UNHCRイラク「身分証明書」再発行プロジェクトについての報告

公開日 : 2020-02-18

写真:身分証明書を渡される避難民

プロジェクトの背景:

2019年6月から8月にかけて実施された調査(Multi-Cluster Needs Assessment)によると、難民キャンプあるいはそれ以外の場所で避難生活を送る国内避難民および帰還民の中でなんらかの身分証明書を喪失している人の人数は290万にも及ぶ。

身分証明書を失うことにより、多くの国内避難民・帰還民は教育、医療といった基本的な社会サービスを受けることができずにおり、なんらかの移動制限を経験している。そして逮捕や拘留の危険性が高まった状態におかれている。さらに復興の流れから取り残されている可能性もある。その上、身分証明書を失ったことにより。両親たちは子どもが生まれたときに出生登録をすることができない。

国内避難民・帰還民は身分証明書を得る上での様々な問題点を挙げている。例えば、出生地の役所に赴く際の高額な交通費、役所でかなり長時間待たされること、遠方に出向く際および書類を受け取る際の身の安全など。

法律パートナーを通じての援助活動:

国内避難民・帰還民にとって、「身分証明書の取得・更新の法的必要条件や手順についての知識の欠如」というものが、身分証明書を得る上でしばしば障害となっている。さらに、煩雑な法廷手続き、ないし、政府機関の情報にアクセスの許可が下りないといった現実的な必要条件というものも、身分証明書を得る上での障害として挙げられている。

法的援助・法律相談の件数および証明書を得られた件数 2019年1月~10月

法的援助・法律相談の件数 証明書を得られた件数

そこでUNHCRは国内避難民・帰還民が正確な情報を得ることができるように、そしてきちんとした法律のアドバイスや法的な代理人を得られるよう、法律パートナーを集めた。2019年1月から10月にかけて、UNHCRとパートナー団体は、計3万3788名に対し、法律のアドバイスあるいは法律相談を提供し、そのうち1万8755名が無事に身分証明書を得ることができた。

インフラ面での援助:

紛争により、多くの役所が被害を受けている影響で、多くの国内避難民・帰還民がいまだに身分証明書を取得・更新することができずにいる。国内避難民が証明書を入手できるようにするため、UNHCRは2018年より、キルクーク県で2か所、ニナワ県で3か所の役所を修復すると共に、モスル市役所に5台の車を寄付した。現在もニナワ県の4か所の役所を修復中である。

証明書発行の出張サービスプロジェクト:

より多くの国内避難民が身分証明書を取得できるようにするため、UNHCRはイラク政府のthe Ministry of Interior (Mol) と協働で、政府関係者を避難民キャンプで暮らす国内避難民のもとに派遣して証明書を発行するプロジェクトを協働で立ち上げた。このプロジェクトの第一段階としての目標は、国内避難民にとってもっとも重要な3つの書類、すなわち「Civil Status ID (CSID)」「Iraqi Nationality Certificate (INC).」「the Unified ID Card (UID)」の3つを発行することである。

※ Mol-内務省、CSID-市民証明書、INC-イラク国籍証明書、UNID-統一身分証明書
(統一身分証明書はイラク国籍証明書及び市民証明書に代わる証明書で、現在では幾つかの県を除き、ほとんどの県で発行されています)


クルディスタン地域政府(KRG)との協働により、このプロジェクトの最初の取り組みは、2019年にニナワ県からの国内避難民が避難生活を送っているエルビル県のバハラカ避難民キャンプおよびハルシャム避難民キャンプで実施された。

この最初の取り組みの成功を受け、プロジェクトの実施対象は、EJCC(バハラカ、ハルシャム、ハサンシャム U2, U3、アル・カジィル、デバガ)によって承認されている残りの避難民キャンプにも拡大された。その結果、2019年の4月から10月にかけて、これらの避難民キャンプにおいて、CSID(4200件以上)、INCs(3600件以上)が発行された。

※ EJCC-エルビル共同危機対応連携事務所

6月下旬、このプロジェクトは、ドホーク県にも拡大され、Molとクルディスタン地域政府がBersive-1および2、Garmawa、Chamishkoという4つの避難民キャンプにおいて証明書発行を行った。10月、プロジェクトはスレイマニヤ県、およびキルクーク県にも拡大され、UNHCRはUIDsを含む各種証明書の確認・配布のための必要書類を提出した。

出張プロジェクトによる証明書の発行件数

エルビル県 ドホーク県

このプロジェクト全体の実施において、UNHCRとパートナー団体は、イラク政府に対して、申請書類の準備、登録センターの設置、コンピューター、プリンターほか必要な事務機器の提供など、物質的な援助だけでなく、専門知識による援助を提供した。

⇒ UNHCRイラクによるレポート原文(英語)はこちら

写真:イラクで身分証明書再発行の手続きをした人々
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