リビアの捜査網に捕らわれた庇護希望者に安全な場所はありません

一掃捜査の中、トリポリにいる命がけの難民と庇護希望者に緊急援助と保護が必要です

公開日 : 2021-10-18

トリポリ(リビア)2021年10月14日 ― 今月初旬、リビア軍がトリポリのガーガレッシュ近郊で一斉取り締まりを実施した時、エリトリア人修理工のハムザさん*(17歳)は捜査網に捕らわれました。

家で逮捕された彼は、不衛生な状態にあるゴートアルシャールの拘留センターに押し込まれた数千の移民、庇護希望者の1人でした。その後、他の人々と一緒に何とかして逃れたのです。

「極度に混雑していました。数千人がそこにいました。洗面所も食料もほとんどありませんでした。恐ろしかったです。だから、人々は逃れようと決めたのです」と彼は言います。

この若者は今、リビアの首都でUNHCRが運営するコミュニティ・デイ・センター(CDC)の外に集まっている大勢の難民・庇護希望者の1人です。直近の一掃捜査の被害を直接受けた人、家や所持品を失った人、拘留から最近逃れた人もいます。ここからの退避や再定住が最優先されるかもしれない、という希望を胸にCDCの前に群がっている人もいます。

「私たちには行くところはありませんでした。ガーガレッシュには戻れません。行き先はありません」とハムザさんは言います。

リビアにいる庇護希望者と難民にとって、日常はいつも大変困難なものでした。リビアは戦争と政治的混乱に過去10年かき乱され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの大きな打撃を受けました。庇護に関する国の法律がないということは、彼らが“非合法な移民”とみなされてしまうことを意味します。ともすると、逮捕され、拘束され、虐待を受けてしまうのです。

しかし、今月の出来事に彼らは何の心構えもしていませんでした。ガーガレッシュを含むハイアランダルスの自治区で10月1日に始まった広域捜査で、治安部隊は庇護希望者や移民が避難していた建設中または間に合わせの家々を取り壊したのです。報告によると、それから数日間の捜査で、少なくとも7人が殺害されました。今週はスーダンからの庇護希望者がトリポリの道端で殴打され、銃で撃たれた後、殺害されました。

「どこに行こうと検問所があります。再び逮捕され、拘留されることを私たちは恐れています」

弱い立場に置かれた多くの庇護希望者や難民が、引き続き行われている捜査で家や所持品、生計手段を失いました。そして、トリポリにはもはや安全な場所はない、と彼らは語ります。

「どこに行こうと検問所があります」とハムザさんは言います。彼は元の修理工の仕事に戻れませんでした。「再び逮捕され、拘留されることを私たちは恐れています。身動きするのがとても困難です」と彼は語りました。

スーダンから来た庇護希望者のマハさん*(21歳)はゴートアルシャールの拘留センターにしばらく入れられ、UNHCRのCDCの前にいる他の人々に加わりました。「移動するのは危険です。再び逮捕されるのではないかと恐れています」と彼女は言います。

最初、UNHCRとパートナー団体はこのセンターで、緊急用の現金またはプリペイドカード、食料、衛生キットといった支援を提供しました。しかし、この建物の外に集まる大勢の人々の緊張が高まる中、CDCのオペレーションは一時的な停止を強いられました。

最も弱い立場に置かれた人々の中には、シェルターが見つかった場所でのアウトリーチ活動を通じて援助を提供された人もいます。今週、トリポリの都市部で、庇護希望者への食料小包、現金給付、なくしたUNHCRの証明書の交換が行われました。

「この食料はしばらくの間の助けとなります。他の人々と分け合います」とハムザさんは言います。

緊急の現金給付は基本的なニーズを満たす手助けをしています。しかし、家を破壊された庇護希望者は、平均的な家賃はもはや2倍以上となり、多くの家主は外国人に家を貸すことを恐れているので選択肢は限られている、と言います。

UNHCRの介護プログラムの下、シングルマザーや保護者とはぐれた子どもたち、健康に問題を抱える人々を含む、最も弱い立場に置かれた人々へ、他の庇護希望者から臨時のシェルターを提供されました。しかし、多くの介護者やコミュニティのボランティアたち自身も襲撃に遭い、避難を強いられ拘留状態に置かれています。増えるニーズに応えるためにただ苦闘する人々もいます。

「今日、私の家には30人ほどいます。皆に食料を提供するため、私たちは最善を尽くしていますが、資金と供給が不足しているのです」とファティマさん*は語りました。彼女はスーダンから来た庇護希望者で、かつ介護者です。最初、3人を引き取っていましたが、今は子ども5人を含む21人を追加で引き取っています。

「弱い立場に置かれた多くの家族がシェルターを求めて私たちのところへたどり着きます。私は拘留から逃れた多くのエリトリア人を受け入れています。彼らのうちの1人は何日も泣き、飲み食いもできず、睡眠すらとれませんでした。交流センターの警備員は彼らを銃撃しはじめ、彼の友達の1人を殺したのです」と彼女は語りました。

「皆に食料を提供するため、私たちは最善を尽くしていますが、資金と供給が不足しているのです」

UNHCRは難民と移民の釈放と独断的な拘留の終結、そして常に人々の権利と尊厳を尊重することを訴えています。しかし、苦悩と混乱の中、長期的な解決策が緊急に必要とされています。

リビアから逃れる人道的なフライトが、最も弱い立場に置かれた人々に命を守るライフラインを与えています。しかし、UNHCRが繰り返し続行を求めているにもかかわらず、今年はフライトの多くがリビア当局によって中断されました。

中断は、いくつかの再定住先の国がUNHCRに、今年はもはやリビアからの申請は受け付けられないと知らせたことを意味します。これによって、再定住のための直行フライト162便が失われ、長期的な対策を模索する間に、弱い立場に置かれた難民と庇護希望者に、ルワンダとニジェールで貴重な猶予期間を提供する緊急一時措置を通しての約1000か所が台無しになる可能性があるのです。

このフライトにすでに選ばれている命がけの人々の長いリストがあります。

これらの解決策がなければ、多くの庇護希望者には、地中海を渡る危険な海の旅ですべてを犠牲にするか、またはリビアに留まり虐待と搾取、貧困の厳しい危険にさらされるか、という選択肢しかありません。

With additional reporting by Tarik Argaz and Caroline Gluck in Tunis.

*庇護希望者の名前は保護のため変えられています。

By Mohamed Alalem and Anas Abumais

原文はこちら(英文)
No safe place to go for asylum-seekers snared in Libya dragnet


続・ヨーロッパ難民危機

シリアだけではなく、アジアやアフリカでも、紛争や迫害により、多くの人々が避難の旅を強いられています。平穏な暮らしをしていた人が、ある日その当たり前の日常を失い、難民になるのです。UNHCRは人道支援を最優先に、1人でも多くの難民の命を守るため、食料や医薬品、そして雨風から家族を守るシェルターを提供できるよう、難民保護活動を行っています。

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