難民と市民に避難を強いるパキスタンの大洪水

パキスタンの豪雨と洪水で被災した3300万人の中には、アフガン難民も含まれています

公開日 : 2022-09-05

ノウシェラ(パキスタン)2022年7月2日 ― 「その夜は数分も経たないうちに家が水浸しになり、忘れられません。私たちはすぐに家を出るしかなかったのです」と、パキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州北西部にあるケシギ難民村に住む2000人以上のアフガン難民の一人、バハドゥル・カーンさんは語ります。

バハドゥルさんと家族は、6月に始まったパキスタンの例年のモンスーン豪雨を乗り越えてきましたが、8月27日のカブール川の急激な増水には備えていませんでした。早朝、水が近くの堤防を突き破り、大切な家族を安全な高台に避難させて自宅が流されるまで、わずか10分間しかありませんでした。

60歳の祖父が避難を強いられたのは、人生で3回目でした。

「1990年代初めに内戦がぼっ発し、私たちはアフガニスタンから脱出しました。その後、2010年に洪水で家が流されて全壊したため、再び移動を余儀なくされました」と彼は言います。

パキスタンはこれまでにも定期的に洪水に見舞われてきましたが、今年は規模が異なり、約2000人の死者を出した2010年の大洪水に近いものがあります。今年のモンスーンによる洪水では、すでに1100人以上の命が奪われ、豪雨や鉄砲水で約3300万人が被災し、640万人がシェルターや食料等の必需品を必要としています。

パキスタンは130万人のアフガン難民が暮らしており、そのうち42万1000人以上が最も被害の大きかった地区に住んでいます。その他にも、医療、勉学、就労のため、あるいは一時的な安全確保や他国への移動のためにパキスタンに来ている人が大勢います。

アフガニスタンのクナル州出身のバハドゥルさんは、家畜の放牧で生計を立て、コミュニティでは長老です。彼は未来、特に11人の子どもたちの教育を心配しています。

洪水によって、より差し迫った問題が持ち上がりました。現状、部分的に流された村の近くで彼は暮らしています。「家を出ると、近くの高台に行き、そこで野宿をしました」と彼は言います。「次の朝、UNHCRのスタッフが到着してテントを提供してくれました。」

「テントやシェルター、蚊帳はありがたいのですが、それ以外にも、ここで直面している問題は他にもたくさんあります」とバハドゥルさんは語ります。「私たちは地面の上で寝ています。清潔な飲み水も医療施設もなく、日々の食料も手に入らず、家族を養うのに苦心しています。生きるためには食べ物が必要なのです」と彼は力説します。「牛のエサも必要です。」

気候変動の影響は、市民と難民を区別するものではありません。ここ数週間の壊滅的な洪水によって人生を狂わされた人々の物語は、パキスタン全土で無数にあります。

バハドゥルさんの避難先から数百メートルしか離れていない、地元のパキスタン人コミュニティも壊滅的な打撃を受けています。農民のサリーム・カーンさん(25歳)もその一人です。

洪水は真夜中にやってきて、午前3時に彼の家に押し寄せました。「とても怖かったです。こんな恐ろしい夜は初めてでした。どうやってこの水を渡ろうかと思いましたが、父が落ち着かせてくれました。“恐れるな”と父は言いました。そして私たちは高台に移動し始めました。私たちはすべてを置いていきました。部屋は完全に損傷していました」とサリームさんは回想します。

UNHCRのチームは避難した市民にシェルターも提供しました。「でも、ソーラーライトや扇風機が必要です」とサリームさんは言います。「ベッドもないし、ヘビもいるから心配です。そして、食料がないから食べられないのです。」

唯一の収入源であるサトウキビとトウモロコシの収穫が洪水で流され、新たな費用がかかるにもかかわらず、1年で60万から70万ルピー(3000米ドル)の収入を奪われてしまった、とサリームさんは語ります。「家が壊されたので、建て直さなければなりません。このテントで長期間生活するのは難しいでしょう」と彼は言います。

バハドゥルさんのテント内の様子
現在、バハドゥルさんと家族は村の近くの高台にあるUNHCRが提供するテントに避難している

サリームさんもバハドゥルさんも - 市民も難民も - 今は同じ場所に住み、同じ苦難を共有しています。

洪水による被害が各地で続いていることを受け、パキスタン政府は対応を開始し、国際的な支援を呼びかけています。政府の発表によると、28万7000棟以上の家屋が倒壊し、さらに66万2000棟が被害を受け、73万5000頭の家畜が死亡、200万エーカーの農地が浸水しているとのことです。また、通信インフラにも甚大な被害が出ています。

UNHCRはすでにテント1万張、プラスチック製の防水シート、衛生用品、調理用コンロ、毛布、ソーラーランプ、寝袋等、数千の救援物資を提供しました。また、土嚢数千袋を配布し、各家庭で土嚢の防壁を築く手助けをしています。難民の村にも、受入コミュニティにも、支援を提供しています。

支援はさらに必要です。UNHCRは、パキスタン国家災害管理委員会(NDMA)や他の支援団体と連携した対応の一環として、アフガン難民や受入コミュニティのために既存の備蓄品を活用し、7月から最も被害の大きかった西部地域のバロチスタン州およカイバル・パクトゥンクワ州で緊急支援物資の配送を行っています。また、ニーズが高まっているため、シンド州へも支援を拡大しています。

「迅速な人道支援資金が緊急に必要です」とガイラット・アフマドシェフUNHCRカイバル・パクトゥンクワ州ペシャワール副支所長は語ります。「パキスタンのコミュニティや、パキスタンで受け入れられている難民は、今回の洪水が記憶にないほど最悪なものだと言っています。」

政府主導の対応を支援するために出された国連の資金援助として、最も被害の大きかった地域の500万人以上を支援し、食料、教育、シェルター、家族の再会、離散した子どもの保護等のための費用として1億6000万米ドルが必要とされています。

Qaiser Khan Afridi

原文はこちら(英文)
Pakistan's disastrous floods uproot refugees and citizens


パキスタン洪水 緊急支援のお願い

パキスタンにてモンスーン豪雨の影響で大規模な洪水被害が発生。UNHCRはこの記録的な水害を受け、現地で緊急支援を開始しました。現地での救援活動をさらに拡大させていくため、どうぞ今すぐ、UNHCRの緊急支援にご協力ください。

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