【続報】ロヒンギャ難民キャンプ火災
皆様のご支援で可能となった現地で救援活動
公開日 : 2021-05-14
2021年3月、ミャンマーから逃れたロヒンギャ難民が避難生活を送るバングラデシュのクトゥパロン難民キャンプが大規模な火災に襲われました。当協会は火災発生直後から、ロヒンギャ難民キャンプ火災への緊急募金のお願いを開始。本当のたくさんの方々から、温かいご支援を賜りました。
2017年8月のラカイン州北部での暴力行為以来、度重なるロヒンギャ難民支援のお願いにも関わらず、多くの方々から温かいご支援を賜ったことに、心より、御礼申し上げます。
このたびは、皆さまのご支援で可能となった現地での援助活動をご紹介します。
皆様のご寄付で可能となった現地での援助活動
シェルター/保護

今回の火災では9500戸以上のシェルターが被害を受け、4万8300人が移動を強いられました。
UNHCRはバングラデシュ政府、パートナー団体や300人以上の難民ボランティアと協力して、子どもたち、妊婦、年配者等を安全な場所に移動させると共に、壊れたシェルターの修繕や臨時シェルターを設置。救援物資として毛布3000枚、ソーラーランタン2万個、調理器具7000セット、蚊帳7000枚、女性のための衛生キット3200セット等を支給しました。
また、UNHCRは、人口密度が圧迫されたこの地で、より安全な区画整備、道路設計、衛生施設を目指したキャンプの再建計画を構築することを目指しています。
「私の世界は粉々に打ち砕かれたように感じました」
火災ではぐれてしまった息子と再会できたハリマさん(37歳)
幼い子どもたち4人と一緒にクトゥパロン難民キャンプのシェルターから避難したハリマさん(37歳)は、その途中で、7歳の息子とはぐれてしまいました。
しかし、火災から5日後、ハリマさんは息子のノア君(7歳)と無事再会を果たしました。ノア君は3日間キャンプをさまよい、保護者とはぐれてしまった子どもたちと一緒にいるところを彼の叔母が発見したのです。ハリマさんは語ります「大きなスピーカーで息子の名前がアナウンスされたのです。信じられないほど幸せです。」
UNHCRはパートナー団体と協力して、子どもたちを保護するのためのヘルプライン、家族再会のためのヘルプデスクを設置。保護者とはぐれてしまった600人以上の子どもたちがすでに家族との再会を果たしています。
水/衛生への対応

洪水のみならず干ばつが発生することも頻繁にあるバングラデシュでは、清潔で安全な水を確保することが何よりも重要です。UNHCRはパートナー団体と協力し、被災した人々へ120万リットルの水と1万1000個の給水バケツを配給しました。これにより1日約1万人の難民に水を提供することが可能となります。
また、排水を処理して安全な水を難民に届けるための貯水槽を4台手配した他、緊急用トイレ/水道設備を28か所に設置しました。
UNHCRはモンスーン豪雨等、これから迎える厳しい自然災害のシーズンに備え、難民が安全な避難生活を送れるよう、衛生設備の手配をさらに進めていきます。
保健対策

今回の火災では難民が暮らすシェルターのみならず、病院、配給所、学習センター、UNHCRの登録センター等、1600以上の施設も被害に遭いました。UNHCRはパートナー団体と協力し、被災したキャンプ内に3つの医療テントを設置。火傷を負った難民のケア、そして医療支援を必要とする人々への医薬品の供給を実施しています。また、UNHCRのパートナー団体から330人以上のメンタルヘルス/社会心理的サポート・スタッフを動員し、9700人以上の難民がサポートを受けました。
そんな中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応も引き続き必要です。バングラデシュの国民の方々と同様にロヒンギャ難民もワクチンを接種できるよう、バングラデシュ政府と協力しています。
「赤ん坊を失った人、娘を失った人も。私たちは、できるだけたくさんの人々を安全な場所に連れて行き、はぐれた人々が見つかるよう尽力しました」
難民ボランティアのモハメドさん(30歳)
モハメドさんはUNHCRとパートナー団体のトレーニングを受けた難民ボランティアです。今回の火災でもボランティア仲間と共に救援活動に参加することを決意し、家族の捜索、食料や援助物資の配給、臨時シェルターの設置等、さまざまな活動に参加しています。
「私の仕事は人々に奉仕し、人々が直面するあらゆる危険から人々を救助することです」と語るモハメドさんは、彼の隣人たちを助ける日々の活動に生きがいを感じているようです。
皆様のかけがえのないご支援のおかげで、UNHCRは今現在も、バングラデシュで支援活動に従事しております。改めて、心より御礼申し上げます。
しかし、今も故郷への帰還が難しいロヒンギャ難民を支えるための援助活動に必要な資金は、2021年4月現在、バングラデシュでのロヒンギャ難民支援活動に必要とされる資金の約20%しか充当されていません。ロヒンギャ難民が避難生活を送るバングラデシュは、これからモンスーン豪雨のシーズンを迎えます。これからも、引き続きロヒンギャ難民をご支援いただきますよう、どうぞよろしくおねがいいたします。
ロヒンギャ難民キャンプ火災 緊急募金
※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。