コスタリカの学校 ニカラグアから避難してきた子どもたちに学校の門戸を開く

コスタリカの国境の町の寛大さのおかげで、祖国の社会的、政治的危機から逃れてきたニカラグアの数多くの子どもたちは学校に戻ることができました

公開日 : 2019-07-22

どんな子どもでも、初めて新しい学校に行く日は神経質になることがあります。それどころか、リナとミゲルにとっては、ニカラグアとの国境に近いコスタリカ北部の小さな町、ウパラでの最初の登校日は、まさに人生を大きく変える日になりました。

ウパラ(コスタリカ)、2019年7月5日 ― というのも、この2人のきょうだいは、社会的、政治的危機が続く祖国ニカラグアから家族で避難してきてから1年以上の間、学校に行っていなかったからです。

母親のメリッサ(35歳)にとって、学校を辞めさせた上に、子どもたちを国から連れ出すのは苦渋の決断でした。だからといって、ニカラグアに戻って子どもたちを学校に残しておくのは、もっと悪い選択肢でした。

家族全員が殺害の脅しを受けるようになったのは、メリッサの兄(あるいは弟)が、2018年4月に始まった、この中米の国を揺さぶる抗議デモに参加して以降のことです。メリッサは、10歳のリナと14歳のミゲルが通学路で狙われるのではないかと心配したのです。

「子どもたちが危険な目に合うのではないかと思うと我慢できませんでした」とメリッサは話しました。

「私たちは小さなスーツケースひとつで何とか逃げ出してきました」

反政府抗議デモが高まりを見せたことで脅迫が広範囲に及び、暴力の標的になる中、最終的にメリッサの家族は、2018年以降国から避難したおよそ7万5,000人のニカラグア人と同じ行動を取ることにしました。

逃げた人の大半は、ニカラグアの南の隣国コスタリカに安全を求めました。コスタリカの入国管理当局によれば、2019年5月時点で、6万1,791名ものニカラグア人が庇護申請を行った、あるいは申請途中にあるといいます。

避難を余儀なくされた世界中の多くの子どもにとって、彼らを受け入れる国の規則は時に、教育の機会を再び得る上で乗り越えられない障害となる場合があります。リナとミゲルにとって、こうした規則は問題となる可能性がありました。家族は、学校の記録を含む重要な書類を持たずに逃げるほかなかったからです。

「パスポートを手に入れるためにマナグアへ行ったり、ましてや子どもの成績表や卒業証書をもらうために学校に行くのは危険すぎました」とメリッサは言いました。「私たちは小さなスーツケースひとつで何とか逃げ出してきました。」

2018年末時点で世界の難民の数は2,590万人で、その約半数は子どもです。そのうち小学校に通う子どもは61%と、3分の2に及びません。

ですが、コスタリカでは、初等教育は義務教育であり、移民かどうかにかかわらずすべての子どもを対象に無償で行われます。ニカラグア人の流入を受けて、コスタリカ北部の多くの学校は、正式文書を持たない子どもの登録が可能になるように要件の簡素化に着手しました。

コスタリカの最貧地区の一つにある人口およそ4万4,000人の町、ウパラには、ニカラグア人の多くが押し寄せています。何より重要なのは、地元の学校が、新しい生徒の流入に門戸を開いていることです。そして、ニカラグアの子どもの多くは、リナやミゲルようにしばらくの間学校に行っていなかったことから、彼らが遅れを取り戻し、溶け込むことができるように新入生のための特別な授業を行っている学校さえあるのです。

リナの学校の教師であるレイモンは、その目的について「ニカラグアの子どもたちがこの壁の中では安心できる」ようにすることだと語りました。

「教育は人権です」

ウパラのリソースは限られているにもかかわらず、住民は、新しくやって来た人たちに支援の手を差し伸べました。新しいニカラグア人の隣人のためにフードドライブを行ったり、学用品などの必需品を集めたりしました。

ニカラグアの家族や生徒たちへの支援における連帯は、ウパラに限ったものではありません。ウパラから車で約1時間半の、ニカラグアとの国境に位置する小さな農村ロス・ローレルズの学校は、残りの多くのニカラグアの生徒を受け入れました。教師たちによれば、ニカラグアからの生徒の加入により、入学者総数は前年よりも優に2割は増えました。

「教育は人権です。ですから、私たちは家庭訪問をして、親御さんに、学校は子どもたちにとって安全な場所であるとわかってもらい、勉強を続けることの大切さを話します」と語るのは、小さな学校にいるわずか4名の教師の一人、エウジェニオです。「また、その訪問で、ニカラグア人家族が何を必要としているかも見極めます。」

エウジェニオによれば、自分たち教師と一部の地元住民も協力して、寝泊まりする場所のないひと組のニカラグア人家族のために仮設住居を建てたといいます。

UNHCRは、ニカラグアの生徒たちが溶け込むための地域主導の取り組みの一環として、学校や、ロス・ローレルズやウパラのような受け入れコミュニティを支援しています。机やいす、学用品の寄付を通じて、地元当局のみならずコスタリカの住民による取り組みを補完することを目指しています。

「コスタリカが示す寛大な姿勢は、『難民に関するグローバル・コンパクト』の精神を体現しています」と話すのは、ミルトン・モレノUNHCR駐コスタリカ代表です。

「これらの取り組みは、どうすれば連帯を実現できるかを実証するとともに、私たち全員を勇気づけています。」

難民の約80%が出身国の近隣諸国で暮らす中、2018年12月の国連総会で承認された「グローバル・コンパクト」は、難民を受け入れ、支援する上で責任をより公平に分け合うことを求めています。

リナとミゲルは勉強を再開すると、自分たちにどのような未来が待ち受けているか、もう一度、夢を描くようになりました。「コスタリカに来ていちばんうれしいのは、また勉強できることです」と、妹の手を取り、学校へ向かうミゲルは言いました。「ぼくはお医者さんになりたいです。」

* 難民と教師の名前は、個人保護のため変更されています。

Jean Pierre Mora

原文はこちら(英文)
Costa Rican schools open their doors to displaced Nicaraguan children


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