希望に満ちた中央アフリカ難民がコンゴ民主共和国から帰還

暴力から逃れ、数年間キャンプ生活をした後、より安全な地域への帰還を選択する中央アフリカ共和国からの難民数千人のために、UNHCRは帰還ルートを緩和しています

公開日 : 2022-05-30

この時のために仕立てたアフリカン・プリントの刺繍入りシャツに身を包んだファーミンさん(36歳)は、グバドリット市空港の濡れた滑走路を、待機する国連人道航空サービス(UNHAS)の片道の帰国便に向かって、家族と一緒に歩いていきました。

グバドリット(コンゴ民主共和国)2022年5月6日 ― 11月のその日の早朝、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の北ウバンギ県にあるインケ・キャンプから険しい地形を越えて空港まで45キロの旅に出たファーミンさんと中央アフリカ難民40人に、祝福の雨でしょうか、土砂降りの雨が降り注いでいました。2013年に中央アフリカ共和国(以下、中央アフリカ)の武力紛争から逃れてきて以来、このキャンプが彼らの住処となっていたのです。

「8年ぶりにやっと帰れるというのは、本当に感慨深いものがあります」とファーミンさんは言いました。「我が家には3人の子どもがいて、彼らは祖父母や叔父に会ったことはありません。今更ながら、再会は素晴らしいことです。」

出国手続きをする中央アフリカ難民の一家
帰国のフライトに搭乗する前に出国手続きをする中央アフリカ難民の一家

30分の短いフライトの離陸を待つ間、妻のヴィクトワールさんが赤ん坊を抱きかかえ、他の子どもたちの様子をうかがう傍ら、ファーマンさんは家族と共に命がけで逃れざるを得なかった時のことに思いを馳せました。

「私は首都バンギのオボンゴという地区にいました」と彼は回想しました。「いたる所で人々が殺されていました。銃弾が飛び交い、人々は泣き叫び、地面に倒れて死んでいきました。とても耐えられませんでした。」

武装集団のセレカ連合が首都バンギを占拠して2013年に激しい武力紛争が勃発し、20万人以上が中央アフリカから隣国コンゴに避難しました。中央アフリカの和平プロセスは現在も進行中で、一部の地域では状況が十分に落ち着き、避難していた多くの人々が帰国を決断しています。

2019年7月に自主的な帰還が始まりましたが、新型コロナ、そして2020年12月に中央アフリカでの選挙による暴力行為が再燃したため、中止となりました。2021年10月に再開され、UNHCRとパートナー団体は、コンゴの北/南ウバンギ州のインケ、モレ、ボヤブ・キャンプから中央アフリカ難民5500人以上の自主帰還を支援しました。

2022年、UNHCRは中央アフリカの安全と判断された地域への帰還を希望する推定2万人の難民の自主送還を引き続き支援する予定です。UNHCRは、難民の受け入れと安全で尊厳のある帰還の両方を可能にする政府、市民社会、受入コミュニティのすべての尽力に感謝しています。

ファーミンさんと彼の家族は、過去8年間、この2か国の不安定な国境地帯から遠く離れたインケ・キャンプで過ごしました。インケには約18,000人の中央アフリカ難民がおり、診療所や病院、学校、清潔な飲料水、トイレや風呂等の基本的な衛生施設を利用することができます。ファーミンさんは、家族を養い、彼らの頭上に屋根のある家を建てるための道具を受け取りました。

UNHCRのパートナー団体である社会開発環境保護協会(ADSSE)の研修を受け、ファーミンさんは最終的に地元の学校で教師となりました。こうした機会に感謝しながらも、中央アフリカの紛争によって、大学で地理学を学ぶというファーミンさんの夢は壊されました。

動画:故郷の中央アフリカへ帰還するファーミンさん

キャンプ内のマルチメディアセンターで、ファーミンさんと同胞たちは母国の状況を把握しようとしていました。徐々に平和が戻ってきた地域もあり、中央アフリカへの帰還に関心を示す難民も増えてきました。

「私の国です。リアルタイムでニュースを追っていたので、ついに帰還して再び家族に会う時が来たと分かりました」とファーミンさんは語りました。

バンギに降り立ったファーミンさんやその他の帰還民は、政府やUNHCRに歓迎されました。入国手続きと目的地までの交通費の支払いを済ませ、ファーミンさん一家は妻の幼い頃の家であるバンギにたどり着きました。ファーミンさんは、年月を経た故郷の変化に圧倒されました。

「街を抜けると、古い家、新しい家、そして人が多いので大渋滞を目にしました」と彼は言いました。「バンギでは人口が激増しました。」

機窓から外を眺める難民
帰還のフライト中、機窓から外を眺める若い難民

バンギの義父母宅に到着したファーミンさん一家は、コーヒーと伝統の魚料理チンチャールで歓迎され、待ちに待った帰国を祝いました。電話がつながらないので、最初、ファーミンさんの家族は、待ちに待ったファーミンさんの帰国を知りませんでした。しかし、SIMカードを購入し、彼はようやく家族に連絡して吉報を届けることができたのです。

帰国して安堵したのも束の間、ファーミンさんのような帰還民の多くは、避難した時のようにほとんど何も持たずに中央アフリカに戻るため、多くの困難に直面します。

移動を容易にするため、UNHCRは各家族へ、帰還する交通費、必需品、食料のための現金給付を支援しています。中央アフリカ政府は、証明書サービスへのアクセスを提供しています。しかし、帰還民の生活再建を手助けする長期的な解決策を提供するには、さらなる支援が必要です。

「UNHCRからの支援は、私たちが落ち着くための手助けとなりますが、その後、私たちが生きていくためには、別の仕事を見つける必要があります」とファーミンさんは言いました。

近隣諸国から戻った中央アフリカ難民がこの国の将来にとって重要な役割を果たすと、彼は信じています。

「まだ中央アフリカの国外にいる難民の兄弟たちに、勇気を出して故郷に戻り、国の発展のために働くよう促したいと思います。国外滞在中に見せた同じ勇気、同じ回復力こそ、私たちが国に与えるべき最も強力な財産なのです。」

Claris Achu

原文はこちら(英文)
Hopeful Central African refugees return home from DR Congo


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