UNHCRの現金給付支援を通じて自立に向かうシリア人女性

シリア危機を受けた欧州連合地域信託基金であるマダッド基金を通じた欧州連合の支援により、アムネナさんは基本的なニーズを満たすことができるようになりました

公開日 : 2021-07-29

ヨルダン、2021年6月10日 ― アムネナさんと義理の娘であるインシラさん、そして4人の孫たちは、2013年にヨルダンに辿り着いて以来、アンマン近郊の貧しい地区、ハシュミ・アル・シャマリの小さなアパートの一室に住んでいます。

アムネナさんはホムスにいた頃、農業で家族を支えていました。しかし、シリア危機が始まった時に夫を失い、息子夫婦や子どもたちと共にヨルダンに逃れました。現在59歳になったアムネナさんは、近年身体が衰えて膝を悪くし、歩くことや動くこともままならないため、医薬品と家族のサポートに頼っています。

一方インシラさんは、特に4年前に夫をがんで失って以降、義理の母と4人の子どもを支える生活を送っています。一家は、家賃や生活必需品、通信料、食料、そしてアムネナさんの高額な定期医薬品を賄うために、UNHCRの現金給付支援(月210ヨルダン・デイナール)や、国際連合世界食糧計画(WFP)の食料引換券給付、そして国際連合児童基金(UNICEF)の教育支援を受けています。

現在35歳のインシラさんは、子どもたちが大きくなるにつれ、家族を養うために働くことができないかますます考えるようになりました。教育や就労経験に乏しい彼女にとっては、家の中でできる仕事、できれば食品加工の仕事を望んでいました。そして最近、彼女は家で乳製品を作る地元のコミュニティに根差した取り組みへの誘いを受けました。まだこの仕事は始まっていないものの、インシラさんはトレーニングを受けてスキルを身に付け、家族を養えることを心待ちにしています。

アムネナさんは、身体に制約があるにも関わらず、働き家族を支えたシリアでのかつての生活について、やさしく話します。農業だけでなく、長年の趣味である裁縫にもいそしんだ彼女は、自分で作った服を着て誇らしげに見せてくれます。「もし私が家で座ってこういう仕事ができるなら、ぜひやりたい」と彼女は自分の膝を指しながら話します。アムネナさんの息子が亡くなり、2人の女性は人道支援に頼らなくてはならなくなりましたが、今はいつか自ら収入を得ることができる日を夢見ています。

UNHCRの現金給付支援プログラムは、アムネナさんたちのような難民の家族に対する中核的な保護の仕組みであり、毎月現金を給付することで、彼らが少なくとも生活必需品をきちんと確保することを可能にしています。シリア危機を受けて設立された欧州連合地域信託基金であるマダッド基金による欧州連合(EU)の支援を受けながら、UNHCRは難民の家庭にとって再建の要である自立を促し、資金支援への依存を減らしていくために、国際労働機関(ILO)やUNICEFと協働しています。マダッド基金や他のドナーのおかげで、UNHCRとパートナーたちは難民の暮らしを向上させ、可能な解決策を促進するための協調した努力を続けています。

インシラさんの夢は、彼女の子どもたちが将来仕事を見つけ、家族をつくり、自分たちで生計を立てられるように、高校を卒業させ大学に行かせることです。子どもたちの将来について話している時、インシラさんは、「家とは、平和や安定、そして教育機会がある場所です」と語り、これらが得られたこのヨルダンで、もうよそ者とは感じないと説明しました。

Evie Prastakou

原文はこちら(英文)
UNHCR Cash Assistance provides step towards self-reliance


シリア支援のお願い

10年間の紛争の影響と新型コロナウイルス感染症の脅威。かつてない困難に直面する人々を、どうぞUNHCRとともに支えてください。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

X

このウェブサイトではサイトの利便性の向上を目的にクッキーを使用します。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。

サイトを閲覧いただく際には、クッキーの使用に同意いただく必要があります。

同意する