ウクライナからの難民として他の子どもたちにアドバイス? 今あるものに感謝する
10代のダリアさんは、かつてウクライナのオデーサにいた頃、学業や家族・友人との関係に悩んでいました。紛争から逃れた彼女は同年代の人々に、小さなことにこだわらないようにと呼びかけます
公開日 : 2022-05-30
ウクライナの紛争が始まった週、ダリア・ナスタシウクさん(15歳)は、オデーサの自宅付近の爆発音で目を覚まし、母親から逃げろと必死に言われ、世界がひっくり返りました。
キシナウ(モルドバ)2022年5月18日 ― 何千人もの人々が逃げ惑う中、8人を詰め込んだ家族の車で、彼らは24時間以上かけてモルドバとの国境近くにたどり着き、安全を見出しました。
父親や友人、慣れ親しんだ生活から切り離されたダリアさんは、この1か月間、当局がウクライナ人のためのシェルター用に改築したモルドバの首都キシナウにある大学寮で、母親と弟と一緒に暮らしています。彼女は、戦争が始まって以来、ウクライナからモルドバに渡ってきた46万人以上の難民のうちの一人です。
ここでは、ダリアさんが直近で経験した激動の生活とその心理的影響、そして故郷を追われたことのない他の十代に贈るアドバイスについて振り返ります。彼女の言葉は、短縮/明確化するために編集されています。
戦争の前、私にはたくさんの友人がいました。一緒に出かけたり、宿題をしたり、お互いの家に行ってお茶を飲んだり、音楽を聴いたりしていました。とにかく楽しかったです。穏やかで平和な雰囲気でした。すべて完璧でした。
当時、私が一番悩んでいたのは、勉強のことだったり、友人や親との口論だったり。今思うと深刻な悩みはなく、些細なことに悩んでいただけだったのです。
でも、戦争が始まると、外出禁止令が出て皆が家に留まらなくてはならず、外に出られなくなりました。学校はすべて閉鎖されたので、授業はありませんでした。
爆発が始まった翌日、私たちは出発しました。初めて爆音を聞いたとき、私は眠っていました。誰かが学校に行くために起こそうとしているのだと思いました。そうではなく、母親に起こされて、急いで荷造りしなさい、と言われました。私は家の中を走り回って支度を始め、翌日には車に荷物を積んで出発しました。
動画:ウクライナから逃れたダリアさんのストーリー
念のため、シャンプーや枕といったものを持っていきました。長旅になるかもしれないと思ったので、食料もたくさん持っていきました。玩具も持って行きました。小さなキリンです。
夏服やジュエリー、アクセサリーをもっと持って行きたかったです。特に、ペットを連れて行きたかったです。猫と犬です。とても寂しいからです。
(ここモルドバでは)今は時間がたっぷりあるので、オデーサで何が起こっているのか、座ってニュースを見たりしています。オデーサで何が起こっているのか、みんな信じられないようです。
私たちがオンラインで勉強をし始めると、気が晴れてきました。宿題で忙しくて気がまぎれるのです。会えないから、お互いの顔を見るためだけにカメラを向ける時もあります。同級生はみんな、ドイツ、ルーマニア、アメリカなど、いろいろな国へ行ってしまいました。みんなバラバラになってしまったのです。
ウクライナから家族でドイツに逃れた友人と連絡を取り合っています。ほとんど毎日会話しています。ほとんどの時間、戦争のことを話したり、以前の楽しかったことを思い出したり、お互いに支え合おうとしたりします。他の友人のことも心配しているので、一刻も早く会えたらと思います。
「自分が戦争を経験するなんて、思っても見ませんでした」
これまで難民のことはあまり考えたことがありませんでした。自分たちの身に降りかかるかもしれないことではなかったのです。まさか自分が戦争を体験し、このような状況になるとは想像もしていませんでした。
私にとって難民とは、食べ物や宿泊場所、衣服を見つけるのに問題があることです。また、心理的な問題を抱えていることも意味しています。
思い出したくないことでも、起こったこととして嫌な思い出になるのでしょう。気を紛らわせるものを探してみます。(オデーサで)最初にしたいことは、両親と弟と一緒に海辺に行くことです。泳いで、起こったことを忘れたいです。
他の国の子どもたちにアドバイスするとすれば、今ある時間、静かで平和な暮らし、家族や友人の喜びに感謝することです。人生の小さな問題を気にしないこと、ただ今あるものに感謝することです。
Daria Nastasiuk
As told to Charlie Dunmore and Irina Odobescu
原文はこちら(英文)
My advice to other kids as a refugee from Ukraine? Appreciate what you have
ウクライナ緊急事態
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