エチオピアのティグレで、逃れてきた看護師が他の避難民に生命を守る医療を提供

UNHCRと他援助団体が紛争で引き裂かれたティグレでの人道支援対応を拡大する中、地元コミュニティと避難民はお互いに支え合うため、協力しています

公開日 : 2021-07-15

エチオピアの包囲されたティグレ地域の中心地メケルにある小さなワンルームの石造りの小屋で、ブルクシ* さんは幼い少女の栄養失調を診察するため、少女の上腕を測っています。もし壁の棚に “抗生物質”や“緊急薬”といった目印がついていなければ、ここが診療所とは言いがたかったでしょう。

メケル(エチオピア)2021年7月5日 ― 「私には看護師の資格があり、困っている人々を助けたいのです」とブルクシさんは言います。ティグレの紛争によって彼女が暮らしていたアドワ近くの村から数千人と共に避難を強いられるまでの4年間、彼女は看護師として働いていました。

「人々が殺されていると聞いた時、私は息子と共に逃れました。道中、私たちはいくつかの村で死体を目にしました」と彼女は回想します。「夫と連絡が取れませんでした。(携帯電話の)ネットワークがダウンしていたのです。でも、最終的には再会しました。」

彼女たちがメケルに到着した時、ブクルシさんは直ちに避難先のサイトでボランティアを始めました。

推定200万人近くがティグレの紛争により国内で避難を強いられ、現在8か月目となります。逃れた人々のうち数十万人がこの地域の主要都市へ避難しています。コミュニティの中に留まる人もいれば、学校のような混雑した公共のサイトに逃れている人もいます。

「彼らは本当に私たちの助けとなります。1日によりたくさんの患者を診ることができるようになりました」

ここはそういったサイトの1つで、避難民1800人以上が生活しています。ブルクシさんと訓練を受けた15人の看護師は、小さな仮設の診療所でボランティアをしています。彼女たちは地元コミュニティから来た最近卒業したばかりの一握りの医師たちと同様に、メケルの地域保健局から来た主治医と共に働いています。

医師ハイリ・ヘアゴットさん
エチオピアの医師ハイリ・ヘアゴットさん、彼自身がボランティア・スタッフのグループを率いている仮設の診療所のデスクにて

「彼らは本当に私たちの助けとなります。1日によりたくさんの患者を診ることができるようになりました」とボランティア医師の一人であるハイリ・ヘアゴットさんは言います。「また、私たちは彼らの多様な専門分野に助けられています。性的・ジェンダーに基づく暴力の犠牲者を手助けする訓練を受けている人もいれば、栄養失調の子どもの診察が専門の人もいます。」

彼は、このサイトで避難民のためにボランティアをすると決意した時、迷いはなかった、と付け加えました。

「民間人が苦しんでいて、栄養失調で死にそうな人もいます。職業柄、座って何もしないでいることはできません。私は彼らを助ける必要があるのです」と彼は語ります。

毎日、約20~30人の患者がこの診療所にやって来ます。最も多い病気は咳(せき)と下痢です。しかし、ボランティアたちは、高血圧を含む様々な持病を持った人々の世話もしています。

マラリアの疑いがある症状もありますが、正規の診断をするための道具がない、とブルクシさんは言います。

「医薬品が不足し、医療器具がないことが私たちの一番の懸念です」と彼女は述べます。

食料、シェルター、水といった基本的な必需品を含むリソースが全般的に不足しています。そして避難民は地元コミュニティからの支援に大きく依存しています。

「コミュニティは食料を分かち合い、衣料品を提供し、私たちをすぐに助けてくれました。しかし、避難民の数は増え続けており、彼らが私たち全員を助けるのは非常に困難です」と、このサイトのコミュニティ・リーダーのベケレ* さんは語ります。

キャンプの調整と管理に関与するUNHCRとパートナー団体の支援により、避難民は当局と連携して自分たちを組織化し、代表を選び出しました。

ベケレさんのような代表者は、ニーズの調査、地元コミュニティからの支援の調整、そして援助団体との窓口を果たすといった重要な任務を担っています。彼らは、学校に避難する家族への食料の配給やその他の援助も管理します。

「十分ではありませんが、私たちは常にすべての人々へ支援を届けようと努めています。しかし、優先順位をつけなければなりません。だから、最も弱い立場に置かれた人々へ最も栄養のある物を渡します」とベケレさんは説明します。

「この危機的な時に、自分のコミュニティを手助けできて幸せです」
看護師のブルクシさん
仮設の診療所の外にある手洗い所をチェックする、看護師のブルクシさん

UNHCRは他の国連団体や援助団体と共にここ数か月で対応を加速し、ティグレ一帯の様々なサイトにいる避難家族へ毛布、蚊帳、ソーラーランタン、石けん、水汲み容器といった重要な援助を配給しています。これまでに、1万3000世帯以上が救援物資を受け取りました。

また、UNHCRはシャイアとメケルにある38サイトに保護窓口を設置し、そこで避難民は重要なサービスや情報にアクセスしたり、UNHCR職員に懸念点を伝えたり、心理カウンセリングを受けたり、必要な場合に関連サービスを照会したりすることができます。

UNHCRは4、5月で特別なニーズを伴う100件以上の照会を行い、700人以上のカウンセリング・セッションを実施しました。

ブルクシさんと彼女のボランティア仲間たちは、手に入るだけのリソースを使い、医療ケアを必要とする人々を手助けしようとしています。

「この危機的な時に、自分のコミュニティを手助けできて幸せです。しかし私の望みは、私の他の家族ときっと会えるよう、平和が戻ることです」と彼女は言います。

しかし、ティグレにおける直近の進展により、UNHCRが人道支援を届けることは大変になっています。この地域内外へのアクセスは制限され、電気もなく、電話のネットワークもダウンし、スタッフ及び援助/基本的な物資の移動はさらに難しくなっています。

Giulia Naboni and Elisabeth Arnsdorf Haslund
Additional reporting by Woini Gebregeorgis

* 保護のため、名前は変更されています

原文はこちら(英文)
Displaced nurses provide vital health care to others displaced in Ethiopia's Tigray


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