UNHCR弁務官、エチオピアの革新的な難民へのアプローチを称賛

フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は難民とその受け入れコミュニティーの生活を向上させる革新的なプロジェクトを訪問します

公開日 : 2019-06-26

アディス・アババ(エチオピア)、2019年2月13日 ― 4日間のエチオピア訪問の間、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、難民を受け入れることに対するこの国の寛大さと、90万人以上の難民と受け入れコミュニティーの生活を向上させる新しく革新的なアプローチを始めた政府の開かれた姿勢を称賛しました。
 
高等弁務官は、ソマリアとの国境地帯であり、20万人以上の難民を受け入れているメルカディダで2日間過ごしました。彼は初めに、ここ7年間の間にIKEA Foundation によってなされた1億米ドルの投資が、いかに降雨量の少ない孤立した地域を栄えているコミュニティーへと変貌させたかを確認しました。
 
グランディ高等弁務官はIKEA Foundationによって資金援助されているプロジェクトを訪問しました。そこでは、灌漑設備によって、以前は不毛だった土地1,000ヘクタールが、今は難民がスイカ、トマトやコーンなどの作物を1年に3回も育てることができる農場になっています。
 
彼はさらに、少額貸し付けやほかの経済力強化プログラムの支援を受けている市場を訪問しました。そこでは、難民と地元コミュニティーが作物を売買しています。このプログラムは非常に成功してきているため国内の他の地域に輸出されている作物もあります。難民はグランディ高等弁務官に、彼らは市場自体をより良くするために収入のいくらかを貯蓄しているのだと語りました。
「受け入れコミュニティーは私たちを歓迎してくれ、私たちも彼らを歓迎しています」

「ここで発達してきていたのは、難民の自立に向けての画期的なアプローチです。エチオピア政府は革新的なアプローチを積極的に用いています」とグランディ高等弁務官は述べました。「受け入れコミュニティーと難民は調和して共に働くことに対してとても前向きです。これは、普通ではあまり見られないことです。」
 
ドロ・アドでのコミュニティー・リーダーたちとのミーティングで、高等弁務官とIKEA Foundationの最高経営責任者のパー・ヘジェーンズは、この投資がコミュニティー全体にいかに好影響を与えてきているのかを聞きました。さらに、彼らは、IKEA Foundationが、コミュニティーが独立してこの状態をしていくことができるように、少なくともあと3年間このプロジェクトへの投資を延長することを決定したと発表しました。
 
ヘジェーンズCEOは、プロジェクトを始めた際にこの地域がひどい状況であったことを指摘し、彼は目の当たりにした進歩を「夢の実現」と呼びます。彼は、このプロジェクトのレガシーは経済の成長と同様に、難民と地元のエチオピア人との調和を育むのを助けることであると述べました。
 
「多数の難民が小さなコミュニティーに入ってくるときにいつも起こることは、それが紛争を生むということです。というのも、皆、焚き木が欲しいのであり、皆が自分のヤギのための土地を欲しがるからです」とヘジェーンズCEOは言いました。「私たちは、難民と受け入れコミュニティーが共に、土地を耕し、作物を共有し、兄弟姉妹のように生きることを助ける方法でアプローチしたのです。」

 

(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)

 

メルカディダ・キャンプでは、高等弁務官はIKEA Foundationが投資した中等教育学校のプロジェクトも視察しました。この学校では、難民と受け入れコミュニティーの学生が質の良い先生と、十分に整備された教室、そして学習を支える環境で学んでいます。
 
その学校を卒業した人々には、IKEA Foundationの資金の恩恵を受けて、メルカディダで新しい先生を養成する学校に入学する機会があります。その目的は、プロフェッショナルに認められた先生となりこの地域で次の世代の生徒を育成することを助ける機会を若者たちに与えることです。
 
この学校の生徒の一人である、ファートラン(19歳)は、中等教育学校の最終学年であり、医学を学ぶために大学に進学することを希望しています。彼女は、高等弁務官とヘジェーンズCEOを前に、エチオピアの他の場所でも教育がいかにコミュニティー間の平和と調和をもたらすための非常に重要な手段となりうるのかを学べるように望んでいることを伝えました。
 
「私には、難民の友達も、受け入れコミュニティーから来た友達もいます」と彼女は言いました。「私たちは一緒に勉強していて違いはありません。受け入れコミュニティーは私たちを歓迎し、私たちも彼らを歓迎しているのです。」
 
エチオピア滞在中、グランディ高等弁務官はさらに、2月9日と10日にアディス・アババで行われた、第32回アフリカ連合サミットに参加しました。このサミットでは、アフリカ連合が2019年のテーマを「難民、帰還民、国内避難民の年:アフリカにおける強制移動への恒久的な解決に向けて」と宣言しました。
 
本年の難民への焦点は、強制移動に関する2つの重要な条約の制定をアフリカ連合が記念することに由来します。1969年のアフリカ連合の難民条約成立から50年と、2009年のアフリカ連合の国内避難民に関する条約成立から10年目の年に当たるのです。
 
グランディ高等弁務官はUNHCRが共同で開催した、アフリカの強制移動の根本原因を話し合う会議に参加しました。参加者たちは、軍事紛争、テロリズム、良質なガバナンスの欠如、法律と人権尊重の欠如、汚職、経済格差、そして資源分配の格差などの問題を含めた、強制移動の多くの複雑な理由を根絶することが解決策を達成に向けてのもっとも有効な方法である、と認識しました。
 
高等弁務官は、紛争が解決しないことによって、長期間生活する多くの難民についてのみならず、アフリカ諸国や人々の寛大さについても言及しました。
「私たちは、この結束を共有することが大切なのです」

「私は、この大陸の最も過疎地域に行ったことがありますが、そこでは、自分たちの食糧や水、シェルターを、避難しなければならず苦しんでいる外国人と共に共有しています。ほかの裕福な世界のようではありません。これは政治的交渉の問題ではなく、文化や社会の伝統の絶対的な価値観の中に根ざす自然な素質なのです」とグランディ高等弁務官はインタビューの中で述べました。
 
「この結束はそこにあります。人々はそれを自然に持っています。しかし、私たちはそのことを当然のことであると思ってはいけません。私たちはこの結束を共有することが大切なのです。」
 
訪問を通して、高等弁務官は、2018年の12月に国連総会で可決された難民に関するグローバル・コンパクトの大切さについて言及しました。これは、難民が住んでいるコミュニティーへさらに溶け込み、エチオピアのような、難民を歓迎し受け入れることを続ける国に対してさらにグローバルな支援を行うことを求めるコンパクトです。
 
「今年は、私たちが難民に関するグローバル・コンパクトを実行に移す最初の年になるでしょう」とグランディ高等弁務官は述べました。「しかし、私たちは複数のパートナーと共に、灌漑、職業、教育訓練のプログラムを通じてパートナーを育てながら、ここメルカディアではすでに実行に移そうとしていると人々に対して伝えています。」
 
アディスでの滞在中、高等弁務官はサフーレ・ワーク・ゼウデ大統領と、政府の難民機関であるARRAのアレト・ケベレデ所長に面会しました。ARRAでは、高等弁務官はエチオピアの新しい難民法を、進歩的かつ難民に関するグローバル・コンパクトの原則を表現していると称賛しました。
 
グランディ高等弁務官は、大統領との面会の後、「この宣言は、アフリカのみならず世界で最も優れた難民法です」とメディアに対して述べました。そして、「難民のみならず、彼らの受け入れコミュニティーのための」発展を目指して、さらにリソースを動員すると約束しました。
 
Dana Hughes
 
原文はこちら(英文)

UNHCR chief praises Ethiopia’s innovative approach to refugees

 


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