ペアを組み、キャンプでの教育のハードルに挑むロヒンギャ難民とバングラデシュ人の教師

一緒に授業をすることで、ロヒンギャ難民と地元バングラデシュ人の間に理解が生まれます

公開日 : 2022-07-21

物心ついたときから、シャー・アラムさんの夢は教師になることでした。しかし、高校を卒業する前に母国ミャンマーからの避難を余儀なくされ、彼の教育は突然終了しました。

コックスバザール(バングラデシュ)2022年7月20日 ― 国境を越えたバングラデシュのコックスバザールにできたキャンプで、彼と家族は共に安全を見出しました。でも、シャーさんは大学どころか、高校を卒業する機会もありませんでした。

しかし、それから約5年後、現在22歳のシャーさんは、難民約75万人が暮らすクトゥパロン・キャンプで、竹枠の教室の床に座って40人ほどのロヒンギャの子どもたちの授業を担当しています。

シャーさんが教室の前で子どもたちにミャンマー語を教える一方、コックスバザール地区のバングラデシュ人コミュニティに住むミンハー・ベガムさん(24歳)は、教室を回りながら、同僚の指示に皆が従っているかどうかを確認しています。

「一緒に授業をすると、クラスを調整しやすいのです」

シャーさんとミンハーさんは、この学習センターで2年間ティーチング・アシスタントとして一緒に働いています。2人とも正規の教師ではありませんが、UNHCRの研修を受けており、2人の間で、主に基本的な読み書きと計算、そしてミャンマー語や生活スキルからなる略式カリキュラムを網羅しています。

「一緒に授業をすると、クラスを調整しやすいのです」とシャーさんは言います。「彼女が前方にいて、たぶん何かを説明していると、私は後方にいることができます。すべての生徒に平等に目を向けることができるのです。」

動画:教員になる夢をかなえたロヒンギャ難民

ロヒンギャ難民と地元のバングラデシュ人がペアを組み、コックスバザールのキャンプ内にある5600か所の学習センターで教えることになったのは、必要に迫られてのことだった、とUNHCRシニア保護コーディネーターの中柴春乃職員は説明します。

「ミャンマーでは移動等の権利が制限され、高等教育を修了できたロヒンギャはごくわずかだったため、難民の間で教師が不足しています」と彼女は語ります。「そこで、英語や数学等、一部の科目については、バングラデシュ人の先生を採用することにしました。これは、彼らの雇用を創出するということでもあるのです。」

ロヒンギャの人々はほとんどキャンプに閉じ込められているため、こうした教育パートナーシップは、難民と地元バングラデシュ人が共に集う数少ない機会を提供するという利点もあります。

「私たちはきょうだいのように、お互いのことをよく理解しています」と、ミンハーさんとの関係について、シャーさんは語ります。「最初はあまりコミュニケーションを取らなかったのですが、今では長所や短所、改善点等を話し合います。」

お互いに支え合いながらも、学習センターでの授業に課題がないわけではありません。この略式カリキュラムは、2017年にロヒンギャがバングラデシュへ流入した後、子どもたちがある程度の読み書きと計算を習得するための緊急措置として開発されたものです。標準化された正式な教育の代わりにはならず、4つのレベルは4歳から14歳の幼い子どもたちだけを対象としているため、それ以上の年齢の子どもたちの教育には重大な欠陥があるのです。

「子どもたちの課題ということでは、私自身も同じです」とシャーさんは言います。「ここには、教育のための正規の経路がないのです…レベル2に合格した後、認定証がないために戻ってこようとしない生徒も少なくありません。」

また、キャンプ内の道がぬかるみ、危険な状態になるモンスーンの季節には、初等教育の年齢の子どもたちの学習センターへの出席率がさらに下がる、と彼は語ります。「親のために働く子どもたちもいれば、何もせずに日々を過ごす子どもたちもいます。」

中柴春乃UNHCR職員は、以前からキャンプで正規の教育が全く行われていないことをUNHCRは懸念しており、国連児童基金(UNICEF)やその他パートナー団体と共に、現在のシステムをミャンマーの国家カリキュラムに置き換えるよう提唱してきた、と述べました。2020年1月、バングラデシュ政府はミャンマーのカリキュラムへの移行を承認しましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで学習センターが閉鎖され、その展開は2年近くも遅れました。

昨年末、まずは6年生から9年生までの1万人の子どもたちを対象に、いよいよ新しいカリキュラムの試行が始まりました。1年生と2年生については、新学期が始まる7月から第2段階の展開が始まり、来年には残りの学年でも入れ替わり、2023年7月までにキャンプ内のすべての学齢児童がミャンマーのカリキュラムに従うことになる予定です。

「ミャンマーのカリキュラムが必要です」

ミャンマー教育省が発行する認定書がなければ、この新しい授業計画はまだ正式な教育とはみなされません。しかし、安全が確認されたらミャンマーに帰りたいというロヒンギャ難民の大多数にとって不可欠なものだ、と中柴職員は説明します。

「難民は、自分がミャンマーに属していることを証明したいと言っています。“私の子どもたちがビルマ語で読み書きができるようになれば、私の子どもたちはそこに属していると認められるでしょう”と彼らは言うのです。」

シャーさんは、一刻も早く新しいカリキュラムの授業を始めたいと、同様の理由を述べています。「子どもたちが国に帰っても学習を続けられるよう、ミャンマーのカリキュラムを導入してほしいのです」と彼は言います。

ミンハーさんも同意です。たとえシャーさんとの協力関係がもうすぐ終わってしまうとしても。ロヒンギャとバングラデシュ人の教師の一部は引き続きペアで勤務しますが、ロヒンギャの教師はほとんどの科目を教えるための研修をミャンマー語で受け、ミンハーさん等の受入コミュニティの教師は英語の指導と研修の手伝いに専念することになります。いつか資格を持った教師になるというシャーさんの夢は、かつて思われたほど不可能なことではありません。UNHCRは今年、教師2500人への教員研修を開始しましたが、その大半はロヒンギャの教師です。

「どこでも学ぶ機会があれば、そこを目指していきます」とシャーさんは言います。「もっと高い教育を受けたいのです。」

Kristy Siegfried

原文はこちら(英文)
Rohingya and Bangladeshi teachers pair up to tackle education hurdles in camps


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2017年8月以降累計77万人の人々がバングラデシュに流入し、未曽有の人道危機となったロヒンギャ難民危機。どうかロヒンギャ難民の命を守る力を貸してください。

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