655個のシェルター補強キットが2830世帯に届けられました

ヨルダン

「言葉にできないくらいうれしい。冬の支援は本当にありがたいです。」

シリア難民の母子

笑顔で嬉しそうに語るシリア難民のナワルさん(42歳)は、5人の子どもを育てているシングルマザーです。2013年から、家族でシリアからヨルダンへと避難してきました。一家が住むアパートは雨漏りがひどく、暖房もない中でこれまで冬はとても大変だったそうです。寒さで娘が体調を崩しても、薬代を賄う余裕もありませんでした。しかし一家は昨年11月に、UNHCRからの冬を越すための現金給付を受け取ることができました。「現金給付支援で、毛布、暖房用のガス、娘の薬などを購入し、そして念願だった雨漏りの修繕をする予定です。」
ヨルダンではこの冬、ナワルさんのようなシリア難民を含む10万2000世帯(42万人以上)の難民・避難民に、現金給付を実施しました

シリア難民の女性

「支援金のおかげで、冬用の衣類と暖房用のガスなどを購入できました。」

ザータリ難民キャンプで暮らすシリア難民のファンディエさん(74歳)は、両親を失った4人の孫たちの父親・母親代わりを務め育てています。この冬、ファンディエさんはUNHCRから冬を越すための現金給付を受け取り、今にも飛び上がって喜びそうな様子で支援金をどのように使ったかを語ってくれました。「もし支援がなかったら、私は途方に暮れていたと思います。受け取った支援金で、冬用の衣類と暖房用のガス、そしてシェルターの修繕費と借金の返済に充てられました。」

「長引くコロナ禍により、皆様のご寄付は、より一層貴重なご支援となりました」

元UNHCRヨルダン事務所 准渉外官 進藤弘騎

進藤職員

日本最古の和歌集「万葉集」には、貧窮問答歌のように、貧困と寒さの苦痛を歌ったものがありました。人類は長きに亘り、同じ課題を抱え続け、残念ながら私たちの世代においても、すぐに恒久的な解決策を見出すのは困難かもしれません。しかし、コロナ禍において更に苦境に陥りかけている方々の苦痛を和らげることは可能です。

UNHCRヨルダン事務所では2021-2022年の冬季にかけて、皆様からの温かいご支援により、防寒支援のための現金給付を10万2000世帯の難民の方々に実施する事ができました。防寒支援のための現金給付は、コロナ禍で職を失ってしまったり、収入が減少してしまった、都市や難民キャンプに住む最も脆弱な立場にある方々にとって大変貴重な支援となりました。

難民の方々は、SMSを通じて現金給付の準備が整ったことを確認し、詐欺防止システムを使用した虹彩認識テクノロジー*1及びATMを通じて、現金給付を受けます。シングルマザーなど女性世帯主の家庭、年配者や障がいを抱える人々には優先的に支援が届けられ、特に支援を必要とする難民の方々がしっかりと支援を受けられるように配慮しています。長引くコロナ禍のなか、貴重なご支援を頂き、UNHCRヨルダン事務所一同、心より感謝申し上げます。

*1 瞳の虹彩の読み取りによる個人の識別

温かいご支援をありがとうございました。
ぜひ、引き続きご協力いただければ幸いです。

この度はUNHCRの防寒支援に温かいご協力をいただき、誠にありがとうございました。 皆様からいただいたご寄付のおかげで、UNHCRはこの冬も中東地域で厳しい冬を迎えた難民に、「あたたかさ」と「安心」を届けることができました。届けられた暖かい毛布などの防寒用品や、シェルターキット、現金給付などの支援は、氷点下にも達する中東地域で過酷な避難生活を強いられている難民にとって、まさに命をつなぐ支援となりました。
変わりゆく世界情勢の中で、紛争や暴力が原因で突然平和を奪われ、故郷を追われる人々の数は増え続けています。UNHCRは引き続きシリア難民を含む世界の難民に寄り添い、命を守る援助活動に尽力していきます。ぜひ今後とも温かいご支援を、よろしくお願いいたします。


その一歩はいつか、シリア再建への一歩に。

シリア危機が始まってから11年。破壊された故郷で、暮らしを立て直そうと前に踏み出す人たちがいます。これからも難民支援にご協力いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

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