イエメンの現場からUNHCR職員の声「世界最大の人道危機の一つであるにもかかわらず、最も知られていない危機の一つでもあるのです」

2006年からコソボ、ヨルダン、ケニア等での任務に就き、現在イエメンのアデンで働くマリー・ヘッセルホルトUNHCR上級保護担当官へのインタビュー

公開日 : 2022-05-09

なぜUNHCRで働くことを選んだのですか?

UNHCRで働くことは容易ではありませんが、避難を強いられた人々の話を聞くと、たくさんのことを学びます。

UNHCRとの出会いは偶然でした。旧ユーゴスラビアでNGOの仕事をしていたら、UNHCRで仕事をする機会を得ました。支援を提供すると同時に避難する人々と働き、彼らから学ぶことができる役割、という完ぺきなバランスを見つけたので、この仕事を続けています。UNHCRの国連ボランティアからスタートし、コンサルタント、その後ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)を経て、現在に至ります。

難民や国内避難民を支援するプログラムを構築するために、チームとして働けることにとても感謝しています。

UNHCRは保護機関として、人道支援対応において特別な役割を担っています。イエメンでは、保護に注力し続けることが重要です。究極的には、戦争は人類に起こることですが、避難は選択できません。

自分の仕事をどう説明しますか?

私たちはイエメンで国内避難民400万人以上、難民と庇護希望者10万人以上を支援しています。進行中の戦争の真っ只中です。大半はソマリアとエチオピアからですが、アフリカ東部と“アフリカの角”*から移動してくる多くの人々にとって、イエメンは主な通過国です。紛争時、そして特にパンデミック時には移動してくる人々の数は減りましたが、今も相当数の人が移動していることが分かります。
* アフリカ東部のエチオピア、エリトリア、ジブチ、ソマリア、ケニアを含む半島

UNHCRイエメンは、いわばフルパッケージのの支援を実施しています。保護チームはコミュニティや特別なニーズのある人への支援を提供し、ジェンダーに基づく暴力(Gender-based Violence)や子どもの保護に取り組んでいます。

私たちの活動の中で最も大きな割合を占めるのが、国内避難民への対応です。イエメン各地が最前線になっています。戦闘があちこちに進むたびに、イエメンの人々が新たに避難するのを目の当たりにします。そうなったら、緊急対応を開始しなければなりません。

イエメンには国内避難民が420万人以上いて、その大多数は新たに避難してきている訳ではありません。しかし、最前線での活動の影響で、帰還することができないのです。

この半年間、私たちは特にイエメン最北部のマリブの状況に着目してきました。イエメンで最も激しい紛争地域の一つであり、避難する人々が最多となっている場所の一つでもあります。ここ数か月で非常に危機的な状況に陥っています。私たちはマリブに現地事務所を構え、国内避難民の保護、そして毛布、衛生キット、調理用器具、シェルター等の支援を行っています。

UNHCRで働く中で、最良の経験は?

誰かの役に立った時が、最高の瞬間です。例えば、失踪した親類や大切な人を何とかして見つけ出す手助けをする時、自分の仕事が変化をもたらしたと実感できます。

また、難民が再定住できることになり、今日この家族が飛行機に乗って出発しました、というメッセージを受け取る瞬間は、いつだってとても特別です。安堵と幸福を感じる瞬間です。

イエメンで働くスウェーデン人として、スウェーデンがイエメンからの難民の再定住を受け入れている数少ない国の一つであることは、私にとって特別で重要なことです。

さらに、保護担当官して、国内外のスタッフが力を合わせて働いているのを見るのは、最も大切な瞬間の一部です。国内スタッフの地元の知識と経験が、国際スタッフの一員である私のツールボックスと“カチッ”と合い、一緒に解決策を見出すことができた時です。

UNHCRで働く中で、最悪の経験は?

イエメンは非常に複雑な状況です。ここで働く私たちの多くにとって、最も複雑な危機の一つです。イエメンは主に保護の危機にありますが、食料不安や暗澹たる経済といった問題と連動しています。

ヘッセルホルト職員
マリー・ヘッセルホルトUNHCR上級保護担当官

ここで働く上での課題の一つは、これが世界最大の人道危機の一つであるにもかかわらず、最も知られていない危機の一つであるということです。イエメンについて一般的にあまり知られていない中で、私たちが日々の業務で目にする困難について認識を高めてもらうことは、大きな課題です。国内避難民は国内避難民であり、そして難民は難民であり、世界のどこにいようと、それは同じです。しかし、イエメンで働くと、昨今はそのメッセージを強固なものにしたくなるのです。

UNHCRとして、私たちは国連機関ファミリーや、より大きな人道支援コミュニティと協力して働いています。資金不足は私たちすべてに影響を与え、それは現状のサービスや支援が他から適切に補完されないことを意味します。そのため、即時の緊急対応のみならず、物事を積み重ねていくことが非常に難しくなっています。人道支援のコミュニティとして、私たちは決して十分な力を発揮できていないと感じています。そして、資金がすべて充当されている訳ではないので、誰を支援するのか、優先順位をつけなければなりません。とても難しい決断ですが、しなければならないのです。私たちは、実際に必要なことではなく、利用可能なもので仕事をしなければならないことが多いのです。

Nannie Skold - 2022年3月28日

原文はこちら(英文)
Stories from the Field: “This is one of the largest humanitarian crises in the world, but it is also one of the least known


世界に忘れられた人たちが、命をつなぐ支援を必要としています

激しい戦闘や迫害、気候変動等により家を追われながらもほとんど報道されない人道危機も世界には多数存在します。このような「サイレントクライシス(報道されず知られていない危機)」は恒常的に資金不足に陥ることがあります。「国連難民サポーター」の皆様による月々のご支援により、資金不足で支援が届けられない恐れのある人々へも支援を届け、故郷を追われた人々の命をつなぐことができます。難民を守り、支える国連難民サポーターになっていただけませんか?

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