UNHCRの難民援助活動2020
公開日 : 2020-01-17
活動国:134カ国 | 事務所:546カ所 |
職員:1万2710名 | 支援対象者数:8246万6625人 |
地域別の支援対象者数と概要

アメリカ
過去1年間に支援対象者がなんと800万人近く増加したアメリカ大陸ですが、この数字がさらに上昇することは必至。2020年だけで250万人が住処を離れると推測されており、中でも昨年と同様、ベネズエラ難民の支援は、アメリカ大陸でUNHCRが直面する最大の試練です。ほかにも、治安の悪化に伴い難民が増え続けている中央アメリカ北部の国々、人権侵害が深刻なニカラグア、武力闘争が続くコロンビアなど、各地で対応を迫られています。

西アフリカ・中部アフリカ
中央アフリカからマリ、ブルキナファソ、ナイジェリア、カメルーンに至る全域で武力衝突が勃発しているこの地域では、どの国も、多くの難民を生みながら、同時に隣国から避難民を受け入れているという複雑な事態に直面しています。そんな中でUNHCRは関係各国と連携し、難民を含めた地域開発を促進。また、これらの国々から地中海ルートでヨーロッパを目指して命を落とす難民が後を絶たないため、危険性を周知させる活動も行なっていきます。

南部アフリカ
計16カ国に、大陸各地からの難民100万人が暮らす南部アフリカ。この地域で最も深刻な状況にあるのは引き続き、武装闘争やコミュニティ間の衝突に終わりが見えないコンゴ民主共和国で、支援を必要とする国内避難民・帰還者数は500万に上ります。地域全体を巻き込んで解決策を見出すべく、UNHCRは通常の活動に加え、周辺国に難民に関わる法の整備や、定住を希望する避難者の受け入れを促すなど、多角的アプローチで支援にあたります。

東アフリカ
南スーダンでは政府と反政府勢力が和平協定に調印し、スーダンやエチオピアでは政情がやや安定。ここにきて明るい材料が見えるようになった東アフリカですが、アフリカ大陸最多の難民を抱えていることに変わりありません。干ばつと洪水に交互に見舞われているソマリアや、大統領選挙を前に政情不安が心配されるブルンジ、予断を許さない状況を見極め、様々な状況下にある援助対象者のニーズに合った細やかな対応が求められています。

中近東・北アフリカ
中近東・北アフリカの難民問題は未だ政治的解決が期待できず、UNHCRによる緊急支援が多くの人命を支えているのが現状です。大規模な戦闘は収束しているものの、引き続き難民出身国の1位であるシリア、内戦が悪化の一途を辿っているイエメン、580万人の国内避難民・帰還民が支援を要しているイラク、首都トリポリで武力闘争の激化が予測されるリビア。いずれの国の状況も深刻で、今年も最大の予算を割り当てて援助活動を展開します。

ヨーロッパ
国際的な保護を求める人々に、安全な避難場所へのアクセスを確保することが、ヨーロッパにおける活動の核となります。例えば、命がけで地中海を渡る難民の受け入れ態勢のさらなる強化や、世界最大の難民受け入れ国であるトルコの負担軽減は急務。難民登録から諸サービスの提供まで広範囲で援助を行ないます。紛争の悪化で150万人が国内で避難を強いられているウクライナ東部でも、支援対象者の生活再建を様々な形でサポートしなければなりません。

アジア・太平洋諸国
国内外に避難しているアフガン難民の援助と、バングラデシュで暮らすロヒンギャ難民の援助。アジアでは今年もこれらふたつの課題に多くの人員と予算を投じます。殊にロヒンギャ難民については、バングラデシュの受け入れ能力が限界に達し帰還への道筋が探られていますが、それを阻むのは、他のアジア諸国でも深刻な無国籍問題。ロヒンギャに国籍を認めないミャンマー政府に粘り強く対応を求めながら、命を守る地道な活動を続けます。