かつては走るしかなかったが、今では走ることがソマリア難民の情熱となる

オリンピック王者モハメド・ファラーに触発され、グレドはカイロのランニングクラブへ参加し、夢を追いかけ始めました

公開日 : 2019-03-06

カイロ(エジプト)2019年2月5日 ― 過去6年間、グレドは第二の故郷エジプトの街角を、両足を大きく広げ走ってきました。彼のかばんの内ポケットにしまいこまれた、国内で開催されるマラソンや耐久レースで獲得したメダルの数々が、膨らみを帯びてきています。
 
「走るたび、自分が自由で、自分自身の自由な世界に生きていると感じます」と、彼はランニングへの情熱を説明しました。「そして、それが自分にとって走ることが重要である理由です。走ることが、難民として抱えている困難やストレスを克服する手助けになるのです。」
 
グレドが走らなければならかったのは、初めてではありません。2007年、数10年来の国内紛争のなかで、彼の父を殺し街で恐怖を拡散し続ける武装集団の存在に命の不安を感じ、彼は祖国ソマリアを離れました。

「新しい国で生きていくのは簡単なことではありません」

彼は、エジプトへの国境を越えるため密航業者を手配してくれた亡き父の友人の助けを借りて、単身ソマリアを去りました。カイロに着いた当初、彼は首都ナサル市区の結束の固いソマリア人コミュニティへ避難しました。彼は、ソマリア人の子どもたちに彼らの家で英語を教えていました。
 
「新しい国で生きていくのは簡単なことではありません」と彼は、エジプトに着いた当初を回顧しながら語りました。「はじめは、とても大変でした。言語の壁、対人関係、誰が信頼できるのか、誰が友人と呼べるのか…そう、それは挑戦でした。」
 
現在24万4,000人以上の登録難民と庇護希望者を受け入れているエジプトでは、ソマリア人が7番目に大きな人口集団となっています。昨年、シリア、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマーに次いで、ソマリアは国別難民国際リストにおいて5番目でした。

2012年、世界の注目が夏季ロンドンオリンピックに向けられていた頃、グレドの関心は一人のアスリート、幼少期にソマリランドから避難した英国長距離走選手のモハメド・ファラーに向けられていました。
 
ファラーのオリンピック金メダル2冠を見て、グレドはカイロの現地ランニンググループに加入することにしました。その行動が彼の人生を予期せぬものに変えることになるのです。
 
「走ることが、自分の家や周囲しか知らなかった自分を外に出してくれました。カイロでは近隣の地域すら知らなかったのです」と、彼は回想しました。

 

(動画右下の設定で字幕をオンにしていただければ、日本語字幕が表示されます)

 

今や、彼はアレクサンドリア、シャルム・エル・シェイク、グウナ、イスマイリア、ファイユームといった離れた地で開催されたマラソン、10種競技、障害物競争に参加した輝かしい記録を持っています。また、彼はエジプトのランニングコミュニティでたくさんの友人を得ました。

 
しかし、グレドが成功を収めたのは、走ることだけにとどまりません。2013年、彼は、エジプトのUNHCRで英語とソマリ語を通訳する難民通訳者になりました。その後、彼はその勤勉さから24人の通訳者を束ねるコーディネーターになったのです。

「両親に世話してもらったことや愛情が恋しいです」
グレド(左)は、業務において24人の通訳者チームを監督する

彼は、難民と移民に関わる現場で働く通訳者を対象としたカイロコミュニティー通訳事業(CCIP)トレーニングを無事に終了しました。これは、カイロのアメリカン大学の移民難民研究センター(CMRS)によって運営されています。

UNHCRエジプト事務所は、難民通訳者に対して彼らの通訳技能を向上させるために毎年、CCIPトレーニングを提供しています。トレーニングを修了した通訳者は、CMRSとUNHCRの共同署名が入った修了証を授与されます。

たくさんの成果にもかかわらず、ソマリアの存在は常にグレドの心の中にあります。彼は、会いたいと願う家族や恋しい場所について語ります。彼にとって、これが難民として生きる上で一番辛いことなのです。

「両親に世話してもらったことや愛情が恋しいです」と彼は言いました。「感傷的になるし、つらいのです。家族に会えないこと、そしていつまた会えるかわからないことが。」

Yasmine El Demerdash and Nawar Rifaah
 
原文はこちら(英文)

Once his only option, running is now Somali refugee’s passion

 


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