【ロヒンギャを守るモンスーン対策のご報告】皆様のご支援が命を守り、安心を届けました。
公開日 : 2019-10-25
90万人以上のロヒンギャ難民が避難生活を送るバングラデシュ。厳しい乾季が終った直後の4月下旬、新たな試練がロヒンギャの人々のもとに訪れました。暴風雨による地滑りが起き、モンスーンの季節が始まりを告げたのです。
モンスーンの季節は数か月にわたって暴風雨による地滑りや洪水などのリスクが高まり、この地に逃れている人々の命を再び危険にさらしかねません。この状況を鑑み、最初の被害から数週間後の5月初旬、当協会はロヒンギャ難民をモンスーンの被害から守る緊急支援のお願いを送りました。その後すぐ、皆様をはじめ世界からご支援が届いたからこそ、多くの対策・対応を行い被害を最小限にとどめることができました。本当にありがとうございました。感謝の気持ちを込めて、ご支援で形になったUNHCRのモンスーン対策の成果をお知らせいたします。

「危険があることはわかっています。
でも、準備はできています」
ロヒンギャの人々とUNHCRが一丸となって取り組むモンスーン対策と予測される被害について語る難民ボランティア・モハメッド。
モンスーン対策でできたこと

暴風雨による地滑りやシェルターの倒壊、洪水被害などが急増するモンスーンの季節、UNHCRのスタッフやパートナー団体、難民ボランティアは、地滑りに巻き込まれた人の救出や人々の安全な場所への誘導をはじめ、24時間体制で対応してきました。中でも功を奏したのは、日本の自然災害にも共通する事前の備え、事後の対策の用意でした。
事前対策
9万個のモンスーン事前対策キットを配布
本格的なモンスーンの季節の前にご支援が届いたからこそできた、事前の備えと対策。7月中旬までに、シェルターの補強ツールをはじめとする事前対策キット9万個を各家庭に配布しました。
事前対策キット
シェルターの改善、道路や階段、下水溝、橋の整備をはじめとするインフラ対策
シェルターの補強・改善、インフラ整備などにより、雨季の最中にあたる8月、モンスーンで影響を受けた人は全体の5%にとどまりました。
モンスーン対策の一環として、難民ボランティアのトレーニングを実施
地滑りで倒壊しそうなシェルターの通報、被害が起きた際に即時対応できる難民ボランティアのトレーニングに力を入れました。
【動画】ロヒンギャ難民のボランティア、少年を救助
(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)
事後対策

地滑りや洪水の発生後、被害の拡大を防ぎ、巻き込まれた人たちを守ることができるように、事前に10万個の事後の災害対策支援セットを用意。
事後の災害対策支援セット
自然災害の危機にさらされるロヒンギャの人々にお気持ちをお寄せくださり、心より感謝申し上げます。
皆様のご支援があったからこそ、UNHCRはモンスーンによる自然災害の被害を最小限に抑えることができました。子どもたちの教育や住環境の改善、医療・心理的ケアなど、取り組むべき問題は、まだ数多くあります。今後も引き続き、UNHCRとともにロヒンギャの人々に寄り添い、支えていただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。