あるシリア難民、そして未来の薬剤師が歩んできた旅路

2012年、マリヤムさんは母親ときょうだい共にエジプトへ逃れ、新しい生活を築くことを望みました。そこで彼女たちは安全を見出し、彼女は薬剤師になる夢を追うことができます

公開日 : 2022-03-14

エジプト、2022年2月28日 ― シリア難民のマリアム・ザータルさん(22歳)は、娘に教育を受けさせないすべての親たちに対してこう言います。「教育は女子の人生に悪影響を与えないどころか、それは基本的に生きる意味なのです。」

UNHCRの教育に関する報告によると“難民による初等教育は男子10人に対して、女子は8人以下、中等教育ではもっと少ない”とされています。

マリヤムさんがまだ12歳だった時、彼女の夢はシンプルなものでした。家族と一緒に母国で安心して暮らすこと以外、何も望んだことはなかったのです。シリアで戦争が勃発するとこの少女の生活は急変し、一家は所持品をすべて置いて避難を強いられました。

「教育と最終的な仕事での成功以外に何も頼れません」

2012年、マリヤムさんは母親、きょうだいと共にエジプトに逃れ、安全な場所で新しい生活を築きたいと願っていました。「シリアを逃れた時、私たちは孤独でした。エジプトに知り合いはいませんでした。教育と最終的な仕事での成功以外に何も頼れない、とその時私は悟りました。」こう彼女は、自分の両親が中等教育も受けていないことに言及してから語りました。

マリヤムさんの家族は教育を優先事項とは考えておらず、両親はいつか娘たちが大学の学位を取得したり、仕事を探したりする必要があるとは思っていませんでした。しかし、マリヤムさんの考えは違いました。シリアから避難を強いられ、エジプトに逃れてからは特に。彼女は家族に挑み、教育を受ける権利のために立ち上がり、大学に合格して高等教育を受けることを望んで中等教育を修了しました。

カイロでの新しい生活に適応しようとする一方で、マリヤムさんは他の若い難民の勉強を支援しようと決意しました。彼女は有料で家庭教師をし、やがてすぐに自分の生活費をまかなうのに十分なお金を稼ぐようになりました。家庭環境の厳しさにも関わらず、高校の成績は合計97%で合格できました。彼女は医学や薬学の学位を取得するため、これまで以上に進学への強い意志を持ち、高等教育奨学金を申請しました。

2018年、マリヤムさんはUNHCRとドイツ政府が提供するDAFI(アルバート・アインシュタイン・ドイツ難民学術イニシアティブ)奨学金プログラムに応募しました。このプログラムでは、成績優秀な難民・庇護希望者の学生に受入国で学士号を取得する機会を提供します。

それは容易な旅路ではありませんでした。しかし、粘り強さと決意で彼女のDAFI奨学金の申請は受理され、マリヤムさんは今、カイロ大学薬学部の4年生に在籍しています。「高校で良い成績を取ると決心していました。両親と交渉して、家から遠く離れた、まだ外国にいるように感じる国の大学に入ることを許してもらえるように」と彼女は説明しました。

エジプトは65か国から来たUNHCRによって登録された難民・庇護希望者27万1000人以上を受け入れています。そのうちの48%は女性と少女、50%がシリア出身でエジプト社会から歓待されました。

少女や女性が少年や男性と同じように自分の可能性を発揮し、生活を向上させることができるような機会を確実に得られるよう、UNHCRは政府や受入コミュニティと共に取り組んでいます。

「大学に入学した時、全く新しい世界を目にしました」

「大学は単なる高等教育機関ではなく、新しい文化との出会いの場であり、自分の力で生きていく術を学ぶ場でもあります」と、大学入学以降の自分の変化を認めながら彼女は語りました。「大学に入学した時、全く新しい世界を目にしました。さまざまな人々に逢い、他を受け入れる重要性を学びました。」

エジプトでは、UNHCRは難民や庇護希望者の高等教育へのアクセス拡大に取り組んでいます。2021/2022学年度において、エジプトには卒業生119名、在学生204名、新規奨学生200名を含む523名のDAFI奨学生がいます。また、アレクサンドリアにあるエジプト日本科学技術大学の奨学生も4名います。

マリヤムさんがカイロ大学に入学すると、きょうだいは彼女の成功例によって、彼女と同じようにもっと勉強して教育を続けるよう触発されました。「女子教育に対する両親の認識を変えることができたことを誇りに思います。今では両親が、私たちのコミュニティで他のシリアの少女たちも教育を受けるように呼び掛けてくれています」と、勝利の笑みで顔を輝かせながらマリヤムさんは語りました。

Radwa Sharaf

原文はこちら(英文)
The Journey of a Syrian Refugee and a Pharmacist to Be


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