紛争と新型コロナウイルス感染症により、マリで子どもの人身売買が増加

公開日 : 2020-12-17

2020年12月1日 ― アフリカのマリでは、紛争、政情不安、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、そして悪化する経済状況によって、子どもたちの人身売買、強制労働、武装グループによる強制徴兵が増加していることを、今UNHCRは警告しています。

人道危機の影響下にある人々へ保護を提供する国連組織とNGOのネットワークであるUNHCR主導のグローバル保護クラスターが公開した報告によると、2019年全体(215件)と比較し、今年前半だけでさらに多くの子どもたち(230件)が被害に遭っていることが公表されました。

また、武装グループは子どもたちを金山で労働させるために人身売買を行い、その利益を戦闘員の拡充に利用し、武器売買を拡大させ、暴力行為に投資しています。法外な“税”はこれらの金山で働く大人たちにも課せられます。

紛争、政情不安、新型コロナウイルス、教師たちのストライキのために学校は閉鎖されたままで、子どもたちも、特にその多くの地域が武装グループによって支配されているガオやキダルといった非公認の金山に押しやられています。

緊急の子ども保護アセスメントによって、この国の8か所の採掘場に渡り働いている、その多くが少年とされる子どもたちが推定6,000人いることがわかりました。彼らは最悪な形の児童労働、経済的搾取、身体的/性的/社会心理的虐待にさらされています。

“信用貸し”としてこの場に到着した子どもたちもいます。つまり第三者が交通費と食費を賄うのです。賃金をもらわず何日も働かされる子どもたちがいることも報告されました。これらの子どもたちは、採用と旅費にかかった“借金”を完済するまで不特定の期間、働くことを強いられます。

「紛争とパンデミックにより社会経済が悪化した結果、私たちはサヘルで最悪の人権侵害の数々を目撃しているのです」とUNHCR保護担当高等弁務官補のギリアン・トリッグスは語りました。

「子どもたちは武装グループによって闘うことを強いられ、人身売買の対象になり、性的暴行を受け、売られ、性的または家庭内の奴隷となり、結婚を強いられているのです。世界で最も急速に悪化する人道危機となっているサヘルでは、さらに多くの子どもたちが危険にさらされています。」

マリ人のみならず、難民、庇護申請者、移民も犠牲となっています。

拉致され、性的暴行を受け、強姦された女性や女児たちのコミュニティの報告が、モプティ(マリ中部の都市)地域からあり、この地域では2020年これまでに、1,000件以上のケースが記録されています。UNHCRはまた、推定53%の少女が18歳未満で結婚をするこの国で、児童婚が負のスパイラルとなることを懸念しています。

紛争と新型コロナウイルス感染症による移動制限にも関わらず、アフリカ北部やヨーロッパへたどり着こうとする難民や移民にとって、マリは今も重要な通過国であり続けています。

移動する人々の中には、農業分野での強制労働のために人身売買される人もいれば、アフリカ北部、ヨーロッパ、中東で約束された仕事に向かう途中に特に女性が人身売買されることもあります。バマコ(マリの首都)へ移動させられる人や、採掘/農業地帯へ移動させられ生き延びるための性行為(Survival Sex)への従事を強いられる人もいます。

人身売買業者とその共犯者の実像は、犯罪組織、武装グループ、部族の酋長、州当局から、時には両親や親類、コミュニティの一員まで、多岐に渡っています。

UNHCRは、人身売買の阻止と対応、危機にある人々の保護、犠牲者への支援提供と加害者への罰則のために、さらなる援助を求め続けています。

性差(ジェンダー)に基づく暴力(gender-based violence)、人身売買、児童労働を含む人権侵害が増加しているにも関わらず、国内で避難を強いられてたり紛争の影響を受けている約4,000万人が、資金不足のために支援を受けられない恐れがあることを警告した新しい報告が11月30日に発表されました。

この報告によると、人道危機にあって援助を最も必要とする人々を保護するために今年2020年に必要とされる資金のわずか25%しか充足されていません。

編集者注

  • UNHCRは、難民、避難民、無国籍者の人身売買の防止と対応活動に従事し、グローバル保護クラスター(GPC)の一員として、人身売買に対抗する実行タスクチームを引率しています。
  • “余波:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が引き起こす虐待、搾取、人身売買”はグローバル保護クラスターによる最新報告書でこちら(※英語)からご覧いただけます。
  • “ガラスの天井を打ち破って:保護資金へのより賢明なアプローチ ― ノルウェー難民評議会とUNHCRが引率するグローバル保護クラスターによる報告”はこちら(※英語)からダウンロードいただけます。
  • 原文はこちら(英文)
    Child-trafficking in Mali increasing because of conflict and COVID-19

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