UNHCRコロンビア・丸山職員からのご報告
公開日 : 2021-01-22
MESSAGE
日本から遠い南米で起きているベネズエラ危機にご関心を持ってくださった皆様、ご支援をしてくださった皆様、本当にありがとうございます。
8月以降、UNHCRコロンビアは7万5022人(2万284世帯)のベネズエラ難民・移民にコロナ禍をしのぐための緊急現金支援を実施いたしました。
以前から過酷な状況に置かれていたベネズエラ難民・移民は、コロナ禍でさらに深刻な局面に直面しました。そこで、 UNHCRは仕事を失い路上生活をせざるを得なかった人、ひとり親世帯、障がいや病気を持つ人など、特に厳しい状況に置かれた人を対象に現金給付支援を行いました。
UNHCRの現金給付支援により、難民たちは食料、医療などにアクセスすることができ、命をつなぎとめることができました。日本の皆様からUNHCRコロンビアによるベネズエラ難民・移民への援助活動へのご関心に、あらためて心より感謝申し上げます。
私たちはコロンビア政府、パートナー団体などと協力してベネズエラ難民・移民に援助活動を行っておりますが、まだ切実に支援を必要としている人がたくさんおられるのが実情です。どうぞ引き続き、UNHCRをご支援いただけますと幸いです。
UNHCR コロンビア ククタ事務所 保護補官
丸山篤子
丸山職員とのQ&A
――コロンビアにおけるベネズエラ難民・移民に対するUNHCRの現金給付支援の状況を教えてください。
8月以降、UNHCRコロンビア事務所はベネズエラから来た7万5022人(2万 284世帯)に現金支給支援を実施しました。支援の多くは「緊急の多目的な現金給付支援」ですが、私たちは医療や、滞在許可・国籍の取得支援、自立支援などのためにも現金給付支援を実施しました。
――その援助活動を行う上で直面した、ないし直面している困難はどんなものでしょうか。
現金給付支援を行うためには、ベネズエラ難民・移民が置かれた状況を正確に把握して審査する必要があるのですが、コロナ禍のため、難民と直接会ってやりとりすることができません。そのため、現在はその審査を「困窮度を調査するためのスコアカード」を使って電話で実施しています。
ご参考:
UNHCRコロンビアによる「コロナ禍対策・緊急現金給付支援」の事後調査 (2020年11月30日付)
出典:UNHCR_COLOMBIA Post-Distribution Monitoring (PDM) - National (As of 30 November 2020)
UNHCRでは現金給付支援を行った対象世帯に対して、事後調査(Post-distribution monitoring)を行っています。これは、受益者が必要としている物やサービスをちゃんと得られているのか、あるいは消費においてどのような傾向や方針が見られるのか、現金給付のプロセスに問題が無いかを把握する、といったことを目的とした調査です。
UNHCRコロンビアによって実施された事後調査の結果をご参考までに一部抜粋してご紹介します。
- 調査対象: UNHCRコロンビアが新型コロナウイルス感染症の緊急事態に際して現金給付支援を行ったベネズエラ難民・移民
- 回答者の居住エリア: コロンビア国内の18地域
- 調査方法: 電話 (任意)
- 回答数: 1,475件
- 調査結果:
1)回答者のプロフィール
2)お金の使いみち
3)家計状況および収入不足にどう対処しているか
ほとんどの場合、困窮したベネズエラ難民・移民家庭は、食費を捻出するために、衛生用品、医療費あるいは教育関連の費用を削減しています。そして過半数が借金の返済を先送りにしたり家賃を滞納したり、家族や知人あるいは金貸しに借金を重ねざるを得ない状況に追い込まれてしまっています。