2018-2019 現金の給付支援に関する活動報告書

公開日 : 2020-01-24

UNHCRをご支援いただいている皆様へ

UNHCRが世界で展開する多岐にわたる難民援助活動の成果の一例として、現金の給付支援のご報告をします。

現金の給付支援の導入は、難民支援に大きな変革をもたらしました

レバノンの難民居住地を訪問するグランディ高等弁務官。シリアの紛争開始の年(2011年)に生まれた子どもたちとともに

UNHCRによる現金の給付支援のはじまりは、80年代半ばまでさかのぼります。私たちは、この支援を最初に試みた団体のひとつであり、同分野における徹底した専門性を養ってきました。そして長年、いかに現金の給付支援が避難を強いられた人たちの人生に良い影響をもたらしてきたかを目にしてきました。
難民は、生きるために自分たちが真に必要としているものを知っています。多岐にわたるニーズに対応できる現金の給付支援は、より多くの難民の家族が各自に割り当てられた予算の中で、本当に必要なものを自ら選べるようになることを意味します。この支援を通して、人々は、より尊厳のある暮らしを送ることができるようになるのです。

国連難民高等弁務官 フィリッポ・グランディ

 

― 尊厳のある暮らしと安全を届ける ―

現金の給付支援に関する活動実績

※2016-2018年

1,600万人以上が現金の給付を受け、各々のニーズに合わせて、必要なものを手にしました18億ドルの支援を、UNHCRは現金の給付支援を通して避難を強いられた人々に届けました

子どもたちも守る! 現金の給付支援の力

児童労働は、難民の子どもたちにとって、もっとも身近な問題のひとつです。長期におよぶ避難生活の中で貧困状態に陥り、多くの子どもが生きるために働くことを余儀なくされているのです。子どもたちを学校に通わせてあげたいと願う親たちも、子どもに働き手の役割を求めざるをえないような状況にまで追い込まれているのです。このような厳しい現実に一石を投じる支援が、現金の給付支援です。実際に、世界中で実施されているこの支援は、子どもたちを児童労働から守ることをはじめ「避難を強いられた人々の保護」に貢献していることが明らかになっています。児童婚や性的搾取、家庭内暴力などのリスクから人々を守ることのできる方法としても、この支援への期待が高まっています。

 

【動画】ベン・スティラー、野菜を売って家計を助ける8歳の少年に会う

※動画の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます

世界100か国以上で実施 UNHCRによる現金の給付支援

この支援は、多くの人に選択の自由と尊厳のある暮らしをもたらします。
それはとても重要なことです。

UNHCRレバノン事務所 タレク・アル・ハダッド

世界地図:現金の給付支援導入国と同支援導入規模トップ10の国

現金の給付支援の大規模な導入が行われている国トップ10

レバノン  ヨルダン  ギリシャ  イエメン  イラク  トルコ  エジプト  シリア  ソマリア  アフガ二スタン

それぞれの家族が、真に必要なものを選ぶことができること。
それが、現金の給付支援の強みです。

レバノンで同支援を受けた家庭の現金の使い道 居住費 食糧 医療 生活必需品 教育 電気代 返済

― 現金の給付支援の最前線から ―

中東地域における現金の給付支援

※2019年上半期、シリアの周辺5か国における支援

自宅に戻るのを恐れて、避難所に身を寄せる9,700万ドルを現金の給付支援でこの地域に届けました

 

※職員が自宅を訪ねて聞き取りを重ね、保護上のリスクや社会経済的な困窮度の基準を満たした家庭のみが給付対象になります。

ヨルダンモバイル・ウォレットでの運用を開始

現金の給付支援を受ける難民の家庭を職員が訪問

携帯電話さえあれば、さまざまな決済ができるモバイル・ウォレット。このサービスを、UNHCRは2018年からヨルダンにおける現金の給付支援の現場で導入しはじめました。これにより、銀行口座を持っていない人でも現金の給付支援を受けることができるようになりました。現在は、モバイル・ウォレットに難民一人ひとりの虹彩認証データを紐づけることに取り組んでいます。

ヨルダンに避難しているシリア難民で聞き取り調査を受けた人のうち、76%が同国の貧困レベル以下の生活をしています。

レバノン 受給の知らせが来てから21分で支払い可能

寒い地域に住むファティマと息子は冬を前に現金の給付支援を受けた

都市や郊外の老朽化した建物や難民居住地で避難生活を送る人の多いレバノンにおいて、現金の給付支援の果たす役割は大きなものです。受給はATMを通して行われており、難民の生活圏からATMまでの道のりは平均21分。95%の人は比較的容易にアクセスできる場所にATMがあり、受給するうえでのバリアがないことがわかっています。

レバノンで現金の給付支援を受ける家族は、同国最貧困レベル(1人当たり1か月87米ドルの支出)以下の生活を送っています。
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