現地からのThank You レポート ~ 難民支援の現場で進むパンデミックへの備え
公開日 : 2020-06-11
最も弱い立場にある人々を守りたい
難民支援の現場で進むパンデミックへの備え
現在、UNHCRは難民・避難民への感染拡大を防止するために全力で対策を行っており、皆様からのご支援が大いに役立てられています。その一例として、各国で行われている対策の様子をご紹介します。
水と衛生
感染を防ぐためには手洗いが重要です。しかし、水や石けんが手に入りにくい地域もあるため、石けんの提供や手洗い場の設置など、清潔な水や衛生環境を整えるWASH(Water, Sanitation and Hygiene)システムを強化しています。シェルター、医療施設
人々が密集して暮らすキャンプや居住地では、ソーシャルディスタンスを保つことが課題です。少しでも感染拡大のリスクを減らすため、シェルターやテントの数を増やす、スペースを広げる、新しく建設するなどの対応を進めています。
![]() 難民キャンプでの感染拡大に備えて、医療施設を兼ねた隔離施設を建設(バングラデシュ) |
![]() ブラジル、コロンビア、エクアドル、ペルーではコンテナハウス326棟とテント60張を医療・隔離施設として提供(南米) |
情報提供
ウイルスの特性や予防方法など、正しい情報を知ることも欠かせない対策。ポスターやラジオ、ショートメッセージのほか、難民ボランティアやコミュニティのネットワークを通じた啓蒙活動など、隅々まで情報が伝わるよう配慮しています。
![]() スマートフォンも感染予防の方法を学ぶための大事なツール(ブラジル)
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![]() 避難民の村々に、手洗い方法や支援のための連絡先を記したポスター200枚を掲示(ウクライナ) |
医療物資

感染者が増加する難民受け入れ国に対し、医療物資を提供する支援を行っています。感染者の急増で医療体制がひっ迫したイランやチャドに計100トン以上の医療物資を輸送するなど、迅速な対応に努めています。
現金給付

ロックダウンや経済悪化によって仕事を失えば、家賃や食糧を買うお金すらない状況に陥ってしまいます。そんなときに素早く効果を発揮するのが現金給付です。アフガニスタンやアフリカでは、モバイルマネーも活用されています。
教育
学校が閉鎖になった難民キャンプで、ラジオを通じて5年生の英語の授業を行うソマリア難民のアミナ先生(ケニア)
多くの国々で学校が閉鎖され、教育を受ける機会が奪われています。長期の学校閉鎖により子どもたちが学ぶ意欲を失えば、学校が再開しても戻ってこなくなる危険があります。彼らが継続して教育を受けられるよう、オンラインでのeラーニング、テレビ・ラジオでの教育プログラム放映など、各地の環境に合わせた対策をしています。
一人一人が力を合わせて

国境を越えて広がる感染症を防ぐために必要なのは、連帯です。UNHCRは、難民や避難民が避難先の国・地域での感染症対策に含まれるよう、WHO※や各国政府と協働しています。 同時に、難民自身も自分にできる活動を通じて連帯の姿勢を示しています。看護師の資格をもつイラク難民のモヘイマンは、イランにある病院の入院病棟で新型コロナウイルス感染症患者をケアしています。
「ウイルスは怖いです。でも私は希望を選びます」
この緊急事態において、受け入れコミュニティと難民の両方を手助けできることに誇りを感じると彼は語ります。
このように、難民・避難民、受け入れ国、そしてUNHCRが連携して行う感染症への対策は、皆様のご支援があるからこそ成り立っています。しかしパンデミックの収束は見えず、さらなる対策が必要です。一人でも多くの命を感染症から救うために、引き続き温かいご支援をお願いいたします。
※2020年5月、UNHCRはWHOと新しい協定を締結。国から強制退去させられた約7000万人を新型コロナウイルス感染症から保護する取り組みを共に続けていきます。
皆様のご支援があるからこそ、私たちは世界中の取り残された人々に物資を届け、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐという、救命活動を継続・拡大することができます。
UNHCR職員、特に難民支援の最前線にいる職員に代わり、皆様のご支援と難民との連帯にお礼を申し上げます。
難民高等弁務官フィリッポ・グランディ
これからもUNHCRの活動をご支援ください
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