ミャンマーの新たな避難民に重要な援助を提供する地元グループ

UNHCRは、2月に軍部が権力を掌握して以降、新たな暴力によって故郷を追われた推定20万人を手助けするため、地元コミュニティや信仰グループと協力しています

公開日 : 2021-07-29

ミッチーナー(ミャンマー)2021年7月22日 ― 悲しいことに、ヌウェイ・ヌウェイ・タイさん(27歳)にとって武力紛争は目新しいことではありません。ミャンマーのラカイン州西部出身のラカイン族女性である彼女は、地元では「タッマドー」として知られているミャンマーの軍隊が彼女の地元の州の民族の武装グループと戦う大砲や銃弾の音に慣れてしまいました。安全について、彼女は常に心配しています。

「発砲音には慣れているかもしれませんが、恐怖はいつも付きまといます」と彼女は語りました。「昨年、出産のためラカインに戻って来た時、病院付近で戦闘がぼっ発しました。爆発によって出産はさらに疲弊するものになりました。」

息子を出産後、ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんはインドと中国の間にある山岳地帯で、カチン族の夫と2年間暮らしていたカチン州に戻りました。そこでこの夫婦は村人たちの小さな集団と共に農業を営み、家族を養うためにインジャンヤン地区で商品作物のオレンジを育てていました。

より平和な生活を望み、ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんは2019年にミャンマー最北の州の田舎の片隅に引っ越しました。自身の民族の武力紛争にも巻き込まれた一方、カチン州の平和への展望は改善していました。タッマドーとカチン独立軍(KIA)の交渉は前進していたのです。主な交戦は2018年暮れに終結、小規模な衝突は2020年末までに広く沈着していました。

「発砲音には慣れているかもしれませんが、恐怖はいつも付きまといます」

2021年、すべてが変わりました。2月1日の軍部による掌握の後、ミャンマーでは多くの地域で戦闘が広がり、激化する危機へと突き進みました。頻繁に起こる激しい衝突や空爆を含む暴力がカチン州で再び表面化したのです。

ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんは、武力紛争の高まりによって、国内で故郷からの避難を強いられた推定20万人のうちの1人です。3月半ばのある晴れた日、彼女が息子と共に家にいた時、銃声が丘の間に響きました。以前同じような出来事をラカイン州で経験しているヌウェイ・ヌウェイ・タイさんの最初の直感は、安全な家の中に留まることでした。その後、夫がドアから飛び出て来て、ここを離れなければならない、と言いました。戦闘が近づいていたのです。

ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんが外に出て来た時には村は空になっており、この場を離れたのは彼女たちが最後でした。逃れながら、彼女の不安は大きくなっていきました。「タッマドーとKIAは頻繁に衝突し、私たちが出くわした兵士はこの地域に地雷があると警告しました。一歩ずつ歩くたびに、恐怖でいっぱいでした」と彼女は回想しました。

家族はついに、付近の安全地帯へ移送するボートがあるマリカ川の岸辺にたどり着きました。カチン州都ミッチーナーへバイクで進むまでの5日間、他の村民たちと共にそこで隠れました。背負ったもの以外に所持品はほとんどなく、家族は自分たちを泊めてくれる親類に頼りました。

親類に援助を求めることは、大家族の支援とコミュニティの協力という強い伝統があるミャンマーの国内避難民にとって、しばしば好ましい選択です。また、どの宗教に属しているかも、どんな援助を受けるのかを決定付けることが多いものです。仏教徒は仏教徒の慈善活動や僧院のシェルターに頼る一方、キリスト教徒はキリスト教団体から援助を受け、教会内に避難することがよくあります。

このように、受入家族やコミュニティは最初の重要な対応者として動き、シェルターや食料のような物質的援助と同時に、感情的かつ精神的な安全面から心理的援助を提供します。

ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんの場合、夫の宗教がバプティスト*なので、家族はカチン・バプティスト・コンベンション(KBC)に助けを求めました。カチン族は主にキリスト教徒で、KBCのような信仰を基盤とする団体がカチン州内の国内避難民を支援するために重要な役割を果たすのです。多くの組織が国内避難民キャンプの日々の運営を助け、新たに到着する人々を支えるためリソースを集結させています。(* キリスト教プロテスタントの一教派)

「この重要な時に自分のコミュニティを手助けできて、私は幸せです」

「これらの団体は人道支援対応の先頭に立ちます。その力を高め、成功事例を紹介し、活動を補うことが私たちの任務です」とミッチーナーにあるUNHCR事務所のクリフ・アルバリコ所長は説明しました。2012年以来、避難民を援助し、迅速な対応を確保するため、UNHCRはKBCやその他の信仰を基盤とする団体がリソースを最適化する手助けをしています。

「また、私たちは国内避難民キャンプの外にいる人々へも確実に目が行き届き、キャンプ内の人々と同レベルの援助が受けられるようにしています」と彼は付け加えました。「彼らがどこにいようと、誰も取り残さないため、私たちは彼らを見つけ出します。」

キャンプの外にいる国内避難民への援助は、特にカチン州に集中しています。都市中心部にある現存する多くのキャンプは、最近の武力紛争の再発以前から家を追われている数千人の国内避難民を10年にも及びすでに受け入れているため、スペースの限界に直面しています。そのため、新たに到着した人々は、別の臨時宿泊施設を探すように依頼される場合もあります。

「再出発は容易ではないでしょう」

ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんと家族は親類に受け入れられていますが、キャンプにいる人々と同レベルの援助を受ける権利があります。UNHCRは彼女たちを近隣の国内避難民キャンプの一員として登録して確実に援助を届けています。人道支援団体の連携によって、食料やその他の支援が定期的に人々へ提供されます。UNHCRの担当は、毛布や寝具用マットレス、蚊帳といった家庭用品を新たに到着した人々、そして登録されているその他の人々に配給することです。

今すぐ必要な物資が確保されて安心する一方、ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんはこの先何が待ち構えているのかを心配しています。ミッチーナーに到着して4か月たっても、政情不安が続き、家族は村に戻ることができません。家計は厳しいままなので、生計を立てるための手段を探しています。

「鉱山で働くため、夫は出発しました。安定した職ではなく、近くで戦闘が起こった際、夫は仕事を止めて逃げなければなりません」と彼女は言いました。「再出発は容易ではないでしょう。私たちはすでに1回分の収穫を逃し、次の雨季が終わるまで待たなければなりません。」

その間、ヌウェイ・ヌウェイ・タイさんは子どもの世話をし続けます。「一番大切なのは息子です。また逃れなければならない場合に備え、私たちが帰還する前に、彼には強く健康でいてほしいです。」

Reuben Lim Wende

原文はこちら(英文)
Local groups offer vital assistance to newly displaced in Myanmar


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