致命的な爆発の余波の中でベイルートの援助を実施するUNHCR
UNHCRは最悪の影響を受けた爆発事故の緊急資金として3,500万米ドルを充当し、レバノン人、難民、移民のシェルターと、保護へのニーズに焦点を当てます
公開日 : 2020-08-18
8月4日に首都中心部を引き裂いた爆発の破壊的な犠牲に直面しているレバノンで、UNHCRはこの致命的な爆発によって最悪の影響を受けた人々へ緊急援助を実施しています。
ベイルート(レバノン)2020年8月7日 ― ベイルートの悲劇により現時点で178人以上が死亡または今も行方不明のままで、数千人が負傷し、30万人以上の家が破壊または損傷されています。この破壊の無差別さを前にして、UNHCRは最も支援を必要としている人々がいる所へリソースと支援を向けています。
UNHCRはベイルートにいる最も弱い立場に置かれたレバノン人、難民、移民の世帯へ緊急援助を実施するための緊急資金として3,500万米ドルを充当し、数か月に渡り、シェルターと保護へのニーズに焦点を当てます。
UNHCRのレバノン国内の援助用備蓄はこの爆発の影響を受けませんでした。その備蓄品にはシェルターキット、毛布、ビニールシート、マットレス、移動用テントやその他の重要な物資が含まれ、レバノン赤十字社やその他の現地パートナー団体によって利用可能となっています。
「何か起こったのか、信じられません」
爆発地域に近いベイルート近郊のゲタウィで暮らすオデッタ・バシル(73歳)と彼女の夫のレバノン人夫妻は、すでに援助を受けました。
家の窓はすべてこの爆発で吹き飛ばされましたが、この夫婦は木材とビニールシートの緊急供給を受け、風雨からのとても必要としていた一息をつけることができました。「ちょうど昨日、雨が降ったので、窓を覆う必要があったのです」とオデッタは語りました。「激しく雨が降ったのです。災害の上に災害です。」

レバノンの激しい歴史の中で、紛争と政情不安の数十年を生き抜いたにも関わらず、オデッタはこれが人生最悪の経験だと語りました。「何か起こったのか、信じられません。私たちがこれまでに経験したすべての中でも、今ほど恐ろしくて疲れ果てヒステリックになったことはありません。眠りにすらつけません。」
この爆発により難民の命も犠牲となっています。13人の死者が確認され今も69人が行方不明です。さらに224人の難民が負傷者数千人に含まれていました。
この小さな中東の国は、総人口に対する割合において、世界最大の難民受入国の1つです。シリアやその他の国々、そしてパレスチナ難民を加えると、難民90万人以上を受け入れていますが、この国の総人口は700万人以下なのです。
負傷者の中に、シリア北東部のハサケ県から来た難民アーメッド(34歳)がいます。彼の妻アイシャと、2人の幼い息子ヤーヤ(3歳)とザカリヤ(2歳)は、爆発が起こった時、アーメッドが管理人として働いているベイルートの家の部屋にいました。
「窓ガラスがすべて降りかかってきました」と、爆発の震源地に近いベイルートのジュマイゼ近郊にある部分的に破損したビルの外に立つアーメッドは言いました。「私は彼らのもとに走りました。下の息子はひどい怪我をしており、かなり流血をしていました。血溜まりがあったほどです。」
爆発直後の余波により、ベイルート中にほこりが渦巻く中を、アーメッドは傷ついた息子たちを抱え、アイシャと共に地元の病院へ2人を運びました。
「街に出て、車や地上にいる人々を目にしました。恐ろしいことでした」と彼は語りました。「それは想像を超えた瞬間でした。(爆発の)気圧によって誰の声も聞こえなかったのです。何も聞こえなかったのです。」
「(病院に)到着した時、その光景は恐ろしいものでした。怪我した人、血…信じられない光景でした」とアーメッドは付け加えました。ザカリヤは25針を縫う必要がある傷を2か所、ヤーヤは鼻の骨折と切り傷、打撲を負いました。アイシャもまた打撲と額に深い傷を負いました。
この家族は今、家が損傷を受けなかったアーメッドのいとこと共に、この街の別の地域に滞在しています。包帯や目に見える傷と同じように、息子たちは今もあの日の心理的な衝撃に苦しんでいる、とアーメッドは語りました。
「子どもたちは今もショック状態です」と彼は言いました。「彼らは5分間眠り、怖くて怯えて目を覚ますのです。食事すら、再び食べるようになるのに3日間かかりました。」
「通りに出ると、私の心が痛みました。外にいる人々はみな血だらけだったのです。無傷の人は誰もいませんでした」とアイシャは付け加えました。「皆の無事を祈っています。レバノン人であろうと、シリア人であろうと。」
「傷ついたベイルートを手助けするため、1つになって尽力しています」
爆発で数十万軒の家が破損または破壊された中、この破壊の規模、そして必要とされる清掃対応の規模は甚大です。ベイルートに住む多くの難民はこの余波に対処し始めるため、レバノンの近隣者たちと力を合わせています。
モハメッド・カミーズはこの街で暮らすシリア難民であり、ジュマイゼの家と通りから瓦礫を清掃する手伝いをする他の難民と地元の人々に加わりました。どこの出身であろうと、この悲劇に対応するベイルートのすべての住民に結束する気持ちがあると話しました。
「この地で、私たちは必要とされていることを目の当たりにしました。だから私たちは皆やって来て、シリア人、レバノン人、パレスチナ人、誰であろうと手を取り合い、結束したのです。だから、私たちは家が被災した人々を助けることができるのです」と、瓦礫を取り除くため、手で運び出す前にシャベルを利用する集団の一員であるモハメッドは言いました。
「傷ついたベイルートを手助けするため、1つになって尽力しています。一緒に立ち上がり、手を取り合って、愛するベイルートを覆っている砂ぼこりを取り除くため、すべての人を手助けします。」
Houssam Hariri
原文はこちら(英文)
UNHCR mobilizes aid for Beirut in aftermath of deadly blast
ベイルート爆発 緊急支援のお願い
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