不安と共に生きる:難民の経験から学べる知恵④ ~不安定な時代に回復力を強化する

アレッサンドラ・モレリUNHCRニジェール事務所代表からのメッセージ

公開日 : 2020-07-03

今、私たちの生活は一時停止しているように感じるかもしれません。でも、回復力があれば未来に向かって取り組み始めることができます。

難民が紛争や災害などによって住む場所を追われる時、彼らがかつて知っていた生活は突如として失われます。仕事や家、夢や計画も、全て無くなってしまいます。UNHCRの重要な役割の1つは、彼らがまたやり直すことができるよう、回復力(レジリエンス)を取り戻す手助けをすることです。
その活動から学んだことは、現在のこのコロナ危機において私たち全員の役に立つと私は信じています。

1、つながりを保つ
シリアからイギリスにたどり着いたマヤ・ガザルにとって、もう一度やり直すという課題は紛争を生き抜くことよりも多くの面で大変なことでした。英語も話せず、知り合いもおらず、彼女は拒絶され独りぼっちだと感じていました。
「イギリスに知り合いは一人もいませんでした。シリアにいる友人とも話せませんでした。彼らは戦争地域の中にいて、私は世界でも素晴らしく安全な国にいながらも、受け入れられていないことに不安を感じていました。これは誰かと共有できるものではありません。結局、このことについて私は誰にも話しませんでした」
自分以外の全ての人にとって大変な時だと知っている時、私たちは罪悪感や恥じ入るような気持ちに苦しむかもしれません。自分の問題は他の人の苦しみに比べたら大したことはない、というように。でも、私たちの苦闘は現実です。私たちは一人ひとりが大切です。ですから、人々とつながりその課題を分かち合うことは大切なことです。

2.新しいスキルを学ぶ
英語が話せないことで、マヤの孤独感は増しました。でも、彼女は自分の世界に引きこもるのではなく、自分をコントロールしました。
「私が溶け込めるように助けてくれる人がいないのなら、自分でやろうと決めました。英語の絵本を買って、毎日ひたすら読んで、単語と意味にアンダーラインを引きました」
新しい言語をゼロから学ぶというのは大変なことです。でもマヤは創造力を使ってやりとげました。
「私は英語字幕のあるテレビ番組をつけて、言葉を大声で繰り返すということをずっと続けました。そんなに美しい声ではありませんが、言葉を歌にして歌ったりしました。YouTube動画も見ました。何とかして学ばなければいけなかったのです。40個の有名な英語のスラングだって学んだんですよ。”I’m going to spend a penny(トイレに行ってきます)”とか…意味がわかりませんよね。」
私たちは皆、新しいスキルを学ぶために今この時間を使ってはどうでしょうか。そうすれば、危機を乗り越えた時に自分たちの人生を取り戻したり、立て直すための態勢を整えることができます。
ITのスキルを磨くことから、日曜大工で作ったものを微調整したり、楽器を習うことまで、自分自身の将来的なレジリエンス(回復力)の強化を助けるために、今どんなことが実践できるでしょうか?
紛争の攻撃を受けて崩壊した建物(シリア・ダマスカス郊外・2016年)
3.希望を持ち続けること
マヤが英語の学習に費やした時間と努力は、カギとなる2つの点で効果をもたらしてくれました。一つ目は、自分自身の人生を引き受ける過程が、彼女に継続する強さをもたらしてくれたことです。
「私は希望をもつことができました。自分で自分自身を調整できることが大事だと学んだのです」
二つ目に、危機を切り抜けた時にマヤは努力の成果を得ることができました。
「数か月後、私は若者向けのクラブの会合に行き、人々の前で簡単な挨拶をしました。慈善団体の人が私の所に来て、英語が上手だと褒めてくれて、私の話が気に入ったと言ってくれました。それで私の気持ちが軽くなったのです。それが私にとってのターニングポイントでした。それまでの努力が報われたように感じました」
1つの人生を失いながらも、マヤは新しい人生を作り始めました。
「その慈善団体に私も入ってほしいと誘われました。私は参加したいと思いました。それが転機になったのです」
私たちの多くは、慣れ親しんだ人生が終わりを迎えてしまったように感じるかもしれません。しかし回復力を持ち続ければ、再びスタートを切るための準備をすることができるのです。まさにマヤが行動したように…。

あなたと共に、
アレッサンドラ・モレリ
UNHCRニジェール事務所代表

【不安と共に生きる ~難民の経験から学べる知恵 シリーズ】

不安と共に生きる ~難民の経験から学べる知恵 ①~

不安と共に生きる ~難民の経験から学べる知恵 ②~

不安と共に生きる ~難民の経験から学べる知恵 ③~

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