あなたから届いたぬくもりに、「ありがとう」~防寒支援のご報告
公開日 : 2021-04-28
コロナ禍、レバノンでの爆発事故の影響、シリア北西部での戦闘や洪水、イラクの国内避難民キャンプの閉鎖など、昨年の冬も多くの問題が中東地域の難民や国内避難民に深刻な影響を及ぼしました。日本でもコロナ禍で社会情勢が厳しい中、そうした人々に思いをはせ、防寒支援にご協力をくださりありがとうございました。心からの感謝の思いを込めて、そのご支援の成果の一部をお伝えいたします。

UNHCRの中東での防寒支援
UNHCRは皆様のご支援により以下の3種類の活動を重点的に行い、防寒支援を中東各地で展開しました。
現金給付支援
各家庭が最も必要な物(燃料、暖房器具、防寒具、医薬品等)を購入したり、家賃や医療費等の支払いなどにも対応できる現金での支援
防寒用品の配布
保温性の高い毛布、防水シート、冬用の衣類など冬に必要な物資の配布
シェルター支援
シェルターの修復・補強(雨漏りや浸水、風雪対策)、難民キャンプや居住地の排水システムや他のインフラの改善
シリア
この冬、シリアでは防寒支援を2020年9月から2月末まで行い、アレッポ、ホムス、イドリブなどの地域で66万6407人が200万3595 個の防寒物資を受け取りました。内容は寝袋、冬の衣類キット、保温毛布、防水シート、ソーラーランプ、マットレス、調理器具セット、水くみ容器です。
都市部に避難する人々には、5人家族につき約340米ドルの現金給付を行いました。北西部の地域では11月より1万個の防寒物資セットをトルコ側から輸送しました。1キットの内容はマットレス4枚、毛布5枚、防水シート2枚、カーペット1枚、衛生キット1つで、戦闘から逃れてきた人々に届けました。
ヨルダン
「あったかい上着を買ってもらいました!」 アマルさん(7歳)
アブ・モハマドさん(45歳)は7歳から17歳までの6人の子の父親です。2013年に家族でシリアからヨルダンに避難してきました。仕事がなく家族を養うことが困難なアブさんは、昨年12月、現金給付の日に窓口で給付金を受け取りました。その足でアマルさん(7歳)とハムゼさん(9歳)を連れキャンプ内のお店へ。防寒具やセーターを買うことができ、子どもたちは笑顔になりました。
ヨルダンでは2020年末までに、シリア難民5万4416世帯、それ以外の難民1万2239世帯に現金給付を実施しました。
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「ストーブ用のガスシリンダーと娘たちの服を買い、安心しました」(ウムさん・65歳)
「最悪なのは、ひどい寒さでもどうすることもできない時です。夫は病気で働くことができません。子どもたちが寒がっているのを見ると気持ちが沈みます。シェルターは常に雨漏りしていましたし、防寒支援が届いて本当に嬉しかったです。ストーブ用のガスシリンダーと娘たちの服を買い、温かくすることができて大きな安心になりました」。
レバノン
UNHCRは、レバノンで難民への大規模な防寒支援を計画した唯一の機関です。11月と12月、63万1100人が約4か月にわたる冬をしのぐための現金給付を受けました。
また、職員による一軒一軒の戸別訪問から、基準以下のシェルターに暮らしていたり、より厳しい状況にあると確認された2万6000世帯以上に、シェルターの補強キットなどの提供も行いました。
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「あなたのご寄付は、コロナ禍の今、特別なご支援になりました」
UNHCRイラク・スレイマニヤ事務所 丸山千晶 准プログラム担当官

皆様からの温かいご支援のお陰で、UNHCRイラク事務所では2020年に防寒支援のための現金給付を5万3202の難民の家族及び6万5794の避難民の家族に実施する事ができました。
防寒支援のための現金給付は、難民キャンプや都市に住む最も弱い立場にある難民や避難民をターゲットに、冬の間に特に必要な冬着や暖房等の費用にあてられ、大変大きな支援となりました。
難民には、詐欺防止システムを使用した虹彩認識テクノロジー*1により、そして国内避難民には携帯電話を活用しての支給*2により現金給付を行いました。シングルマザーなど女性世帯主の家庭、年配者や障がいを抱える人々には優先的に支援を行い、特別な配慮をはかりました。皆様からのご寄付は、コロナ禍で脆弱な世帯が増えた今、大変特別なご寄付となりました。UNHCRイラク事務所一同、心より改めて感謝いたします。
*1 瞳の虹彩の読み取りによる個人の識別 *2「オサイフケータイ」のようなシステム
ご支援をありがとうございました。ぜひ、これからもご協力ください。

「春が来るまで、冬の寒さから誰一人取り残さず難民を守る」。UNHCRの防寒支援のために、温かいご支援お寄せいただき、ありがとうございました。
皆様のご協力なしには、こうした大規模な防寒支援を実施することはできませんでした。皆様のご支援により、「あったかいね!」「うれしいね!」と各地でたくさんの笑顔が生まれました。心から感謝申し上げます。
しかし、コロナ禍は世界で収まらず、難民はますます厳しい立場に追い込まれています。弱い立場にあればあるほどコロナ禍の影響を受けやすく、命にかかわるような貧困状態に追い込まれる厳しい現実があります。 ぜひこれからも、世界の難民をUNHCRと一緒にご支援いただきますよう、心からの感謝とともに改めてお願い申し上げます。
シリア危機 試練の連続、奮闘の10年
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