難民の処遇を決めるのは私たち - 彼らから教育を奪うのは非人道的です

UNHCRの2021年教育報告書の発表にあたり、アメリカの作家兼ブロガーであるジョン・グリーン氏は、難民の子どもたちの学習機会はまったく不十分であり、世界は彼らの教育を受ける権利を認めなければならないと述べています

公開日 : 2021-09-21

故郷での深刻な暴力行為から逃れることを余儀なくされた何百万人ものシリア人に初めて会ってから、数年が経ちました。ヨルダンの難民キャンプを訪れた際、友人や家族が殺されたり負傷するのを目の当たりにし、いつ故郷に戻れるかもわからないまま家を追われ、人生が一転してしまった若者たちと話をしました。

シリア危機とそれに伴う人道危機が11年目を迎えた今、シリアの子どもたちの多くが未だ難民であることを思うと、胸が締め付けられるような気持ちです。

私が出会ったほとんどの子どもたちは、学校に戻ることを第一に考えていました。10歳の少女、アイーダさんは、通訳を介して私にこう言いました。「ただ勉強がしたいんです。」

しかし、世界の難民の子どもたちが得られる教育の機会は、まったく不十分であるという悲惨な現実があります。学校に通えない年が重なると、子どもたちは足場を失い、その未来は少しずつくずれていきます。

この旅の記憶がここ数日、戦争に引き裂かれたもうひとつの国の混乱を見て、蘇ってきました。40年以上も暴力行為に苦しんでいるアフガニスタンです。

報道カメラは、学歴や職歴による報復を恐れ、飛行機に乗って国外に逃れようと必死になっている人々に焦点を当てています。しかしアフガニスタンには、今もまだ数百万人が切実に支援を必要としており、彼らの未来も不安定な状況にあります。アフガニスタンの子どもたちの多くは、自分たちが育った社会が著しく不安定で脆弱となったことで、教育や彼らの可能性を発揮する機会が著しく失われています。

たとえ他国で安全を確保できたとしても、困難は尽きません。私がヨルダンで出会ったシリア人が語った話は、国境を越え避難することを余儀なくされたアフガニスタンの数えきれないほど多くの子どもたちにとっても、とても馴染みのある話だと思います。教室や遊び場での話や、学校のチームや大学に入ったという話ではなく、恐怖、疲労、飢えの記憶、忘れたいと願う悪夢の記憶が似ているのかもしれません。

「ただ勉強がしたいんです」

難民の大部分 - 約86%は、低・中所得国に住んでいます。その結果、多くの子どもたちは学校に通うことができず、学校があったとしても、その教育システムは資金不足で過密状態にあります。より多くの生徒を受け入れるために交代制を採用している学校でも、教室に教師1人に対して100人以上の生徒がいることも一般的です。

しかし、過密な教育システムだけが問題となっているわけではありません。難民の子どもたちが成長し、学生として勉強に励まなければいけない時期に、彼らは仕事や家事をこなして家族を支えなければならないという強い経済的圧力に直面します。難民は、シリアやアフガニスタン、その他どの地域出身であろうと、すべてを捨てて再出発しなければならないのです。多くの難民にとって、経済的な支援がなければ教育を受けることはできないのです。

教育を受ける機会が奪われることは、人間性を奪うことに等しいです。想像してみてください。もし、世間が自分を教室にいる価値がない、教育を受ける権利がないとみなしている、と感じてしまった時、自尊心にどのような影響を与えるでしょうか。

根本的に全ての難民の若者は、他のどこにでもいる若者と同じように扱われることを望んでいます。恐怖や哀れみの対象としてではなく、また統計としてでもなく、問題としてでもなく、他国の同世代の人々よりなぜか「劣っている」人々としてでもなく、完全で多種多様な人間として扱われたいのです。

「すべての若者は、私たちに責任があります」

若い難民はよく「失われた世代(Lost Generation)」と言われますが、実際には彼らは失われていません。私たちは、彼らがどこにいて、何を必要としているのかを知っています。学校や教師、本や設備や技術、そしてケアです。彼らは、失われていません。彼らはただ、世界が彼らの人間性と教育を受ける権利を認めてくれるのを待っているのです。

私たちは、この危機に安易に対処することはできません。パンデミック期間中、学習の機会を与え続けるために技術は重要なツールとなり得ます。しかし、社会性と学びのための教室という環境や、教師のスキルやトレーニング、経験にとって代わるものはありません。

私たちは数百万人の子どもたちを、彼らの事情により教育を受けることが困難であったり、不便であったりするという理由だけで社会から切り離すのではなく、集合体として若者に投資しなければなりません。すべての若者は私たちに責任があります。なぜなら彼らは将来、医療、気候変動、貧困、技術と雇用、平等と人権など様々な課題に立ち向かうために、手を差し伸べてくれるからです。

私たちが、同胞である人間をどのように扱うかを決め、そして私たちが、若い難民を含む世界の子どもたちに、彼らが必要としている思いやりとリソースによって支援すると決めることができるのです。

John Green

原文はこちら(英文)
We decide how to treat refugees - it's dehumanizing to deprive them of an education

参考:UNHCRの2021年教育報告書の発表
難民の中等教育、学校に行けない3分の2の子どもたちに平等なアクセスを


教育の危機「 もう二度と、学校には戻れない…?」

世界の難民キャンプ等では、2020年の春頃から休校に追い込まれている学校が多くあり、中には学校に行けなくなって1年近くになる子どもたちがいます。特に女の子は、実に半数近くが二度と学校に戻れない可能性があることが指摘されています。

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