UNHCR親善大使ケイト・ブランシェット、無国籍の活動家にインタビュー・陰に隠れた数十年の末「ついに私は存在しています」
女優でUNHCR親善大使のケイト・ブランシェットが、無国籍の活動家マハ・マモに約30年に及ぶ活動についてインタビューします
公開日 : 2019-10-15
2019年10月7日 ― 「ワオ!私はついに存在している、と感じました。欲しいものは何でも選び、したいことを何でもして生きる選択の自由を持っているのです」と、誇りを示すために彼女の新しい国籍であるブラジルの国旗を肩にかけて、マモは語りました。
スイス・ジュネーブで開催された第70回UNHCR執行委員会会合にて、聴衆である何百人もの代表の前で、彼女は無国籍について、親善大使のケイト・ブランシェットに語りました。
無国籍は、世界中の何百万もの人々の生活に暗い影を落とします。国籍を持つことは、ヘルスケア、教育、就職、移動の自由のみならず、銀行口座を開設したり、携帯電話のSIMカードを購入したりするための、基本的な権利の入口です。
(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)
このフォーラムは無国籍問題の人間的側面を示し、行動につなげることを目的としており、UNHCRが10年間続ける #IBelong キャンペーンの目標は、単にドライな法的プロセスを変えることではなく、希望の提供だと示すことを目指しています。フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、この国際問題が個々人に大きな影響を与え、どんな議論も、個人に対するインパクトを持つことを心に留めなければならない、と強調しました。
「わずか5年前には、無国籍やそれが引き起こす弊害に対する一般的な意識は、まだわずかなものでした。それは、変わりつつあります。そして現在、無国籍を完全に終焉させる展望は、これまでになく見えてきています」と高等弁務官は語りました。
「それでも、進歩を確信するにはほど遠いです。ナショナリズムの形にダメージを与え、反・難民/移民の感情を巧みに操る。これは進歩へのリスクとなる国際的に見られる潮流です」と彼は語りました。
「永久的な恥辱の下に生きる、こんなに多くの人々」
マモはシリア人の両親のもと、レバノンで生まれました。しかし、彼女は国籍を手に入れることができなかったのです。最初、成長する中で、彼女は国籍の欠如に気づきませんでした。しかし徐々に、その問題は重大になっていきました。

2014年、彼女と彼女のきょうだいは、難民としてブラジルに再定住をしました。そこで難民認定を受けた1か月後、彼女の兄(弟)が武装した強盗に殺されたのです。家族の喜びの直後に起こったこの悲劇が、無国籍を終わらせる活動家としての彼女の責任感をより強いものにしました。2018年、ブラジルは彼女に市民権を与えたのです。
女優のケイト・ブランシェットは、数年前まで、無国籍が国際問題であることを知りませんでした。この問題を説明するため、彼女は聴衆に、運転免許やパスポート、クレジットカード、健康保険証がない人生を想像するよう促しました。
「こんなにも多くの人々が、今も続く永久的かつ何世代にもわたる恥辱の下で暮らしていることが信じられませんでした」と彼女は語りました。
困難や、無国籍根絶を覆すリスクのあるいくつかの国からの反対があるにもかかわらず、キルギスは今年、無国籍を撲滅させた世界初の国家となりました。
一般討論の場で、チンギス・アイダルベコフキルギス外務大臣は、責任は国家にある、と明確に述べました。
「国家がプレーヤーであり、市民権を発行または取りあげるためのルールを制定しています」と彼はこのフォーラムで語りました。「政治的な意志、各国の連動した行動、そして相互協力によって、私たちは世界中でこの問題を撲滅することができるのです。」
キルギスの弁護士アジズベク・アシュロフは、10月7日、キルギス共和国の無国籍を終焉させた業績によって、2019年のUNHCRナンセン難民賞を受賞しました。
Writing by Matthew Mpoke Bigg and additional reporting by Kate Bond.
By UNHCR staff
原文はこちら(英文)
After decades in the shadows, stateless activist says ‘finally I exist’
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