アフガニスタン国内で、いま何が~貧困と飢餓の危機に怯える首都カブールの国内避難民
公開日 : 2022-01-19
アフガニスタンの首都に逃れてから数ヶ月、失業率と食費が高騰する冬を乗り切ろうとする多くの避難民の家族にとって、人道支援は唯一の命綱となっています。
UNCHR(国連難民高等弁務官事務所)は12月3日、アフガニスタンの人口の55%にあたる2300万人が極度の飢餓に直面しており、そのうち900万人近くが飢餓の危機にさらされており、人道危機は「日々エスカレート」していると警告しました。
「私たちは安い野菜とパンで暮らしています」と、28歳の未亡人ファリシュタさんは言います。カブール東部郊外の建物で、UNHCRが最も弱い立場にある国内避難民の家族に現金支援を配布する列に並んで待っています。「4ヶ月前にカブールに来て以来、肉を食べていません。」
夫を戦闘で失ったファリシュタさんにとって、この支援はまさに時宜を得たものでした。過去3カ月間、家賃が払えず、家主に追い出されるのではと心配していたからです。「食料はすべて借金で賄っています」とファリシュタさんは言います。弟のサリムさんが時々、雑用で稼ぐお金以外は、借金で生計を立てるしかありません。
ファリシュタさんは、この現金支給を利用して借金を全額返済することを計画していますが、それで資金の半分を使い切ってしまい、当面はこれ以上の援助は望めない状況です。
「子どもたちにもっと良い未来を与えてあげたい、教育を受けさせたい、と思うのですが、私たちは行き詰まっています」と彼女は言います。
子どもたちの世話だけが、彼女の心配事ではありません。ファリシュタさんは北部のタカル州出身で、弟のサリムさんは通訳として米軍と一緒に働いていました。 2021年夏、タリバンがカタールに迫ったとき、ファリシュタさんと彼女の両親、他の兄弟や子どもたち、総勢20人ほどが、国外に逃げるしかないと決心したのです。
一家は南西部のニムロズ州に向かい、隣国パキスタンを経由してイランにアフガニスタン人を入国させる密輸業者と連絡を取ることを試みました。
「しかし、全員の旅費を払う余裕はありませんでした」とファリシュタさんは言います。その結果、両親と弟たちはイランへ、ファリシュタさんとサリムさんはカブールへと向かいました。しかし、イランに避難した家族は苦労しており、弟たちは清掃員として低賃金の仕事を見つけるのがやっとです。子どもたちの世話をしながら、ファリシュタさんは家族に仕送りをしなければならず、借金を重ねている状況です。
UNHCRは現在、カブールとその周辺の州を含む中央地域で、2万世帯以上の国内避難民に現金による支援を行っており、これは前年の10倍の規模です。ほとんどの場合、国内避難民は安い賃貸住宅や親戚の家に分散して住んでいます。カブール陥落後の数週間は、首都に一時的なキャンプを設けた人もいましたが、その大半は現在帰郷しています。残った人たちのほとんどは仮設住宅に住んでいますが、その生活環境はたいてい悲惨なものです。
今もカブール市内で厳しい避難生活を送る国内避難民の声はこちらの動画でもご覧いただけます。
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