地中海で救出された若い女性の地獄のような旅が終わった
イタリアのランペドゥーサ島で救助船「オープンアームズ」からの下船を許された庇護希望者が、その旅の恐怖を振り返る。
公開日 : 2019-08-23
アグリジェント(イタリア)2019年8月23日 ― フェヴン*は自分の足元を見続けていました。イタリアのシチリア島にあるレセプションセンターで、何十人もの庇護希望者がいる中で、18歳の彼女の声はささやくようにしか聞こえませんでした。彼女の試練の記憶はまだ生々しいままです。
「トイレは2つで130人分。船のデッキで一緒に寝ていたんです。日陰があるところとないところがあり、交代で寝なければなりませんでした。」
「船上での生活で栄養失調になったわけではありません。それは、リビアの密売人の格納庫で長い間過ごした結果なのです」と彼女は言いました。
フェヴンは幸運な一人です。
8月1日に救助船「オープンアームズ」に救助され、8月15日に他の13人とともに健康上の理由で船からランペドゥーサに避難しました。 同じくリビア沖の国際水域で救助された他の100人は、さらに6日間船に留まりました。
彼女の試練は2017年初頭、15歳の彼女がエリトリアを離れたことから始まりました。家族は同行しませんでした。彼女はリビアへの旅や、人身売買業者が運営する格納庫で過ごした18か月間の体験について話すことを拒みました。センターにいる多くの女性は、故郷の家族からお金をせびるための暴力、レイプ、拷問を経験しています。中には殺された人もいます。
「船内に水漏れがありました」
人身売買組織は、移民や庇護希望者をリビアで数か月間拘束した後、船でヨーロッパに向けて輸送します。フェヴンによると、彼女が乗った船には、15人の女性と2人の子どもを含む52人のアフリカ人が乗っていたそうです。旅は悪夢のようでした。
「船内に水漏れがありました。」
「木造船はリビア沖で2日間座礁していました。エンジンが壊れてしまいました。船内には水が漏れていました。波はとても強かった。恐怖を感じましたが、私たちは地獄から来たのです。死ぬのは怖くありませんでした。その時、オープンアームズが私たちを救ってくれたのです」と彼女は言いました。
そして、新たな試練が始まりました。ガタガタ揺れる船上で死を迎えるのとは違いましたが、戸惑うことに変わりはありませんでした。何が起こっているのか理解できないまま、時間だけが過ぎ、日だけが過ぎていきました。不安は募るばかりでした。
「他の人の顔色から、問題を感じていたのです。ヨーロッパに望まれていないからと、船から出ることは許されませんでした。そして、私たちは地獄に送り返されるかもしれないと恐れるようになりました。リビアへと。」
UNHCRは、オープンアームズの乗客の下船を許可するよう欧州各国政府に訴えました。フェヴン一行が上陸してから4日後、イタリアの裁判所が介入して、ようやく他の乗客が下船することができました。
人道上の要請であり、国際法上の法的義務でもある海上での救助は、ここ数年、ますます妨げられています。UNHCRによると、今年2019年、地中海で800人以上が死亡または行方不明になっています。
UNHCRは、地中海中部での捜索・救助能力の増強が必要であり、人命を救うNGOボートを支援すべきであると述べています。
地中海での人命損失を減らすために、迅速かつ予測可能な下船を確保するためには、地中海両岸の国家が協力するアプローチが必要です。
激しい戦闘に加え、恣意的な拘束を含む人権侵害が広く報告されているため、リビアは安全な港とは言えず、誰もそこに帰すべきではないのです。
また、リビアにいる難民を危険な場所から逃がすための努力も必要です。このような命がけの船旅で、自分や家族の命を危険にさらすことを良しとする人は誰もいないはずです。避難や再定住を含め、安全で合法的な亡命の道をより早く、より多く確保することが必要です。
* フェヴンは、安全上の理由から実名を出さないよう求めました。
Marco Rotunno
原文はこちら(英文)
Hellish journey over for young woman rescued from the Mediterranean
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