「すべてが焼けて灰になりました」大火災について語るロヒンギャ難民
3月22日(月)、バングラデシュ南部の難民キャンプを引き裂いた大規模な火災ですべてを失ったロヒンギャ難民は、もう一度、再出発の準備をしています
公開日 : 2021-03-29
ハリマさん(37歳)は幼い子どもたち5人と一緒にクトゥパロン難民キャンプのシェルターの中にいた時に人々の叫び声を聞き、外に飛び出しました。
2021年3月26日 ― 「外に出たら、炎が私たちに向かってきたのです」と彼女は言いました。
ハリマさんは恐怖とためらいで動けなくなりましたが、子どもたちが泣き叫び始めると、彼らを捕まえて走り始めました。
「子どもたちをできる限り連れて行きました。でも、4人の子ども全員を連れて走ることなんてできるでしょうか?」
末の子どもと一緒に、所持品をいくつか持ち出すために急いで自分の家に戻る間、4人の子どもたちには待っているように言いました。
「私が戻った時、家は火に包まれていました。トランクに保管してあった物を持ち出そうとしましたが、子どもを抱えて一人で運ぶには重すぎました。」
彼女はトランクを諦め、子どもたちのもとへ走って戻りました。恐ろしいことに、子どもたちはどこにも見当たらなかったのです。
「私の世界は粉々に打ち砕かれたように感じました」
「叫び、走り回るすべての人々を見た時、私の世界は粉々に打ち砕かれたように感じました。夫がどこにいるか分かりませんでした。私は4人の子どもを失い、私の家は燃えていたのです。」
ハリマさんと夫、子どもたちを引き離した火災は、3月22日の午後、ミャンマーから逃れたロヒンギャ難民70万人以上の住まいである世界最大の難民キャンプ、クトゥパロンを広範囲に渡って引き裂きました。
23日(火)早朝に鎮火した時には、シェルター9500戸と保健所、物資配給所、学習センターが消失し、難民約4万5000人が屋根のない吹きさらしの状態になりました。
4日後、難民11人の死亡が確認され、300人以上が依然行方不明、数十人の子どもたちが家族と離ればなれのままです。
ハリマさんはついに、子どものうちの1人が長女の義理の母親と一緒だったことがわかり、そして夫の居場所を突き詰めました。2日後、拡声器から2人の息子の名前が発せられるのを耳にし、再会を果たしました。しかし、あと1人の息子が今も行方不明です。
「息子を見つけ出して新しい生活を始める以外、何の望みも持っていません」と彼女は言いました。

火災後の数日間、UNHCRはバングラデシュ当局、国際移住機関(IOM)や他の援助団体と共に、灰と化した状態から生活を再建する、という痛ましい過程を開始する数万人の難民を手助けしています。
火災で避難した人々の中には、親類のシェルターに無理をして住んでいる人もいれば、家が再建されるまで緊急一時避難所で暮らしている人もいます。UNHCRは毛布や調理器具、ランプといった必需品を手渡し、国連世界食糧計画(WFP)は温かい食事を提供しています。緊急用のトイレと水道も設置され、移動型の医療チームが火傷(やけど)を負った難民を治療しています。
コックスバザールのルイ・ドノヴァンUNHCR報道官は、2017年にミャンマーから逃れて以来、すでに多くがトラウマに苦しんでいる難民へ、応急手当としての心理的支援を届けることが最も重要なニーズの1つだと語りました。
「UNHCRが他の人道支援団体と共に基本的な援助を提供しようとすることはとても重要ですが、何度もトラウマを経験している人々への心理的なサポートも大切です。」
「すべてが焼けて灰になりました。私たちはゼロからスタートする必要があります」
ロキヤ・ベグムさん(27歳)は、彼女の暮らすキャンプの一画に火が広がった時、彼女の証明証を手に、子どもたちだけを連れて逃れました。混乱の中、数時間引き離されたにもかかわらず、彼女も家族も怪我は避けられましたが、子ども1人を含む他の人々が火に飲み込まれるのを見た、と話しました。
「それは恐ろしい光景でしたが、彼を救いに行こうとはできませんでした。」
彼女と家族は今、義理の母親のところに身を寄せています。ハリマさんのように、彼女たちもすべてを失いました。
「すべてが焼けて灰になりました」と彼女は言いました。「私たちはゼロからスタートする必要があります。」
Reporting by Iffath Yeasmine in Cox’s Bazar, writing by Kristy Siegfried
原文はこちら(英文)
https://www.unhcr.org/news/stories/2021/3/605db5424/everything-is-burnt-to-ashes.html
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