ヨルダンのイラク難民に目的を与えてくれるピザ

公開日 : 2021-05-17

ヨルダン 2021年4月18日 ― ジャバル・アンマンにある聖ジョセフ協会は、ピザやパスタを食べるような場所としてあまりピンとこないかもしれません。しかしここで多くのイタリアの伝統料理が、牧師館にある小さなキッチンでイラク難民によって準備されています。

マル・ユーセフ・ピザは2017年に始まったプロジェクトで、フランス大使館の支援を受けてハビビ・バルティベリーナ協会(HAVA)が、ヨルダンに住む難民の生活を立て直す目的で実施しています。イラク人を含むシリア人以外の難民は、ヨルダンに滞在中就労ビザを取得することができないため、イタリアのNGOが運営するセンターでは難民の若者を対象に職業訓練を実施し、彼らの将来に役立つスキルを身に着けてもらえるよう取り組んでいます。

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レーディンさん(19歳)は、センターが支援している難民の一人です。2014年に武装集団に占領されたイラクのカラコシュの町から避難した彼は、センターが特にこの1年で彼にとっていかに命綱となったかを話します。

「ここでは、自分が大家族の一員であるように感じられます。今まであまり接したことがないコミュニティと交流ができる上、壁を壊すことを助けてくれました。」

「新型コロナウイルスの世界的流行のためお客様が来なくなってしまったので、今は配達しています。私達の料理を気に入ってくださるお客様のための、ちょっとしたお手伝いです」と、レーディンさんは冗談交じりで語ります。

現在、27人のイラク難民がセンターでシェフやウェイターになるための訓練を受けており、家族を養うための報酬も受け取っています。

HAVAの所長であるマリオ神父は、彼らがいかに希望を失わずに困難な状況に立ち向かっているかを説明します。

「特にこのような困難な時期に、すべての活動を行うのは容易ではありませんでした」と、マリオ神父は言いました。「しかし彼らが職人として、そして個人としても成長していく姿を見るのは、我々にとても最も幸せなことです。訓練では、コロナ禍の難しい状況においてもデジタル・プラットフォーム通じて、イタリア人シェフの協力を得ながら受講者に教えています。」

注文を受け配達する難民の一人であるアイディンさんは、同じような機会に恵まれていない他のイラク難民の友人たちと比べて、自身が毎日幸運だと感じていると語ります。「この経験は特別です。この職種についてより深く学ぶだけでなく、英語も学ばなければなりませんでした。以前のように家に閉じこもっているのではなく、外や周りの人々と接する必要があるからです。」

前に進みながらレーディンさんとアイディンさんは、いつの日か移住して彼らが本当に住みたいと願う国で、マル・ユーセフ牧師館で学んだことを専門的に使えるようになることを願っています。ヨルダンではシリア人以外の難民9万人以上が登録されており、UNHCRはより多くの難民が生活を再建できるよう、就労機会の拡大を訴え続けています。


モスル解放後、置き去りにされたままのイラク

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