気候変動が避難のもう一つの要因となっている中米ホンジュラス

ハリケーンやその他の異常気象がより強力かつ頻繁となり、ギャングによって荒廃したホンジュラスでは、故郷を逃れざるを得ない人々の数は増加しています

公開日 : 2021-11-11

エルサさん*の住む近隣に急激な洪水をもたらした2つの致命的なハリケーンの2か月後、彼女はついに、自分の家の状態を確認するために勇気を絞り出しました。彼女はそこに至るだけのために、首まで水に浸かる中を進まなければならなかったのです。

ティフアナ(メキシコ)、2021年11月9日 ― 彼女が目にしたものは、壊滅的でした。ホンジュラスのサン・ペドロ・スラ郊外にあるこの近隣は犯罪率が高く、冷酷なストリートギャングによって支配されています。家の多くは、薄っぺらな屋根がうねる薄い層の屋根のようなものに覆われている部分しか見えませんでした。

中米を襲ったハリケーンイオタ、ハリケーンエタ

エルサさんと家族は2020年11月18日、風速155 m.p.h.に達したカテゴリー4*のハリケーンイオタが襲った地域から逃れました。同じくカテゴリー4を記録し、ホンジュラス、グアテマラ、ニカラグアといった同じ地域を襲ったハリケーンエタによって降水量63センチメートルまで浸水してからまだ2週間も経っていませんでした。この二つのハリケーンが、命名される程巨大な30のハリケーンと共に、大西洋の記録的なハリケーンシーズンに悲劇的な結末をもたらしました。
(* カテゴリー3以上のものは大型ハリケーンと呼ばれる)

「このような嵐は一度も経験したことがありませんでした」

イオタによる豪雨の真っ只中、近所の川の水はあふれ出し、エルサさんの住む近隣は浸水し、多くの家々は粘着した、瓦礫の混じった泥に覆われるか、一掃されてしまいました。

家族は脱出の際に何とか掴んだ僅かな衣服と共に、高台のシェルターに逃れました。しかし、数時間後、上昇してくる水がシェルターにもあふれ、家族はもう一度避難を強いられたのです。

公式な数値によると、ホンジュラスだけで、ハリケーンエタとハリケーンイオタによって400万人以上が被災しました。エルサさんと家族は運に恵まれた方です。2つの嵐を生き延び、彼女たちのコミュニティを覆った水や泥を除去するブルドーザーを借りるために隣人たちがお金を出し合い、数か月シェルターに滞在することができました。

犯罪ギャングに支配される地域

エルサさん
困難な状況から抜け出そうとベストを尽くすエルサさん*。ここでは、カメラに向けて最高の笑顔を見せている

「このように酷い破壊を見て、私は涙を流しました。私たちはこのような事態を目にしたことがなかったのです」とエルサさんは言いました。彼女のこじんまりした家は、泥で移住不可と言い渡されました。「このような嵐やハリケーンは一度も経験したことがありませんでした。」

家に戻ることができず、エルサさんと彼女の5歳の娘、母親と姉妹、彼女たちの子どもは、サン・ペドロ・スラの他の地域で、家族や友人のもとに身を寄せました。そこは高台で、将来の嵐に直面する準備がもっとできていると感じていますが、今は他の致命的かもしれないリスクに直面しています。地元住民を恐れさせている犯罪ギャングが“みかじめ料”を要求し、若者をギャングに勧誘し、自分たちのルールに容赦なく従わせようとしているのです。

しかし、かつての近隣もすでにギャングに支配されているので、戻るという選択肢はありません。

【字幕付き】気候変動で避難を強いられる中米ホンジュラスの人々

「ギャングはハリケーン被災者が極端に弱い立場に置かれていることを利用し、支配を強め、行動の制限を課しています」とアンドレ・セルスUNHCRホンジュラス代表は語りました。「嵐で避難を強いられた人々の多くにとって、帰還は危険です。」

ハリケーンは常に、サン・ペドロ・スラやホンジュラスのカリブ海沿岸の低地での現実であり続けます。しかし、昨年の嵐の脅威、そして嵐が幾度もやって来た事実によって、気候変動の結果起こる、新たなさらに獰猛な気候のパターンが示唆されます。ホンジュラスの国中で、広範なギャングの暴力によってすでに瀬戸際にあるコミュニティは、回復する時間もリソースもないまま、次から次へと襲う災害に対応するという展望に直面しているのです。

避難の要因となる自然災害

ウルダ・ザモラさん
サン・ペドロ・スラ近隣のチョロマの住民たち。ウルダ・ザモラさん(88歳)のように、異常気象の事態に対処する備えが薄いことがある

ホンジュラス人約24万7000人が国内で避難を強いられ、さらに18万3000人は国外で国際的保護を求めています。ハリケーンエタやハリケーンイオタといった異常気象が、人々が避難を決意するのにどれくらいの影響を及ぼすのかを、正確に測ることはできません。しかし気候変動が、弱い立場に置かれたホンジュラス人が家やコミュニティを離れる決意を迫られるもう一つの要因になっていることは明白です。

気候に関連する天候の変化もまた、中央アメリカ各地に大損害をもたらしています。コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラに及ぶこの地域で“乾いた回路地帯”と呼ばれる一帯において、毎シーズン収穫ができず、自給農家等を追い立てています。しかし、これは序章にすぎません。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による最新の報告では、中央アメリカにおける気候温暖化の将来的影響は“いくつかの沿岸地域での海面上昇、天候・気候の変化と局限化の影響”を含む可能性があることを“強く確信している”と記されています。

「家は浸水し、土台は流され、崩壊しました」

ハリケーンエタとハリケーンイオタという致命的な連打の中で、建設作業員のデニスさん(44歳)は、自分の生活が引き裂かれるのを目にしました。

アメリカ、テキサス国境を越える人々

彼と妻、4人の子どもたちは、サン・ペドロ・スラ郊外の軽量コンクリートブロックの家で暮らしていました。家はハリケーンエタによって打撃を受けましたが、ほぼ無事に残されました。しかし、2週間も経たないうちに、ホンジュラスを襲ったそれまでで最も強力なハリケーンイオタに屈しました。

「水位が上がって来た時、私たちは教会に逃れました。戻った時、そこには何もありませんでした」とデニスさんは回想しました。「家は浸水し、土台は流され、崩壊しました。」

今、近隣はマラスと呼ばれるギャングに支配され、デニスさんの妻は去ってギャングのメンバーの元へ行きました。

「子どもたちのため、彼女に戻るようお願いしました。(彼女の新しいパートナーは)去らなければ私を殺す、と言いました」とデニスさんは語りました。「ホンジュラスのどこへいても、私はもう安全ではありません。去らなければならなかったのです。」

彼は2人の真ん中の子どもたちを、近くの村に住む大きくなった娘と暮らすように送り出しました。そして4月には、アメリカ合衆国で庇護を希望するため、4歳の末の息子と共に出発しました。

メキシコ北東部では、いかだ船でテキサスのリオグランテ川を渡り、アメリカの国境警備隊によって拘留されました。そして2人はメキシコ国境の都市ティフアナへ追放されました。彼らはティフアナで移民用のシェルターで暮らしていました。デニスさんはなお、姉と伯母がいるアメリカで庇護を求めることを望んでいました。

「私たちの最善の選択肢は、アメリカで家族と合流することです」と彼は言い、そしてこう付け加えました「私たちは故郷へ戻れないのです。」

*庇護希望者の名前は保護のため変えられています。

Marìa Rubi in San Pedro Sula, Honduras, and Tim Gaynor in Tijuana, Mexico

原文はこちら(英文)
In Honduras, climate change is one more factor sparking displacement


中央アメリカ ― メキシコ難民危機

国境を越え庇護を求めているのは、非常に弱い立場に置かれた人々です。暴力と迫害が続く中米から逃れる家族を、そして子どもたちを保護するため、どうぞ今すぐ、ご支援ください。

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