ウクライナ全土にジェンダーに基づく暴力の被害者に支援を届けるため、移動式の保護サービスが不可欠

公開日 : 2022-11-30

ウクライナ、2022年11月24日 ― UNHCRのパートナー団体であるNGOロカダのソーシャルワーカー、カテリーナさん(31歳)は、ウクライナの10州でジェンダーに基づく暴力(gender-based violence)プログラムを調整し、専門スタッフ20人の仕事を監督しています。

「戦争のために、ジェンダーに基づく暴力が増加していることが分かります。戦争に関連した性暴力とは別に、戦争は人々の心理状態の変化を引き起こしました。敵対行為の影響を強く受けた場所に留まることで困難に直面したり、避難を経験して、アルコール乱用などの否定的な対処メカニズムによってストレスを解消しているのです」とカテリーナさんは説明します。

ジェンダーに基づく暴力は、性的、身体的、精神的、経済的な被害を含む様々な形態をとり、公共の場でもプライベートでも起きる場合があります。暴力や強要や操りといった脅威、親密なパートナーからの暴力、性暴力も含まれます。女性や少女の方が影響を受けやすく、避難状況においては、ジェンダーに基づく暴力にさらされるリスクが高まります。

「人々は故郷からの避難を強いられると、友人や家族のネットワーク、そして生計手段を失い、新しい町や都市で生活をすることになります。そのため、彼らの脆弱性が悪化する可能性があるのです」とカテリーナさんは続けます。

カテリーナさんによると、家庭内暴力を含むジェンダーに基づく暴力というテーマは、ウクライナ社会でタブー視されることが多いのだそうです。小さな町や村では、人々は虐待について話すことを恥と考えています。「被害者は起きてしまったことを自分のせいにすることが多く、それがさらに状況を悪化させてしまうのです。」

UNHCRとパートナー団体は、社会/保護サービスへのアクセスが途絶えた、到達困難な場所や安全ではない場所に赴く多機能移動式チーム等、様々な手段を通じて重要なサービスの欠如に対応する努力を強化しています。

「1つの移動式対応チームは通常、ソーシャルワーカー、弁護士、心理学者といった数名の専門家で構成され、現地の住民に専門的なサポートを提供します。このようなグループが日々現場にいて、コミュニティと会っています」とカテリーナさんは説明します。個別相談やカウンセリングのほか、専門家によるグループディスカッションや、ジェンダーに基づく暴力の予防と対応、どこでサービスを受けられるかなど、様々なテーマについての研修を行っています。

コミュニティの人々は、友人や知人のグループの中でジェンダーに基づく暴力の兆候を見いだし、最初に発見することができます。そのため、被害者が必要なサポートを受けられるよう、彼らへも重要な情報を共有することが重要です」とカテリーナさんは付け加えます。

UNHCRのパートナー団体であるロカダは、キーウ、ジトーミル、チェルニヒフ、フメリニツキー、テルノピル、リブネ、ヴォリン、リヴィウ、チェルノフツィ、イバノフランコフスク等、ウクライナ国内の10地域で、ジェンダーに基づく暴力の被害者を含む男性、女性、少年、少女に心理社会的/法的支援を行うために、移動式チームを利用しています。

カレン・ホワイティングUNHCR保護担当代表補は、移動式対応チームによって、被害者が必要とする専門的なサービスを受けられないような到達困難な地域のコミュニティに、ジェンダーに基づく暴力の専門家が出向くことができると考えています。「UNHCRは、ジェンダーに基づく暴力の予防と対応の分野で協力する組織の大きなネットワークの一部であり、ウクライナの国家機関と緊密に連携して活動しています。保護サービスの地域化を通じて、ウクライナ全土の地域と現地の状況を熟知している地元の専門家と連携しています。だからこそ、被害者のニーズに応えるのに最も適した立場にあるのです。また、障がいのある女性や少女は、障がいのない女性や少女に比べて、最大で10倍もジェンダーに基づく暴力を経験しやすいことを認識しています。したがって、私たちの活動では、十分に代表されていない女性や少女に手を差し伸べなければなりません。」

ロカダ、ニーミア、ニーカ、インサイト、プロリスカ、インタソス、トライアングル・ジェネレーション・ヒューマニタイア、ライト・トゥー・プロテクション、クリミアSOS、安定サポートサービスというUNHCRのパートナー10団体がジェンダーに基づく暴力の防止、軽減、対応に従事しています。2022年だけでも、8万7000人以上に心理社会的支援、ジェンダーに基づく暴力に対象を絞った支援、そこからの保護と心理的応急処置に関するトレーニングと意識啓発を組み合わせて提供してきました。

UNHCRは、ジェンダーに基づく暴力の専門家の活動を可能にしている、欧州委員会(EU)人道援助・市民保護総局を含む支援者からのサポートに感謝しています。

カテリーナさんは、この業務を続けなければならないと考えています。「戦争は人々の心理状態を悪化させ、ここ数か月の間に支援を受けたジェンダーに基づく暴力の被害者から学んだように、戦争によるストレスが引き金となり、古いトラウマが再発してしまう傾向があるのです。このような人々はとてつもなく苦しみ、自分自身を責めることもあります。たとえ子どもでさえも。私たちはこのような人々を救済し、彼らが緊急に必要としている支援を確実に受けられるようにしなければなりません。」

Victoria Andrievska

原文はこちら(英文)
Mobile protection services are critical in delivering support to survivors of gender-based violence across Ukraine


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