バングラデシュのキャンプで新型コロナウイルス感染症と闘う難民のヘルスワーカー

訓練を受けたコミュニティ・ヘルスワーカー(その全てがロヒンギャ難民)が、居住地の中で新型コロナウイルスへの感染が疑われる患者に検査と治療を勧めています

公開日 : 2020-08-06

サイドゥ・カリムは、バングラデシュのクトゥパロン難民居住地を交差するぬかるんだ道に沿ってシェルターからシェルターへと移動する日々を過ごしています。彼にドアを開けた家族は、彼をよく知っています。彼は2017年にミャンマーから避難した後すぐにコミュニティ・ヘルスワーカーとしてボランティアを初めて以来ずっと、彼らを2週間ごとに訪問しています。

 
クトゥパロン難民居住地(バングラデシュ)2020年7月24日 ― サイドゥは、健康や衛生に関する情報を共有し、病気のサインに目を配り、出生と死亡を記録し、難民コミュニティと医療施設の架け橋になるため、およそ86万人のロヒンギャ難民を収容する人口密度の高いキャンプで戸別訪問をするよう訓練を受けた1,400人を超えるロヒンギャ難民の一人です。

 
サイドゥと他のボランティアたちが訪問先の家族と築いた信頼は、5月にコックスバザール地区で最初の新型コロナウイルスの感染者が発見されてから重要になってきています。正確な情報と実用的なアドバイスによって、彼らはキャンプに広まるうわさに対処することができています。

 
サイドゥは、「人々は私たちに怖いと話します」と言います。「彼らはこの病気がどんなに危険であるかも、世界中で沢山の人が亡くなっていることも聞いているのです。」

「人々は私たちに怖いと話します」


サイドゥは現在、彼が割り当てられた地区の150家庭を毎週訪問します。彼は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から身を守る方法や、このウイルスによくある症状を各家族に説明します。そして、症状があると特定した人には、保健センターで新型コロナウイルス感染症の検査を受けるよう助言し、隔離施設や治療施設で受けられるサポートについて説明します。

 
「私たちは人々に、もし症状があるのに恐れて治療をすぐにしなければ、家族全員や近所の人々に影響しうると説明します」と彼は言います。

 
クトゥパロンに住む55歳のハルーンは、6月に新型コロナウイルス感染症の症状が現れ始め、コミュニティ・ヘルスワーカーの一人に検査を勧められました。「私たちはその病気について、ただ命取りになるということ以外何も知りませんでした。コミュニティ・ヘルスボランティアたちは、私が恐怖に打ち勝ち適切な治療を受ける手助けをしてくれました。私は、この病気は適切なステップがとられれば治癒できると学びました」と彼は言います。

 
サイドゥ自身も感染する恐怖を感じていないわけではありませんが、彼は自分のコミュニティで役目を果たし続けたいと思っています。「私たちは恐れていますが、それでもベストを尽くそうとしています」と彼は言います。「私たちは物理的な距離をとり、マスクを着用し、私たちの役割の重要性に集中しています。」
気がかりな状況ではありながら、これまでロヒンギャ難民人口の中で確認された新型コロナウイルスの感染者数は比較的少なく、7月21日時点で62件です。世界保健機関(WHO)で技術支援官を務めるアスマ・アンサリ博士は言います。「私たちが直面している最大の課題は、人々が検査を受けるように説得することです。ボランティアは、私たちがコミュニティに行き、検査を受けることの必要性や感染のさらなる拡大を防ぐ方法について話すのを手助けしてくれるのです。」
 
コミュニティ・ヘルスボランティアの役割は、ウイルスを伝染するリスクを減らすために人道支援家がキャンプでの活動を縮小してからさらに重要になってきています。
 
WHOとUNHCRは、ボランティアが人々に検査を勧められるようにするため、新型コロナウイルス感染症に関連した症状を特定する方法について協力して研修を行っています。しかし彼らは、医療施設に近づくのをやめたくなるような恐怖やうわさと闘っているに違いありません。
 
UNHCRの準公衆衛生官であるナズムス・シャキブ博士は、コミュニティ・ヘルス・ワーキング・グループとの協調をサポートしており、「最初難民たちは、もし誰かが新型コロナウイルス感染症を疑う症状を訴えれば、その人は人々に攻撃され、当局に連れ去られてしまうのではないかと考えていました」と明らかにしています。
「コミュニティ・ヘルスワーカーたちはすぐに状況に対処する立役者なのです」

「コミュニティ・ヘルスワーカーたちはすぐに状況に対処する立役者なのです…彼らは医療施設とコミュニティの間の信頼を築こうとしてくれています。それは今、彼らの主要な役割の一つなのです。」
 
信頼を築くということは、マジス(コミュニティリーダー)やイマーム(宗教的指導者)といった、コミュニティで尊敬されている人物と協力することも意味します。彼らは、健康に関する重要なメッセージを伝えることができます。
 
「私たちは、ボランティアが教えてくれたことを同じように人々に伝えます」とイマームのハフェズ・モハメド・サリムは言います。彼はモスクにつけられたマイクを使ってコロナウイルスに関する情報を流しています。
 
「もしコミュニティ・ヘルスワーカーたちが今してくれていることがなかったら、私たちはどこに行くべきかもいつ病気にかかっているのかもわからなかったでしょう。私たちは多くの問題に直面したでしょう」と彼は付け加えます。
 
UNHCRは、難民と地元コミュニティのために200床ほどの隔離施設と治療施設を建設しました。さらに、重症者のための集中治療室も設立されました。この施設は、政府とヘルスパートナーとの協力でキャンプと地元コミュニティに作られた計1,900床の一部です。しかし、もし感染者が急激に増えれば、隔離施設と治療施設の収容可能数を超える可能性があります。
 
このことを考え、コミュニティ・ヘルスワーカーは、難民に対して新型コロナウイルス感染症の在宅医療を提供し、家庭内での感染を防ぐ方法をアドバイスするようにも訓練されています。さらに彼らは、感染者の家族に食料や燃料、必需品の配達を勧めます。
 
サイドゥは、「私は、これこそが私がコミュニティのためにできる最大のことだと思います」と言います。「こうすることで私は、自分のコミュニティの役に立ち、人々の健康を支えることができます。だから、私はコミュニティ・ヘルスワーカーとして働き続けたいです。」
 
Areez Tanbeen Rahman and Iffath Yeasmine
 
原文はこちら(英文)

Refugee health workers lead COVID-19 battle in Bangladesh camps


新型コロナウイルス 難民キャンプ感染拡大危機

過密する難民キャンプは十分な医療施設もなく、新型コロナウイルスの感染拡大の危機に直面しています。

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