物価上昇と支援の縮小が避難を強いられる人々に与える影響を示すデータ

ウクライナでの戦争の波及効果が、メディアの注目から遠く離れた世界の難民や国内避難民にどのような影響を及ぼしているのかを新しいデータが可視化

公開日 : 2022-11-07

2022年10月24日 ― ロシアのウクライナ侵攻が難民や国内避難民にもたらした影響は、ヨーロッパをはるかに越えたところにまで及んでいます。避難を強いられている数百万人が新型コロナウイルス感染症のパンデミック、異常気象、終わらない紛争の長引く影響とすでに格闘していた中、この戦争によって食料や燃料の価格は上昇し、サプライチェーンは寸断されました。

しかし、ニーズが高まる一方で、避難を強いられている人々への人道支援にかかる費用も急増しています。これもウクライナでの戦争の影響です。先日、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、年末までに7億米ドルの追加資金を投入しなければ、UNHCRは世界中で避難を強いられている人々に対する重要な援助を削減せざるを得なくなる、と警告しました。

UNHCRは本日、世界の隅々で忘れ去られた難民や国内避難民が直面している困難の数々、そして資金不足を解消しない限りこれらの困難が倍加する可能性を示す、新しい可視化されたデータ「Out of the Spotlight(世間の注目から離れて)」を公開しています。

UNHCRが活動する12か国*(そのほとんどがアフリカと中東)では、状況は特に深刻です。避難を強いられている人々は、高齢の親族のために薬を買うか、それとも子どもたちのために食料を買うかの選択をすでに迫られているのです。
(* レバノン、ヨルダン、イラク、イエメン、スーダン、南スーダン、チャド、エチオピア、ウガンダ、コンゴ民主共和国、コロンビア、バングラデシュ)

緊急支援が必要な12か国の状況

この可視化されたデータでは、ウクライナでの戦争が世界経済に衝撃を与える以前から、紛争、新型コロナ、気候変動の三重苦によって避難民の蓄えがなくなり、人道支援への依存度が高くなっているいくつかの国々を紹介しています。

例えば、コンゴ民主共和国では、数十年にわたる紛争により2700万人が飢餓に追い込まれ、550万人以上が故郷を追われ、アフリカ最大の国内避難の危機を生み出しています。東部では暴力行為が続き、今年に入ってから新たに数十万人が避難していますが、人道的対応への資金援助が追いついていません。UNHCRの同国での活動資金は、9月末現在、40%しか充足されていません。

このような資金不足により、UNHCRはどの重要なプログラムを削減するかという厳しい決断を迫られています。イラクやヨルダンに滞在する難民に対する現金給付の削減から、ウガンダに滞在する難民の子どもたちの教育や石けんの提供の縮小まで、避難を強いられている人々への壊滅的な影響が、データの可視化で概説されています。

「避難を余儀なくされている人々は、故郷を破壊した紛争の代償をすでに払っているのです。今年と来年の更なる苦しみは、迅速な国際的行動によって軽減することができます」と、ドミニク・ハイドUNHCR渉外局長は述べました。「私は、すべてのご支援者に、今後数日から数週間のうちにこれらのリソースを見つけ、命を救う手助けをしていただけるよう訴えます。何百万人もの人々がこの支援を頼りにしているのです。」

新しい可視化されたデータ「Out of the Spotlight(世間の注目から離れて)」はこちら(英語版)

原文はこちら(英文)
Data shows impacts of rising prices and shrinking aid on forcibly displaced people


忘れられた難民危機

今、ウクライナの人道危機に世界中から高い関心と支援が寄せられている一方で、それ以外の難民危機への関心が薄れつつあり、世界各地のUNHCRの活動現場では、支援が少なく活動に支障をきたしていることへの懸念や不安が広がっています。 UNHCRは、アフリカや中東をはじめ世界約135か国で活動していますが、家を追われた人々は1億人を突破し、報道されることもほとんどない「忘れられた」難民危機が数多く存在しています。

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