洪水、火災、そして新型コロナウイルスがバングラデシュのロヒンギャ難民にもたらす新たな困難

世界的なパンデミック、洪水、そして火災は、昨年来からロヒンギャ難民が直面してきた苦難のほんの一部でしかありませんでした

公開日 : 2021-09-13

ミャンマーからバングラデシュへ逃れて4年、ロヒンギャ難民はまだ最も苦しい年を生き延びていないかもしれません。

コックスバザール(バングラデシュ)2021年9月3日 ― ロヒンギャ難民88万人以上が暮らす混雑したキャンプでの生活は、すでに厳しい状態です。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、移動制限、学習センターの閉鎖、援助団体が提供する現地での援助の縮小といった新たな困難をもたらしました。

そんな中、3月にはシェルター約1万棟が灰と化し、難民11人が命を奪われた大火災が発生しました。火災に続き、7月27日から8月3日のわずか1週間で700ミリメートル以上の降水をもたらした特に湿気がちなモンスーンの季節がやって来ました。地元の村400か所以上が氾濫し、シェルターが押し流され、洪水と地滑りによって20人が亡くなりました。そのうちの10人は難民です。難民約2万4000人が、家と所持品をあきらめざるを得ませんでした。

「私たちはいつも災害と火災に怯えています」

「私たちは過密状態で暮らしているので、いつも災害と火災の発生に怯えています。そして私たちの家が洪水で流されてしまうことも…」とアスミダさん(33歳)は言いました。彼女は火災や洪水といった緊急事態に対応するためにUNHCRとパートナー団体が訓練した難民ボランティア7000人以上のうちの1人です。

モンスーンの季節の間、彼女は妊婦、子どもたち、年配者を彼女の区画から安全な場所へ避難する手助けをしました。また、彼女と他のボランティアたちは、泥の掃き出し、シェルター、道路、橋の修繕といった任務の取りまとめと調整の手伝いを休むことなく実施しました。

アスミダさんのようなロヒンギャ難民のボランティアたちは、特にこの18か月以上、新型コロナの制限によって支援従事者の配備が減らされている時、コックスバザール地域の周辺コミュニティからのバングラデシュ人の作業者と共に、キャンプでの人道支援サービスの提供の後ろ盾となっています。彼らは緊急の際に支援が必要とされる多くの弱い立場に置かれた人々の消息を知っていますし、モンスーンの雨が特に激しい時には、洪水に最もさらされやすいキャンプ内の地域を注視しています。

先月、もう1人のボランティアであるモハマド・アヤズさんは、子どもたちの叫び声を聞いた時、このような地域を監視していました。

「少年が水路でおぼれているのを私たちは見たのです」と彼は回想しました。「彼に近づいて、スローバッグ(※水に浮く素材のロープがついた救助用の袋)を投げました。彼はそれをつかみ、私たちは彼を岸へ、安全に引っ張ったのです。そして両親の元へ彼を届けました。」

緊急事態における最初の対応者として行動するのはもちろん、訓練された地域保健従事者を含む難民ボランティアたちは新型コロナのパンデミックにおいて、重要な役割を果たしています。感染を防ぎ、症状、検査や治療のために行くべき場所を認識させる方法について、命を守るメッセージを共有しているのです。

現在、彼らは年配のロヒンギャ難民への新型コロナ・ワクチン接種を開始するというバングラデシュ政府の決定に従い、接種会場の準備の手伝いをしています。

地域保健従事者フーミン・カビールさん
1回目の新型コロナ・ワクチン接種を待つロヒンギャ難民を手助けするバングラデシュ人の地域保健従事者フーミン・カビールさん

地元のバングラデシュ人であるフーミン・カビールさんは、できるだけ多くの年配の難民が確実にワクチンの提供を受けるために尽力しているロヒンギャ・コミュニティの保健従事者のグループの1つを監督しています。

「最初は、ワクチンへの恐怖や混乱がありました」と彼は語りました。「私たちはメッセージやチラシ、動画を通じて、彼らが(恐怖や混乱を)乗り越える手助けをすることに成功したのです。」

最初のワクチン接種は8月10日に開始され、現在55歳以上の難民3万4000人が1回目のワクチンを接種しました。

 

ヌア・イスラムさん
8月、新型コロナ・ワクチンを打ったロヒンギャ難民の最初のグループの1人であるノア・イスラムさん
そのうちの1人がヌア・イスラムさん(59歳)です。「ミャンマーでの50年以上の人生の中で、私はワクチンを接種したことがありませんでした」と彼は言いました。「バングラデシュに来た後、私は最初のワクチンを接種しました。私たちは6人家族ですが、ワクチンを接種したのは今のところ私だけです。」

障がい者や、体が弱くて56か所あるワクチンセンターにたどり着けない人々のために、ボランティアたちはこういった人々を背負ったり、または手作りの担架を利用して移動させる手伝いをしています。

「もしロヒンギャの人々が安全でなければ、バングラデシュも安全ではないのです」とフーミンさんは指摘しました。「だから、すべての人がワクチンを接種することが重要なのです。」

「数か月後に開始が予定されているワクチン接種の第2フレーズによって、より多くのロヒンギャ難民にワクチンが届くことが期待されます。ついに、キャンプでの行動制限が緩和される望みもあります。しかし、自然災害、そしてスペースと耐久性のあるシェルターの不足が、今、避難5年目に入ろうとする難民の懸念点として残っています。

「私たちがここに来た時、1~2年のうちに戻れると思っていました」とヌア・イスラムさんは語りました。「もう4年経ちました。若者は結婚し、家庭を持ち始めていますが、私たちにはすべての家族のための十分なスペースがないのです。」

 

「私の子どもたちには地滑りや洪水から守られていてほしいです」

アスミダさんは子どもたちの安全と未来を心配しています。

「私の子どもたちには地滑りや洪水から守られていてほしいです」と彼女は語りました。「教育を受け、他の子どもたちに会えるよう、子どもたちには学習センターの戻ってほしいです。そうすれば、子どもたちはずっと忙しく、安全にしていられます。」

時間が経つにつれ、34か所のキャンプで暮らすロヒンギャ難民数十万人のニーズは大きくなり続けていきます。今も人道支援が彼らの唯一のライフラインです。

「スキルを伸ばし、生産的になる大きな可能性をロヒンギャ難民に与えれば、キャンプの平和と安定に貢献し、帰還の準備のより良い助けとなるでしょう」とイータ・シュッテUNHCRコックスバザール事務所長は述べました。「私たちは目的を果たし、より良い未来を夢見続ける機会を彼らに提供することに注力しなければなりません。」

ロヒンギャ難民と、彼らを受け入れているバングラデシュ政府、そして地元コミュニティを引き続き支援するよう、シュッテ所長は国際社会に要請しました。

「この危機を忘れられた危機にしない責任が、私たちにはあるのです。」


緊急事態 ミャンマー バングラデシュ

緊迫するミャンマー。世界最大の難民キャンプを抱えるバングラデシュ。こうしている今も、命がけで避難してくる人がいます。家を追われ、助けを求める以外にすべのない人々を、どうぞUNHCR と一緒に支援してください。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

X

このウェブサイトではサイトの利便性の向上を目的にクッキーを使用します。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。

サイトを閲覧いただく際には、クッキーの使用に同意いただく必要があります。

同意する