5年間の紛争を経て、新たに避難を強いられるイエメンの人々
イエメン北部での直近の戦闘から逃れたイエメンの人々は、安全を求めて辿った道のりの恐怖と惨状を訴え、人道支援団体は彼らのニーズに応えるため格闘しています
公開日 : 2020-03-30
彼女たちは他数百人と一緒に安全を求めて恐怖の旅をし、ついにマリブ市付近にあるアル・スワイダの避難サイトに落ち着きました。1月末以来、4万人以上がこの地域へ逃れており、その多くは女性と子どもたちです。マリブでは今、イエメン避難民75万人以上が受け入れられていますが、この都市の元の人口50万人を超えています。
直近の流入は、すでに精一杯提供されているサービスや人道援助にさらに負荷をかけています。UNHCRやパートナー団体の国際移住機関(IOM)は最善を尽くしていますが、ナスラのように何も持たずに到着した人々の生活の状態は絶望的になりつつあります。
「テントをもらいましたが、すでに風で損傷しています」とナスラは説明しました。「食糧はほとんどありませんし、水もないです。トイレもないし、医者もいません。私の娘は妊娠8か月ですが、到着して1か月、医者に診てもらっていません。」
「食糧はほとんどありませんし、水もないです。医者もいません」
2015年の紛争勃発以来、360万人が故郷を追われています。国中で2400万人以上が人道支援を必要とし、今も世界最大の人道危機となっています。
「数千人が安全を求めてマリブ市と近隣地域に流入し続けている中、人道支援へのニーズが迅速に必要とされており、基本的なサービスおよび援助は緊迫しています」と、3月27日のジュネーブでの記者会見でアンドレイ・マヘシックUNHCR報道官は語りました。「病院や学校を含む公共サービスが、増加する人口に対処するため格闘しています。」
この国の多くの避難民と同様に、マリブに新たに到着した人々の中には、紛争開始以来、2回、3回と避難を強いられている人もいます。未亡人であるダグラー(52歳)は、首都サナア東部にあるニームの家から最初に避難を強いられてから5年後、戦闘から逃れるために、息子と義理の娘と共にアル・カニク避難民キャンプを離れました。
「アル・カニクでは、食糧、水、家、何でもありました。医者に診てもらうこともできました。自分の故郷ではありませんでしたが、普通の暮らしができたのです」とダグラーは言いました。「それも戦闘が起こるまででした。私たちは再び、すべてを置いて逃れざるを得なかったのです。」
「私たちは皆、砂漠へと走りました。女たちの泣き声も聞こえました。何も持たずに逃れた人もいました。(頭を覆う)ベールすらかぶらずに」と彼女は付け加えました。「ニームの家に戻れるように、神に平和を祈ります。」
今週、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、世界中の戦闘派閥に、新型コロナウイルス(COVID-19)に立ち向かうさらに大きな闘いのため、武器を下ろすよう訴えました。今は新型コロナウイルス(COVID-19)が、全人類の脅威となる共通の敵だと呼びかけたのです。
ジャン・ニコラス・ベウゼUNHCRイエメン事務所代表は、2016年以来この地で戦闘している人々の間で初めて停戦が仲介されることを歓迎しました。
「昨日、戦闘各派から停戦を約束する告知があったことを歓迎します。これによって早急に戦闘と、数百万ものイエメン人の苦しみが終わることを望んでいます。」
By UNHCR staff
原文はこちら(英文)
Yemen sees fresh displacement after five years of conflict
イエメン危機 終わらない紛争の犠牲となる人々
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