2020-2021 UNHCRの活動のご報告
あなたのご支援が、世界の難民を支えています
公開日 : 2021-12-31
ご支援者の皆様へ
温かいご支援をありがとうございます
いつもUNHCRの難民援助活動に温かいご支援を賜り、誠にありがとうございます。 日本では2021年も新型コロナウイルス感染症との闘いが続き、社会は様々な制限や緊急の対応を迫られ、混乱が続いた1年でした。一方で世界ではコロナ禍にとどまらず、ミャンマーやアフガニスタンなど深刻な人道危機が続き、多くの市民が家を追われる事態となりました。 世界各地でUNHCRの支援を必要とする人々が増え続ける中、日本の多くの皆様が困難な日々を生き抜いている難民へ思いをはせ、温かいご支援と激励の声をお寄せくださったことは、かけがえのない力となりました。お一人おひとりのお力添えへの深い感謝とともに、ご支援の成果の一部をご報告させていただきます。 UNHCRと当協会はこれからも、難民の命を守るために活動に尽力してまいります。どうぞ今後とも変わらぬご支援を、心よりお願い申し上げます。
特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 事務局長
川合 雅幸
あなたのご支援が、世界の難民を支えています
モーリタニア
難民と協力して砂漠化の拡大に立ち向かう
砂漠が国土の9割を占める、西アフリカ・サヘル地域 のモーリタニア。年々砂漠が広がり農産物が育てられなくなり、人々は食料不足に苦しんでいます。UNHCRは、紛争を逃れてきたマリ難民、約6万7千人が避難するムベラ難民キャンプで、難民や地域の人々と協力し、木の苗を育て植林する緑化プロジェクトや、森林火災の消火活動、給水設備等への太陽光発電システムの導入などに取り組んでいます。
コンゴ民主共和国
性暴力の被害者の社会復帰を支援
戦闘が長年続くコンゴ民主共和国では、性暴力が多く報告され被害者は心身に深い傷を負っています。UNHCRはこうした人々の保護と心のケアにあたり、職業訓練などを提供して社会復帰を目指しています。写真はUNHCRが支援する職業訓練のクラスで、調理したケーキを取り出す参加者たち。被害を受けた女性たちが傷を癒し自立した生活を送れるようサポートしています。
エチオピア
戦闘の続くティグレ州で国内避難民の移転
戦闘のため全土で非常事態宣言が続くエチオピア。北部ティグレ州では200万人以上が家を追われ、多くが学校など公共の場所に避難し過酷な生活です。UNHCRはシェルターを設置し、小学校に避難していた約500世帯から移転を開始。移動をサポートし物資を配布しています。またアクセスの制限が厳しいエリトリア難民キャンプでも食料支援等を行うなど、懸命の支援を続けています。
アフリカ地域での主な活動
- 保護者のいない子どもの保護:26,345人(エチオピアなど東部)
- 緊急シェルターの提供:23,539人(ソマリア)
- 小学校へ登録した子ども:25,008人(マリなどサヘル地域)
イエメン
現金給付で食料を購入した家族
「我が家は戦闘の最前線にあり、ミサイルや流れ弾のため危険でした」と話すアフメドさん(写真左)。所持品の一切を置いてイエメン・ホデイダから南部タイズへ避難を強いられ、UNHCRから現金給付を受けて食料を購入したところです。深刻な貧困と食料不足にあえぐイエメンで、UNHCRは物資や食料を配布し、給水施設やクリニックの支援、新型コロナワクチンの接種キャンペーンなど、命を救うための支援を行っています。
中東地域での主な活動
- 防寒支援のための現金給付:761,089人(シリア)
- 援助物資の提供:120,635人(イラク)
- 食料支援を受けた人:15,880人(リビア)
- 国外退避の支援:490人(リビア)
シリア → スウェーデン
片足を失った父親と家族、第三国定住※へ
シリアでアラビア語教師だったアリさん(40歳)は、爆撃で片足を失い家族とレバノンへ逃れましたが、医療を受けるのは難しく厳しい生活でした。そし4年後、UNHCRの支援でスウェーデンへの第三国定住が実現。子どもたちは学校に通い、妻のハナンさん(34歳)も働きながらスウェーデン語を学んでいます。UNHCRの支援で、過去5年で約33万人の難民が第三国定住を果たしています。
※避難した国に定住できない難民を第三国が受け入れる制度
ヨーロッパ地域での主な活動
- 長期用シェルターの提供:1,938人(ウクライナ)
- 現金給付支援:87,471人(ギリシャ)
- 医療用マスクの配備:1,205,113個(全域)
ブラジル
ベネズエラ難民への予防接種を促進
ブラジルにはベネズエラから約26万人が避難していますが、新型コロナウイルス感染症が拡大し、貧困に苦しむ難民への広がりも危惧されています。UNHCRは各地でマスクなど衛生キットを配布し、北部のボア・ビスタでは自治体と連携し、2021年2月から難民や移民へのワクチン接種のキャンペーンを開始。8月末までに2500人へ接種しました。
中南米地域での主な活動
- 共同シェルターによる支援:38,770人(ベネズエラ)
- 性暴力の被害者への心理社会的ケア:10,744件(全域)
- 児童・若者の遠隔・在宅学習サポート:27,482人(全域)
アフガニスタン
冬を前に人道支援を急ピッチで拡大
2021年は約70万人が新たに避難し、深刻な人道危機が続くアフガニスタン。UNHCRは国内の34州で援助活動を展開し、チャーター機で物資を輸送、シェルター支援、学校やクリニックの建設、現金給付など、約72万人を支援してきました。ファヒムくん(写真中央)は、 体調の良くない母親にかわり給付金を受け取りにきたところです。冬を前に、UNHCRは防寒支援を急ピッチで進めています。
バングラデシュ
世界最大の難民居住地に安定した水の供給を
約90万人のロヒンギャ難民が暮らす、世界最大の難民居住地のクトゥパロン難民キャンプ。すべての人々に清潔な水を安定して提供するのは大きな挑戦です。UNHCRは2021年、新しい水処理施設を設置し、難民へ清潔な水を提供しています。
アジア地域での主な活動
- 保健衛生施設の建設・修復:174件(アフガニスタン)
- 援助物資の提供:117,350世帯(ミャンマー)
- 栄養不良の子どもへの治療:20,063人(全域)
最前線から日本の皆様へのメッセージ

日頃よりUNHCRの活動にご理解、ご協力をいただき誠にありがとうございます。私が活動するナイジェリアでは、UNHCRはボコ・ハラム等の非政府武装組織による内戦や様々な理由による紛争で深刻な人権侵害にさらされた300万人以上の国内避難民、そして諸外国から逃れてきた難民と庇護申請者7万5千人への支援活動及び国際保護を行っています。私たちの仕事は声なき人の声を拾い、皆様から頂いた資金を最大限に活用することです。
2021年は、日本でも長引くコロナ禍の影響で大変な思いをされている方も多くいらっしゃるかと存じます。そのような中でも難民問題を対岸の火事ととらえず継続してご支援くださることに、深く敬意と感謝の意を表します。皆様から頂いたご寄付は、難民や国内避難民の今日の安心・安全となり、明日の希望となります。決してご寄付が無駄にならないよう最善を尽くして参ります。これからも皆様のご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
UNHCRナイジェリア事務所
准保護官 進藤ブラーテン美生