2019-2020 UNHCRの活動のご報告

あなたのご支援が、世界の難民を支えています

公開日 : 2021-01-05

ご支援者の皆様へ
温かいご支援をありがとうございます

いつもUNHCRの難民援助活動に温かいご支援を賜り、誠にありがとうございます。2020年は、未知のウイルスに世界中が翻弄され、苦難に直面した一年となりました。日本でも緊急事態言が発令され、多くの学校が休校し社会経済にも大きな影響が及ぶなど、近年にない厳しい一年でした。そうした中で、私たちの想像を超えた多くの方が世界の難民へ思いをはせ、これまで以上にご支援を寄せてくださいました。職員一同深く感銘を受け、背筋の伸びる思いでおります。 皆様のご支援なしに、UNHCRは世界各地で苦しむ難民への支援を行うことはできませんでした。深い感謝とともに、その成果の一部をご報告させていただきます。状況は今も予断を許しませんが、UNHCRと当協会はこれからも活動に邁進してまいります。どうぞ今後とも変わらぬご支援を、心よりお願い申し上げます。

2021年1月
特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 事務局長
星野 守

あなたのご支援が、世界の難民を支えています

一夜にして12,000人がホームレスに

ギリシャ・レスボス島の難民受入センターで2020年9月に大火災が発生、多くの子どもを含む12,000人が住居を失いホームレスとなりました。UNHCRは緊急にシェルターを設置、毛布やマットレスなど緊急援助物資を配布。保護者のいない子どもたちの保護や新型コロナウイルス対策にも力を入れています。

ヨーロッパ地域での主な活動

  • 保護者のいない子どもたちの支援:2,324人(ギリシャ)
  • 戦闘で破壊された家の修復:1,330件(ウクライナ)
  • 火災の被災者のための家族用テントの設営:1,000張(ギリシャ)

「爆発後、娘は別人になってしまいました」

シリア難民のマナル(4歳)は、避難先ベイルートで起こった爆発事故の恐怖で心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されました。UNHCRとパートナー団体の支援で専門家の治療を受け、一緒に遊んだりアート療法や呼吸法などを通じて、少しずつ落ち着きを取り戻しています。

「学校がついに始まったよ!」

シリアでは戦闘で多くの学校が破壊され、一度も学校に通ったことがない子どもがいるなど深刻な状況です。アレッポのタル・エスタベルでは唯一の学校が破壊され、315人の子どもたちが学校に通えない状態でしたが、UNHCRが修復を支援し学校が再開。子どもたちの笑顔が戻ってきました。

中東地域での主な活動

  • 緊急シェルターの提供:167,005人(シリア)
  • シリア難民への就労支援:10,000人(ヨルダン)
  • ベイルートの爆発事故の被害者等への心のケア:7,000人(レバノン)

「新型コロナウイルスから回復しました」

新型コロナウイルスが猛威をふるうブラジル。UNHCRは感染者の隔離、治療専門の仮設病院の建設を支援。ベネズエラからの難民の母親・エリアニーは、「息子は感染当初、窒息しかけていて深刻な状態でした。病院ですぐ治療が始まりました。」と話します。親子は19日後、無事退院することができました。

「新型コロナウイルスと闘う」

ヴァレリアは、UNHCRがエクアドルに設置した難民用のシェルターで働く医師です。毎日難民や地域住民約40人の新型コロナウイルス感染者のトリアージ(患者の緊急度に応じ、搬送や治療の優先順位を決めること)にあたっています。

中南米地域での主な活動

  • 国境でのモニタリング:2,000件(全域)
  • 現金給付支援:48,887世帯(全域)
  • 性暴力の被害者などへの支援:2,115件(全域)

「現金給付がなければ、どうなっていたか分かりません」

ルーシー(36歳)は、中央アフリカ共和国の故郷の村を武装集団に攻撃され、過酷な旅の末、夫と9人の子とコンゴの難民キャンプにたどり着きました。貧困にあえぐ日々でしたが、UNHCRの現金給付を受けたおかげで、ルーシーは小売りの仕事を始めることができ、息子は中学校へ通えるようになりました。

「ふるさとへお帰りなさい!」

ケニアの難民キャンプから帰還した難民76人を出迎えた、UNHCRエチオピア事務所代表アン・エンコンテレ。中には12年も避難していた人もいました。UNHCRは2機のチャーター便で帰還をサポートし、故郷の村へ戻る交通費や生活再建の費用として現金給付支援も行いました。

アフリカ地域での主な活動

  • 南スーダン難民への緊急援助物資:64,610世帯(エチオピア)
  • 母国へ帰還のための現金給付:84,559人(全域)
  • 初等教育に登録した子ども:917,985人(全域)

「モンスーンに備えて移転できました」

「モンスーンの大雨でいつ家が押し流されるか不安でした」と語るロヒンギャ難民の父親、アブル(27歳)。UNHCRの支援でモンスーン対策用に強化されたシェルターに移転しました。UNHCRは災害対策として、広大な難民キャンプの道や排水溝の整備、シェルターの補強キットの配布等も行っています。

アジア地域での主な活動

  • 環境にやさしい燃料と調理器具の提供:117,700人(バングラデシュ)
  • 地域のインフラ整備:16プロジェクト(ミャンマー)
  • 無国籍者への支援:20,644人(全域)

出典:UNHCR Global Report 2019 ほか

最前線から日本の皆様へのメッセージ

大竹更UNHCR職員日頃より、日本から温かいご支援を誠にありがとうございます。 現在私が活動するコンゴ民主共和国(以下、コンゴ民)では、周辺国(ブルンジ、ルワンダ、南スーダン、中央アフリカ共和国など)からの難民及び庇護申請者が約53万人、そしてコンゴ民の国内避難民が約500万人います。私が活動する東部のイトゥーリ州では、国内避難民を対象に主にシェルター提供や避難民の保護、物資・現金給付などを行っています。今日は現場でモニタリングを行いましたが、避難民からは、苦しい現状についての訴えと、さらなる支援を望む声を多く聞きました。2020年は日本でも、新型コロナウイルスの蔓延や国内の自然災害の影響で、苦しい思いをされている方も多くいらっしゃるかと存じます。そのような中でも、暴力や迫害を恐れて着の身着のまま逃げてきた人々のためにご支援をくださった皆様に心から感謝いたします。難民や国内避難民の多くは、三密を避けることができない厳しい環境に住んでいます。UNHCRはそのような人々に寄り添って、2021年も活動を継続していきます。これからも皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。

UNHCRコンゴ民主共和国ブニア事務所
准プログラム担当官 大竹 更

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