避難先で生まれた新生児が100万人に達したシリア難民への援助計画
難民として誕生したシリアの子どもの数が100万人に達し、国連団体とNGOは難民と受入国のため、2019~2020年における55億米ドルの援助計画を公表しました
公開日 : 2019-01-15
「これは恐ろしい数です。100万人に本当の家がないことなのですから」と、シリアのハマから逃れたこの29歳の難民は語りました。「少なくとも、私にはシリアの思い出があります。ユセフは故郷を見たことがなく、故郷を知らないのですから。」
紛争が8年目に入り、近隣のトルコ、レバノン、ヨルダン、エジプト、イラクといった主な受入国に登録されているシリア難民は今、560万人います。避難中に誕生したこの難民100万人の多くは、貧しく不安定な生活に直面し、そこでは児童労働や早婚といった問題が発生しています。彼らの教育すら、保証されていないのです。
バラーの主な関心事は、毎月の食費や家賃の支払いと格闘するだけではなく、ユセフと、数週間以内に誕生予定の彼の妹の未来にも及んでいます。「私の一番大きな心配事は、彼らの教育です。この状況で子どもが成長し、育つことができるでしょうか」と彼は問います。「この子が私たちの最後の子どもです。生活があまりにも不安定で、費用がかかるのですから。」
「国際社会が継続していくことが重要です…この巨大な重責を背負う手助けを」
バラーのようなシリア難民と彼らを受け入れる国々の需要に応え続けるため、12月4日、UNHCRと国連開発計画(UNDP)は、270のNGO及びパートナーの人道支援団体と共同で、2019-2020年シリア周辺地域・難民・回復計画(3RP)を発表しました。
この55億米ドルの計画では、シリア難民と、彼らが現在暮らしている受入コミュニティーにおいて、弱い立場に置かれている約390万人を含む900万人以上へ援助を提供します。2015年の開始以来、この難民危機のインパクトに対処するため、この3RPを通じて、12億米ドルの資金が当てられました。
避難している若いシリア人の35%が未だに学校に通っていない中、今後の支援計画には、より多くの難民の子どもたちが何らかの教育を受けられることが含まれています。また、この資金は、特定の対象への現金給付、保護と医療サービスの提供、また、特に女性の経済活動の機会増進を目的として、難民へ提供されます。
この地域の受入コミュニティーが何年間も提供している寛大な厚遇を認識し、この計画では、主に地元の機関と自治体の業務への支援を通じて、コミュニティーがこれだけ多くの人々を受け入れる社会経済的影響を背負う手助けをすることも目的としています。
「もし現金給付がなくなれば、私たちに何が起こるか分かりません」
「難民が安全に、かつ尊厳を持って帰還できるまで、国際社会が引き続きシリア難民の苦境を認識し、受入政府と3RPパートナー団体がこの巨大な重責を背負う手助けをするための力強い支援を提供することが重要です」とアミン・アワドUNHCR中東・北アフリカ局長兼シリア・イラク地域コーディネーターは語りました。
アレッポで石鹸工場のオーナーだったアハマド(51歳)は、2012年半ば以来受け取っている140ヨルダンダイナー(200米ドル)の毎月の現金給付がなければ、彼と家族はヨルダンで生き延びることはできなかっただろう、と語りました。
「私はシリアでは行動的だったし、自分の工場で成功もしていました。大きな家も4つのアパートもありました」と彼は説明しました。「そして、私はここで、自分がお金も地位もない難民となったことを知ったのです。私が受けた援助によって、経済的のみならず心理的にも助けられました。」
2人の10代の娘の父親として、帰還を考えるには、まだアレッポの安全面での状況は心配だ、とアハマドは言いました。「現時点では、ヨルダンに留まり、私たちが受けている支援に頼る以外に選択肢はありません。もし現金給付がなくなれば、私たちに何が起こるか分かりません。」
Charlie Dunmore
原文はこちら(英文)
Syrian refugee aid plan launched as births in exile hit 1 million
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