バングラデシュからのメッセージ ~ UNHCRのモンスーン対応・活動報告
公開日 : 2020-10-23
多くの皆様からのご寄付で届けることができた支援
UNHCRのモンスーン対応・活動報告

6月中旬、難民キャンプが豪雨に見舞われ、モンスーンの季節が始まりました。 3日間続いた暴風雨によって洪水が発生したエリアもあり、4500人の被災者を支援しました。 難民ボランティアが中心となってボートでの救助活動を展開したほか、被災者の一時避難のサポート、住まいの修繕などを迅速に行い、UNHCRは被害を確認し必要な支援を届けるために、緊急対応チームを派遣。 浸食したり不安定なった土壌のリスクを見極め、被災した人々のサポートをはじめ対応策を講じました。
※ご支援で可能になったUNHCRの援助活動の一例としてご紹介いたします
「今は雨で心配になることはなく、平穏な気持ちです」
モンスーンの季節の前に、安全な住まいに移った家族
ロヒンギャ難民にお心を寄せてくださり、どうもありがとうございます。
モンスーンと新型コロナウイルスの感染拡大の危機に際し日本人の多くの方々が、一時でもロヒンギャ難民の窮状に思いを馳せてくださったということは、本当にありがたく貴重なことです。 まして、日本も経済的にも大変な時にいただいた多くのご寄付は、心して大切に使わせていただいています。どうもありがとうございました。
モンスーンの季節は終わりを告げようとしていますが、新型コロナウイルス感染症との闘いは長期戦です。 私たちはまだ、出口の見えないトンネルの中にいるような気がしています。移動の自由もなく国籍を持たないロヒンギャ難民の方々は、もっと我慢強く、忍耐強く、この局面を乗り切らなくてはなりません。
予断を許さない状況が続く中、皆様をはじめ、世界からの継続的なご支援がロヒンギャ難民を支えています。 どうぞ今後とも、ロヒンギャ難民の境遇に思いを寄せていただければ幸いです。

UNHCRバングラデシュ・ダッカ事務所
主席保護官
中柴春乃
新型コロナウイルス対策 活動報告
コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐ対策として、外からの人の出入りと大人数の集まりを制限するために、3月末から人道支援機関の活動の一部を縮小しながら、必要不可欠な支援を届け続けてきました。 その結果、感染の進行を遅らせながら、隔離と治療のための施設を建設したり、感染対策に関する情報伝達をすることができました。

難民キャンプと地元コミュ二ティのために194床を備えた隔離・治療施設を運営、陽性患者を受け入れています。濃厚接触者や新たに逃れてきた難民を隔離する施設も用意。しかし、混み合った難民キャンプに86万人が住んでいると考えると、今以上感染が拡大した際には、病床が足りず予断を許さない状況です

UNHCRの支援により、コックスバザール県の病院内にICU(集中治療室)の機能を拡大。都市部から遠く離れた難民キャンプと周辺地域で重症患者が出た場合に対応できるようになりました。6月時点で、医療関連物資、その先半年を見据えた人材を確保しました

トレーニングを受けた難民のコミュニティヘルスワーカーが、軽症患者を発見後、該当者は検査と治療に関するカウンセリングを受け隔離される措置がとられました。この方法で特定が早まり、感染の疑いのある難民それぞれが素早くカウンセリングや必要なケアを受けられるようになりました

狭い空間に家族が一緒になって暮らしている生活環境は、家庭内感染のリスクが高まります。感染すれば重症化する可能性の高いお年寄りのいる対象家庭には、家庭内感染を防ぐために隔離空間をつくることのできるお年寄り用の対策キットを配布しました
一方、長引くロックダウンの影響で、家庭内暴力や児童労働、児童婚が増えるという負の影響も出てきています。狭い家の中にいなければならないストレス、それまで従事していた仕事を通して収入を得ることができない不満や鬱憤が、難民の社会でも女性や子どもという弱者に対する暴力や搾取という形で表面化してきています。
キャンプにある学習センターも閉鎖されており、難民の子どもたちは十分な学習の機会も得ることができていません。家庭学習の支援もしていますが、親の世代の非識字率も高いため、親の指導には困難が伴います。 今はラジオやタブレットなどのテクノロジーを駆使した新しい形の学習支援のあり方を探っています。
先が見えない状況の中で、世界の皆様の毎月のご支援がロヒンギャ難民を支えています。
※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は税控除(税制上の優遇措置)の対象となります。